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最強の妹属性 ~前世で助けた女の子がお礼を言いに異世界に会いに来てくれました~  作者: ヒデミケ


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12 シエラはアイドル級

とりあえずこの事は母さんにも報告しておこうと思う。


 シエラの魔法の全属性適性事件の日以来、家族に隠し事はしない約束になったのだ。


 これは勿論、母さんにも父さんにもあてはまる。


 家族内で喧嘩が増えるような気もするけど、全て本音がぶつけあえるから、俺としては心地よかった。


 前世でも親に本音を語るなどなかなか出来なかった気がする。


 まあ性格自体がねじ曲がっていたせいかもしれないけど。


「マリアンには俺が腕が滑ってお前を真っ二つにしそうになったこと黙っていてくれるか? 今日、夕飯一品好きなものやるから。隠し事をしない約束はノーカンな! ノーカン!」


 やれやれ……疾風迅雷のハンスとも呼ばれた英雄が情けない……


 まあ、確かにこれを知ったら母さんは発狂しかねない。


 自宅のドアを開けた。


「母さん、いる?」


「あら。今日は上がり早いのね。さすがにそろそろお父さんにも、ガタがきたかしら」


「いや、そうじゃないんだ。今さっきの稽古中にね。俺にとんでもない変化が起きたんだ。現象が不可解だから、オベールさんにどういう事か聞きに行こうと思うんだ」


「そうなの? わたしもあなたの変化なら聞いてみたいわ。そうだわ。いつもオベールさんには、シエラがお世話になっているし、今日は急遽夕飯を作っていくわね」


「マリアン、その事だけど俺の夕飯からユーベルの好物を一品あげて欲しいんだ。ユーベルも成長期だし、食欲旺盛だからな」


 早速、約束を実行するとは。さっきの事よっぽど気にしていたんだろう。


 俺達は夕日が落ちかけた中、黄昏時を3人で歩いた。


 なかなかこういった家族団らんも平和でいいな。


「そろそろ、診察も終わってシエラも帰る準備の頃合いかしら」


 教会に近づくと、よく診察にくるおばあさんが笑顔で出てくるところだった。


 軽く会釈する。


「今日もシエラちゃんに治癒魔法かけて頂きました。ありがとうございます」


 村が小さい為、自然と顔なじみが増える。


「いえ、お元気そうでなによりですわ」


 教会の扉を開けた。


 教会内は、静まり返り、診察室にだけ煌々と明かりが灯っていた。


 どうやら神父様たちは巡礼か何かで帰りが早いのかもしれない。


「お邪魔します」


「これはこれは、マリアンさん。それにユーベル君、それにハンスまで一家総出でどうしたんだい?」


「今、診察終わったところだよ」


「オベールさん、シエラお疲れ様です」


 シエラは11歳。今は神官服を着ている。


 オベールさんに弟子入りしてから、特別に神官服を仕立てて貰えることになったのだ。


 何度見ても似合う。


 つい見とれてしまった。


「そういえば、シエラちゃんね、最近親衛隊みたいなのが結成されて、大変な事になってるんだ」


「師匠、大げさです。わたしそんなんじゃないです」


 いや、そんなんじゃあると思うぞ。


 ついにアイドルになってしまったか。


「それよりも皆してどうしたの? もし急ぎじゃないなら、わたしからすごい発表があるんだ」


「急ぎと言われたら、どうだろうな。だがこっちも大変な事が起こってるんだ。オベールじゃないとおそらく解決しない問題だ」


「そうだな。そっちの大変な事も気になるけど、シエラちゃんについてを先に説明しておくよ」


「シエラちゃんは知っての通り、魔法の全属性を扱える。最近までは1属性毎にデータをとって得意不得意を確認していたのだけど、聖属性がとりわけ異常に適正が高くてね。今では、四肢欠損レベルの治療まで出来るようになっているんだ」


「まるで聖女だな」


「うん、正直ここまでの魔法が行使できるのは上位司祭でも数えるほどだ。だけど、ここまでならそう驚くことじゃない。問題となるのは闇属性魔法だ」


「闇属性。あまりいい印象受けませんけど」


 母さんが怪訝な表情だ。


 俺も何となくだが、闇属性と聞くと、魔族とかが得意そうな感じを受ける。


「そう、印象としてはそれで正解なんだ。実際のところ、呪術魔法、呪詛魔法、ネクロマンシーの領分まで組み込まれている。そして闇属性に適正がある人は世界広しと言えども10数人程度だそうだ」


「そんなやばいのか? 魔法は?」


 父さん、魔法でくくらないでくれ!


 魔法全部がやばいわけじゃないから。


「だけど、そんな中、一つ有用な魔法を発見したんだ。【ドレインタッチ】だ。これは他人に触れる事で魔力を直接吸い取るという魔法だ。正直地味な魔法で実用性を考えても使いどころが難しいのだけど……」


「師匠が言うには、わたしはまだ全ての属性についての魔法を行使するには問題がある。とにかく制御が仕切れない可能性があると言うの。それは元々内在しているわたしの魔力がかなり多いって言うのが一番の原因で、下手に高度な魔法を使うと魔力暴走が起きかねないみたいなの」


 そうなると、魔法の練習が簡単には出来ないな。


「そこで師匠が目をつけたのが【ドレインタッチ】。元々お兄ちゃんが魔力の充電器みたいな感じでしょ? わたしの膨大にある魔力を【ドレインタッチ】でお兄ちゃんに流し込んじゃえばいいんじゃないかって事になって。わたしの内在の魔力を30%くらいまで減らせば心置きなく魔法の実験ができるって寸法なの。お兄ちゃんの魔力は無限、わたしの魔力は膨大。無限+膨大は無限でしょ? お兄ちゃんに負担なさそうだし」


 通常は対象から魔力を奪う魔法の逆利用か。


 理屈だといけるのかな?


 シエラが全属性適正ありという事を国の魔道機関に知られてはならない。


 軍事転用は絶対させてはならない。


 その事を徹底する上でもシエラの魔力限定はいいのではないかと思う。


 正直生活上汎用できるレベルの魔法だけでも、今は十分なくらいだから。


「いいんじゃないか。それ。早速やってみてもいいと思う。シエラが総魔力量の30%くらいまで減らしておけば、魔法を最大出力で使えそうだし、ストレスも減りそうだしね」


 シエラ、オベールコンビは上手くいっているようだ。

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