第27話 神獣
わんわん!
私、コムギーノ・カホ! 14歳!
ド田舎育ちのパン屋の娘で、チコク魔法学校2年生!
詳しくは第1話を見てね!
でも第3話を見たほうがわかるって意見もあるよ!
【説明しよう!
チコク魔法学校とは――
天才魔法使い!
1人で101匹のワンちゃんを健康に育て上げる魔法ブリーダー!
創業以来500年継ぎ足しタレで魔法のような味わいの鰻重を提供する人気爆発中の鰻専門店のオヤジ!
など!
数々の有名人を輩出している由緒正しき魔法学校である!】
なんだか今日はみんなざわざわしてるよ!
「モーブくん、どうしたの?」
「ああ……なんか昨日の夜にチコク魔法学校の近くで『神獣フェンリル』が目撃されたって噂だぜ」
【説明しよう!
神獣とは!
神の遣いとされている幻の魔獣である!
フェンリルは大きな狼の姿をしており!
太古の昔からその姿が目撃されたときには――
大きな異変が起こる予兆と言い伝えられているのである!】
へー!
大きな異変って、ロウソンの爆盛りチャレンジみたいな感じ?
【違うのである!】
んー……。
あっ!
盛りすぎて200%くらい増量ってこと!?
【……。】
楽しみー!
帰りにロウソン寄ってみよっと!
◇
ロウソンは通常通り、何も変わっていなかった。
あれー?
じゃあフアミマかセブーン?
そんなとき、見慣れた人物が入店してきた。
「ヘンリーくん!」
「あっ、カホさん。
今日はからあげチャンREDですか?」
「ほしかったんだけど、新作スイーツがたくさん出てたから……それ買ったらお金なくなっちゃったんだよね!」
「そうですか……ちょっと待っていてください」
ヘンリーくんは店内をスッと回り、電子決済でスマートに会計し、私のところへ戻ってきた。
「どうぞ」
その手にあるのは、からあげチャンのREDと……からあげチャン新作のマンゴスチン味!
「えっ!?
いいの?」
「はい、先日の魔術大会(第23話参照)で、カホさんが新しいことに挑戦する姿に感動しました。
あれがなければ、僕も審査員の胃の調子に頭が回らずA組に負けていたでしょう……これはそのお礼です」
よかった!
私のしたことは無駄じゃなかったんだ!
「ありがとー!」
「それに、今はPeyPeyのスクラッチ期間中ですしね」
メガネをクイッと上げ、ヘンリーくんは微笑んだ。
そしてスクラッチの結果は、見事1等。
満足そうにヘンリーくんは帰っていった。
◇
ロウソンをあとにして、念のためフアミマとセブーンの前も通ったけど特にキャンペーンは開催されてなかった。
私は新作スイーツを食べながら家に続く山道を歩いていた。
「おい、その匂い……肉ではないか?」
急に後ろから声をかけられたから振り返ると――
2トントラックくらいの大きなワンちゃんが……狼……?
「……もしかして、フェンリルさん!?」
「いかにも」
イカ?
「我が名はフェンリル!
ヴィシュヌ様より神託を受け、この地の調査に来た!」
へー!
「それはそうと……我は腹が減った。
だから、その肉をよこせ」
「んー……でもこれ、ヘンリーくんから貰ったものだしな……」
「タダとは言わん。
ふふ……神獣の力、1度だけお前のために使ってやろう。
総ステータス23億5763万の我の力をな!」
「えっ!?
ほんと!?」
私はすぐに、からあげチャンと残りのスイーツもフェンリルさんに渡した。
「わかっているではないか」
ガツガツとあっという間に食べ終えて、満足そうに見えた。
「して……何をしてほしいんだ?」
「私、あのフリスビーとか投げて『とってこーい!』ってやつ!
1回やってみたかったんだよね!」
「は?
まさか、我を犬扱いするというのか……?」
フェンリルさんは『グルルル』と唸り声を上げてグッと身構え、やる気十分だ!
よし!
私はそのへんにあった木を魔法でフリスビーに変化させ――
「とってこーい!」
【説明しよう!
このとき投げたフリスビーは――
大気を裂き!
空間を裂き!
次元を裂いて!
別世界へ飛んでいったのである!】
あれ?
取りに行ってくれない?
するとフェンリルさんは、急にお腹を上にしてゴロンと横になった。
え!?
なんで寝るの!?
もしかして私、またやっちゃった!?
【神獣フェンリルは『くぅ~ん』と子犬のような声を出し、その後カホの家に住み着いた。
そして、新作スイーツを食べ損ねたことをヘンリーくんに話したら、還元されたPeyPeyポイントで買ってくれたという。】




