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最強の妹属性 ~前世で助けた女の子がお礼を言いに異世界に会いに来てくれました~  作者: ヒデミケ


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41 女神様誕生

「オリビアちゃーん! 気をしっかり持つのよー。さあ、あたしと一緒に呼吸を整えるのー。せーのっ! ひっひっふー、ひっひっふー」


 ソニンちゃん、何か勘違いしてないか?


「ひっひっふー、ひっひっふー」


「そう! その調子よー」


「はい! あともう少しで……」


「そうよー、あともう少し」


「生まれるのですね! ひっひっふー」


「ああ、もうそこまできているわ、頑張ってー、ひっひっふー」


 オベールさんもあまりの修羅場に対して、言葉が出ないようだ。


 そしてテーブルの上で悶えていた白猫に、とうとうその時が訪れた。


「ああ、とうとう生まれるー!!」


 そう叫ぶと白猫の身体が眩い光を放ち、徐々に形を変えていった。


 そんな大掛かりなものなのか?


 変態って。


 あっ!


 まずい!


 俺はすかさず上半身裸になった。


「ユーベル君、どうしたのー? ストリップに目覚めたとか? それにしてもいい腹筋!」


 その声は無視して、着ていたシャツを変態中のオリビアに掛けた。


 そして、誕生した。


「お待たせしました。わたくしが幸運の女神15歳バージョンです!」


 叫びながら、テーブルの上に両手を広げ、仁王立ちしてしまった。


「シャツ着て! シャツ!」


 これじゃあ、俺の犠牲が報われない。


「あっ! すみません。お見苦しい姿を晒してしまいました」


 何とか彼女は、シャツに袖を通してくれた。


 依然として、全裸シャツの姿だ。


 危ない事に変わりはない。


「オリビアちゃん! おめでとう! 元気な15歳の女の子よ!」


 まだ続けるか!?


「やはりわたくしは、師匠の助言を受け入れ、飛び級編入は無理だと判断しまして、15歳バージョンになる事にしました」


 師匠? 


 オベールさんは、弟子が2人になっていたんだな。


「オベールさん、オリビアの事まで面倒を見てもらい、ありがとうございました」


「いや、乗りかかった船だしね。でも最初はびっくりしたよ。彼女文字の読み書きも出来ないのに、シエラちゃんに対抗して、飛び級編入すると言って聞かなかったからね」


 幸運の女神様は、頭が残念な人でした。


「ただし、やはり魔法の才能は化け物レベルさ。さすが女神と言うべきか。所持していた属性は聖だけだけど、この世界では考えられない程の親和性なんだ」


「師匠、当たり前ですわ。元々この世界の聖属性魔法はわたくしが作ったのですから」


「聖魔法の創設者が、オベールさんの弟子になったんだね。オベールさん凄い……」


「そんな事ないよ。それより、ユーベル君、君のその能力の秘密がついに分かったんだよね? おめでとう!」


「ありがとうございます。でもオベールさん、本当は知っていたんですよね? 無属性魔法の存在」


「さあ、そいつはどうかな? 解明出来たのは君自身の努力だよ」


「チッチッチッ! オベールさん、甘いなー。ユーベル君の魔力の具現化については、まだまだ序の口なんです。そもそも無属性魔法は魔王専用魔法だったわけだし、つまりそれを行使出来るユーベル君は既に魔王なのよ!」


「魔王よりは勇者でありたいのだけど……」


「ユーベル様、大丈夫でございます。そもそもあなたをこの世界に転生させる時、わたくしがあなたに魔王属性を植え込んだのですから」


「まあ、そうだよねー。じゃなきゃ辻褄が合わない……いやいやいや、今の爆弾発言だろ!」


「結果的に無属性魔法が害を及ぼすものではないと分かったのですから良しとしましょうよ」


「……」


 まあ、落ち着け! 


 オリビアは、頭が残念だから、仕方なかった事にしよう、そうしよう。


「じゃあ、シエラの転生の時にはどういった魔法属性をつけたんだ?」


「えっと、シエラ様には、『森羅万象の体得』と言う何か凄そうなスキルをプレゼントしました。たった1つのお願いをユーベル様の為に使った姿に深く感動致しまして……」


 おそらく『森羅万象の体得』と言うのは、シエラが秘めたキャパシティを限界まで広がるスキルなのだろう。


 だが所詮は限界値であり、最初から持っているわけではない。


 今、全属性魔法使用可能であり、剣術まで免許皆伝を持っているのは、間違いなく彼女自身の死に物狂いの努力の結果だ。


 俺は、シエラを誇らしく思った。


 全てがオリビアによって展開された第二の人生に、思う所はあるものの、やはりオリビアが俺とシエラを転生させてくれたから、今があるわけで、そこに関してはオリビアに感謝以外何もないのだ。


「オリビア、俺とシエラを素晴らしい世界に転生させてくれてありがとう。やっと分かったんだ。人生の素晴らしさが」


「わたくしも、ユーベル様とシエラ様のおかげで、この世界の住人になると言う思い切った事が出来ました。そして、何より素晴らしい仲間に巡り合えて感謝しかありません」


「ユーベル君、オリビアちゃん。あたしまた猛烈に感動しちゃったよ。泣いてもいい?」


 大事なお化粧また崩れるぞ。


「じゃあ、僕の役目は、何としても可愛い弟子2人を無事王国アカデミーに編入させる事だね」


 オベールさんは結構やる気らしい。


 刹那、シエラたちが立ち合いを終え、診察室に入ってきた。


「えー!? うそ~。いつの間にかオリビアちゃんが人間になってる」


「白猫のままの方が良かったのか?」


「そんな事ないよ。今のオリビアちゃん、すっごい綺麗だし」


「シエラ様、ありがとうございます。ご希望とあらば、白猫の姿にも戻る事は可能でございますのでなんなりと……」


「それって、またさっきのひっひっふーが必要?」


「はい、無論です。魔力を少なからず消費致しますので」


「じゃあ、一生人間の姿で良いよ」


「ユーベル様がそうおっしゃられるのであれば」


「あの白猫が、こんな可愛い子に変身しちまうなんて、世の中、色んな事あるんだな」


 父さんは、そう言いながらも、オリビアに危ない全裸シャツ姿のオリビアに自分の外套をかけていた。


 父さんらしいな。


「オリビアさん、凄い。とても綺麗で、まるで本物の女神様みたいです」


 シリウス、それ一応本物の女神だ。


 オリビアの髪は、エメラルドグリーンが映えるとても綺麗なストレートだ。


 リーゼがハーフツインセッティングしたがるかもしれない。


 マリーナもリーゼのセッティングは天才って褒めてたからな。


 どんな女神様になるのか楽しみだ。


「じゃあ、皆揃った所で、そろそろ家に戻ろう」


「申し訳ない。また僕もご一緒していいかな?」


「勿論です。シエラとオリビアの大事な師匠ですから」


 俺達は、夕陽が綺麗な田舎の風景を、味わいながら家路についた。


 皆でのほほんと歩く田舎道。


 ――だがその静寂は走りくる足音で破られた。


「みなさーん!! 大変なんでーす!!」


 リーゼとマリーナが息を切らせながら走り寄ってきた。


「どうしたんだ? リーゼ。こっちも女神が生まれて大変だったんだけど」


「え~!? とうとう生まれたのですか? でもこちらも大変なんです!」


「そうなのよ! 急がないと大変な事になっちゃうのよ!」


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