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最強の妹属性 ~前世で助けた女の子がお礼を言いに異世界に会いに来てくれました~  作者: ヒデミケ


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2 赤ん坊なら許される

 新たに目が覚めると、視界は何か肌色のものに遮られていた。


 その弾力のある何かを必死に掴んで、何を思ったか、俺はその先を口に含んで吸っている状態だった。


 まさか、この状態をしっかりした意識を伴ったまま経験できるとは。


 いやらしいとかそういった概念は全くなく、ただこの時はこの体験が嬉しかった。


 そう。母乳で哺乳されていたのだ。


 転生したら勿論どんな状態になるかは何となく分かっていた。


 完全な赤ん坊である。


「んっ? あら? 今日はユーベルちゃん、よく飲むわねぇ」


 俺の名はユーベルと言うらしい。


 どうやらいつもより吸い付きがいいらしい。


 決していやらしいわけではない。


 いや、いやらしくてもいい。


 赤ん坊だから……赤ん坊なら許される。


 ただし18年間人間を経験した赤ん坊だが。


 純粋に母乳は何だか懐かしい感じがするんだ。


 多分本能なんだろう。


 母乳が例えどんな味なんだろうと、それを求めるのは哺乳類の神秘なのだろう。


「ほう? ユーベル。今日は特に吸い付きがいいんだなあ。まあマリアンは特に胸の形も一級品だしな。

 一旦吸い始めたら吸い続けたい気持ちはわかるぞ。なんたって俺もそう……」


「やめて! ユーベルちゃんの前でしょ。あなたったら、いやらしい!」


「おっと、すまんすまん。ついな……」


 この後すぐ判明するのだが、この確実にエロそうな父親はハンスと言う名だ。


 かなり鍛え上げられた身体だ。


 しかも顔も整っている25歳だ。


 そして、形のいい一品を持ったマリアンも流れるような金髪にくりっとした眼。


 見方によってはまだ20歳前にも見えるくらい童顔だ。


 実際は23歳、美しく可愛いし、ハンスが羨ましいぞ。


 ただし、ユーベル、俺自身もこの二人の血筋はしっかり受け継いだようで、金髪、マリアンゆずりのぱっちりした瞳、ハンスの顔立ちの良さの要素も兼ね備えていた。


 どうやら容姿的には恵まれてしまったと言わざるを得ない。


 見たところ、建物の造りから言って、お世辞にも裕福そうには見えない。


 だけど、俺はこの夫婦の間に生まれた子供で良かったと実感した。


 毎朝、食卓からは良い匂いが漂ってくる。


 2人の会話から、緑黄色野菜の自家栽培や、農場を持っていて、ニワトリや牛まで数頭はいる事が分かった。


 マリアンは、どうも大の料理好きらしく、食欲旺盛なハンスは人の倍くらいは軽く食べる大食漢だった。


 俺もこんな若作りの美人ママの手料理が早く食べてみたいと思うのは贅沢なのだろうか?


 多分、贅沢なのだろう。


 おっぱいを卒業させられるまでは。


 この世界に転生して、確実に分かった事がある。


 元から、この世界の言葉が分かると言う事だ。


 両親の言葉が理解出来るという事は、俺自身も話せる可能性が高い。


 そして、両親が離れた隙を見計らって……


「あ、あ、あ。俺はユーベル」


 声帯はまだ完全に出来あがる前だろうが、しっかり発音出来た。


 これなら、もしかして……


 ああ、なるほど。


 勿論まだ歩くのは無理だった。


 成長自体は普通の赤ん坊と同じだと考えられる。ただ心は18歳。


 ここに関してはラノベで読む設定通りに転生が行われたようだ。


 注意すべきは、両親の前でそれなりの月齢になるまでは言葉を発してはいけない。


 気味悪がられたら嫌だし。


 お腹が空くと、マリアンを見てすぐ”おっぱいちょうだい!”と卑猥な事を言いかけてしまう危機が何度もあったが、何とかこらえ俺はこんな素晴らしい両親の元、すくすく育っていった。


 赤ん坊のうちはそれでも有り余る時間を何かに使いたいものだ。


 どの赤ん坊も、3歳くらいまでは話す立つ歩く用をトイレで足すとかそこまでの修行で終わるはず。


 だが俺は既に18歳の赤ん坊だ。


 両親がいなくなった隙を見ては、本棚をまさぐって書物をあさったりして過ごしていた。


 とにかくここがどんな世界であるのか、まずは知るべきだと思ったからだ。


 ベッドの下とかにもコッソリ本が置かれていることもあったが、それはスルーした。


 見てはいけないものもある気がしたので。


 確認したところ、ここはルートリア王国内の領地ではあるが、相当な辺境である為、決まった貴族の管理下にはなっていないようだった。


 おそらく領地としておくにはリスクが高く、地下資源にも恵まれておらず、生産性が乏しいと考えられたからだろう。


 税としては国に幾ばくかの農産物や家畜を租税として納めている。


 そんな辺境の村でありアイル村と言った。


 そして俺の両親は、そんな地ながらも二人協力して家畜を育てたり、農作物を育てたり、またハンスは狩りにも出かけることが多かった。


 平気でワイルドボアという巨大なイノシシの魔物などを何事もなく担いで持って帰ってくるのだ。


 ハンスはおそらく凶悪なくらいの強さなのだろう。


 どうやら傭兵をしていたらしいのだけど、あまり功績らしいものはないようだ。


 言葉は2歳辺りで完全に覚えたふりをして、これは早計だと思ったがオムツも卒業した。


 だって……ねぇ。やはり気持ちが悪いから。


 いよいよ3歳。


 うん、もうその能力を開放してもいい頃だろう。


 ここで俺は動いた。


 この世界には魔法が存在するらしい。


 魔法とは? 


 夢に見ていたファンタジー世界。


 実際に見る魔法とはどういうものなんだろう?


 想像するだけでワクワクした。


 それを実践してみるのだ。


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