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第16話 クエスト

「ギルドのご飯おいしそー!」

 私、コムギーノ・カホ! 14歳!

 ド田舎育ちのパン屋の娘で、チコク魔法学校2年生!

 詳しくは第1話を見てね!


【説明しよう!

 チコク魔法学校とは――


 天才魔法使い!


 プロ魔法野球3年連続ホームラン王!


 1家に1冊は当たり前!

 全国民のおふくろの味!

 『魔法のスパイス』の著者!


 など!


 数々の有名人を輩出している由緒正しき魔法学校である!】


 せっかく冒険者になったんだし、依頼受けたいよね!

 いつか私もAランク冒険者になってお金持ちに……うしししし!

 でも、どんな依頼があるんだろー?

 そのとき、ギルドから出てくる数人の冒険者と……ヘンリーくん!?


「うちのどんくせー魔法使いが急病でどうなることかと思ったが……助かったぜヘンリー!」


「しかし噂には聞いていたが、とても学生とは思えぬ才能。

感服でござる」


「どうだい?

ヘンリーくんさえ良ければ、俺たちBランクパーティ『追宝の斬魔』に入らないかい?」


 ヘンリーくんは少し考えたあと、静かに口を開いた。


「……お誘いは嬉しいのですが、今日のクエストで僕はまだまだ未熟だということを痛感しました」


「しかし、ヘンリー殿の臨機応変なサポートがなければ今回の依頼が達成できたかどうか……でござる」


「いえいえ、みなさんの息のあった連携と的確な攻撃に、少しだけ魔法のスパイスを加えただけですから」


 メガネをクイッと上げ、ヘンリーくんは微笑んだ。


「残念でござる……」


 そしてリーダーっぽい人がヘンリーくんに袋を差し出した。


「では今回のクエスト報酬です」


 ヘンリーくんは袋を受け取り、中身を確認すると――


「1……2……3……、10万円も!?

いいんですか!?」


 じゅ、じゅうまんえん!?

 そんなにあったら、あの魔法釣り具の最高峰『エグジスト』が買えちゃうよー!?


「ええ、それだけ助けられましたから。

……元々のメンバーだとこうも簡単にはいかなかったでしょう」


「……。

わかりました。

ありがたく受け取ります」


 ヘンリーくんもお金には逆らえないよね!


「ではまたお願いしますね」


「しかしどーするよ?

俺たちの魔法使いは……」


 そう言いながら冒険者パーティは去っていった。

 すごーい!

 たくさんお金稼げるって聞いてたけど……想像以上だ!

 1回10万円ってことは、2回で20万円!

 『エグジスト』どころか、あの超巨大魚も確実に獲る……!

 DESTROY ALL FISH ―― すべての魚を滅ぼせ――の『ショルティガ』30000番まで買えちゃうよー!

 よーし、さっそく依頼受けるぞ!


「こんにちはー!」

 『ドカーーーーーン!!』


【説明しよう!

 カホはギルドへ入るとき!

 張り切りすぎてドアを勢いよく開け――

 ギルドが半壊したのである!】 


 あれ?

 ドアとれちゃった?

 みんな私のこと見てるけど……。


 もしかして私、またやっちゃったー!?


 するとギルド併設の酒場のテーブルから、1人の男が歩いてきた。


「威勢のいいガキだ」


 え?

 なんだろう?

 周りの人がざわざわしてる!


「おい、やべーよ!

Aランク冒険者『豪腕・アトキーソン』だ!」


「えっ!? Aランクの中でも屈指の実力者で、その独特の戦闘スタイルはパーティや呪文の助けをほぼ必要としないと言われる、あの!?」


 アトキーソンさんはひょこひょこと私の前に立つ。


「まったく……学校はどんな教育をしてるんだ?

『躾』が必要みたいだな」


【説明しよう!

 豪腕・アトキーソンの言う『躾』とは……公開腕相撲である!

 これまでに公開腕相撲に負けた冒険者は――

 アトキーソンの作った激マズサンドイッチを食べさせられるのである!】


「さあ、このテーブルに腕を出しな!

教育してやるぜ?」


 アトキーソンさんは、履いていた靴下を脱ぎ、そこにゆで卵とマヨネーズを入れながら言い放った。


「では両者、右手を組んで!」


 レフェリーが合図をした。

 んー、よくわかんないけどがんばるぞ!

 私はアトキーソンさんと手を組む――

 アトキーソンさんは回転しながらギルドの壁を突き破り飛んでいった。

 あれ?

 帰っちゃった?


「おい……何があったんだ?」


「全然見えなかったが、まさかあの女の子が……!?」


「そ、そんなわけないだろ!

ただの女の子だぞ!」


【その後、豪腕・アトキーソンの行方を知るものはいなかった。

 30年後、ボロボロの靴下を持った男が無人島で救助されたという。】

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