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最強の妹属性 ~前世で助けた女の子がお礼を言いに異世界に会いに来てくれました~  作者: ヒデミケ


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4 シエラ誕生

 疾風迅雷のハンス。


 世界広しといえども、これほどの才能を持った剣士はもう出てこないだろうとまで言われていたらしい。


 最初は自称していただけかと思ったのだが、オベールさんが言っていたことは信用できそうだ。


 もし俺に魔法の才能がないと分かっていたなら、俺は女神様に何を願っていたのだろう。


 分からない。


 ただあの時は、くだらないRPGの5回連続ゲームオーバーの戦犯となった枯渇した魔力を払拭したいが為に枯渇しない無限の魔力を無意識に願っていた。


 その時はこの世界がまだ魔法が存在するかすら分からなかったのに。


 そして何より俺自信が魔法を行使出来るのかどうか確認しておくべきだったのだ。


 なんてアホなんだろう。


 だから今更だけど女神様がいじわるしたとは思わない。


 何はともあれまだ3歳だ。


 剣技はまだこれから才能がまあなくとも努力次第で少しは使えるようになると思う。


 でも魔法はいくら修行しようが資質皆無では使えない。


 それが現実なんだ。


 やはりここはハンスの剣技をマスターしていくのが得策だろう。


 父親の遺伝子を受け継いでいるのなら、剣の資質はかなりあるのかもしれないし、自分で自分の身を守れるくらいにはなりたい。


「ユーベル、剣を教えるにあたって伝えておく事がある」


「どんな事?」


「それはな、人の強さは決して剣では推し量れないという事だ」


 剣では推し量れない? 


 今から剣を学ぼうとしているのに、ハンスは何言ってるのだろう。


 ハンスなりの格言だろうか? 


 まあ覚えておこうと思う。


 さて、実際剣の修練というのは、そんなに単純ではなくまずは柔軟な身のこなしが必要だとのことだ。


 剣を触る前に自己の身体の特徴を覚えろだそうだ。


 齢3歳にして、あーだこーだ言われてもなぁと普通の子供なら考えるかもしれないが、俺は18歳+3歳である。


 21歳、立派な大人ではないか。


 実際は18歳と3歳の年齢の剥離が牙をむいた。


 3歳では身体が満足に動かない。


 走ろうとすると上体が先回りして足がついていかない。


 転倒しても手がつけない……というか手をつくという行動が著しく制御された状態なのだ。


 そして、起き上がるのは時間がかかる。


 一風、年寄りのような感じを受けるのだが根本が違う。


 実際はすべての行動で半分以上力が抜けたような状態になるのだ。


 まずは何より身体を作る事。


 3歳はこれから修練を積めばおそらくそれなりの武闘家くらいにはなれそうな感じだろうか? 


 まあ現世のアニメでいうヤ〇チャとか。


 ここで役立ったのが意外や意外。前世での経験だ。


 とにかく種類は選ばずのバイト三昧の生活。


 ライブ会場の機材搬入等の重労働もあれば、忍耐のいる交通量調査まで。


 割のいい仕事はなんでもやった。全ては大学の授業料の為。


 まぁ、大学ほとんど行ってなかったけど。


 弓道から始まってからのメンタル強化。


 意外とこの世界でも有効なのだ。


 おかげで人並み以上の精神力も持ち合わせたかもしれない。


 そして、ハンスから課された修練というのは、まずは農園の管理。


 具体的には、畑などを荒らす害虫を減らすということだ。


 これが剣の修練に何の関係がある? と問われれば、注意深さが増すだとか、素早い害虫を見つけることで動体視力が増すだとか3歳+18歳の俺は答えるだろう。


 そして、後でハンスの狙いを知ることになる。


 これが3歳児の手を何とか家業の手伝いの足しにしたいだけだったことが。


 だが、これがハンスが思っていた以上の成果を上げることになったのだ。


 長い時間小さな害虫を探す集中力、3歳児にして畑一面動き回る足腰。


 副次的な効果が後になって表れることになったのだ。


 本格的に身体造りを始めたのが4歳になった時だ。


 そして4歳になった当日、嬉しい事が起こった。


 マリアンが女の子を出産したのだ。


 一目でわかった。これは将来とてつもない美人になる。


 マリアンゆずりの優しい瞳にどっからどう見ても文句のないハンスのような顔立ち。


「この子の誕生日、すごいわ。ユーベルあなたと同じ日よ。何かの縁かもしれないわ」


「そうだな。良く生まれてきてくれたな。ユーベルの誕生日なんてめでたい日に。そうだ。ここはユーベルにこの子の名前つけてもらわないか?」


「うん。わたしもそう思っていたの。ユーベルの生まれた日に生まれてきてくれたなんて。今日この日に会いに来てくれてありがとう」


 二人とも涙ぐんでいる。


 あっ? 俺も今回はもらい泣き。


 4歳だから恥ずかしくないや。


「いいの? 僕がお名前つけて。それじゃあ、シエラがいいな」


 前世嵌っていたRPGのボス対戦で散ってしまった時の聖女の名前だ。


 これからは俺が守りたいという願いを込めた名前だった。


「シエラちゃんね。可愛い名前ね。ユーベル素敵な名前をつけてくれてありがとう」


「シエラ。いい名前だ。さすが俺の跡継ぎだ」


 この世界の事はまだそこまでよくは分からない。


 だけど、守らなければならないものが出来たのは、俺の人生において大事なことだと思う。

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