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【書籍化】令和の化学者・鷹司耀子の帝都転生 ~プラスチック素材で日本を救う~【旧題:鷹は瑞穂の空を飛ぶ】  作者: 雨堤俊次/コモンレール
世界恐慌編

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対艦攻撃演習

 ある晴れた日の事、硫黄島の沖合で、海軍航空隊の対抗演習が行われた。

 演習の内容としては、青軍が守る空母を含む小艦隊を、赤軍が攻撃するというものである。


『各機、異状ないか』

『問題ありません。快調ですよ』


 八七式戦闘機「長元坊」三型乙を装備する赤軍護衛戦闘機隊指揮官機の山階宮武彦王中佐は、戦闘機隊に異常がないか確認する。


日本航空技術廠 八七式戦闘機 "長元坊" 三型甲 

機体構造:低翼単葉、引込脚

 胴体:PBT系GFRPセミモノコック

 翼:ウィングレット付きテーパー翼、PBT系GFRPセミモノコック

  フラップ:ファウラーフラップ

乗員:1

全長:8.0 m

翼幅:10.2 m

乾燥重量:1400 kg

全備重量:2030 kg

動力:帝国人造繊維 C222D 強制ループ掃気2ストローク空冷星型複列18気筒 ×1

 離昇出力:1120 hp

 公称出力:1050 hp

最大速度:579 km/h

航続距離:2160 km

実用上昇限度:10000 m


武装

9.3mm 九三式航空機関銃(翼内固定)×2

25mm 九四式航空機関銃(機首固定)×1

爆装:60kg


『攻撃隊、逆探に反応はないか』

『いえ、特に反応はありません』


 今回、九三式爆撃機「青鷺」を装備する攻撃隊の指揮官機には、電波探知機、つまり逆探が装備されている。青軍旗艦に電波探信儀(レーダー)が搭載されていることを想定し、青軍は硫黄島基地の電探を使用できることになっていた。つまり、青軍のレーダーに探知されたことが、赤軍にもわかるようになっている、ということである。

 

帝国人造繊維 NA32B 九三式爆撃機 青鷺 2型乙

機体構造:低翼単葉、双胴、引込脚

 胴体:エポキシ樹脂系GFRPセミモノコック

 翼:ウイングレット付きテーパー翼、エポキシ樹脂系GFRP+AFRPセミモノコック

  フラップ:ファウラーフラップ

乗員:3

全長:11.0 m

翼幅:15.6 m

乾燥重量:4300 kg

 全備重量:6800 kg

動力

 日本航空技術廠 (まもり) 1型甲 OHV4バルブ強制吸気4ストローク空冷星型単列9気筒 ×2

 離昇出力:1440hp/2400rpm

 公称出力:1200hp/2000rpm

最大速度:490 km/h

航続距離:1900 km

実用上昇限度:11000 m

武装:9.3mm九三式航空機銃(旋回)×2

爆装:1600kg


「そろそろばれてもおかしくないと思うんだが……」

『……あ、電探に感! 探知されたようです!』


 周囲を見張りながら武彦がつぶやくと、攻撃隊指揮官機から逆探に反応があったことを知らされた。


『攻撃隊は防御隊形に移行! 戦闘機隊は第3小隊と第4小隊が高度4000まで上昇しろ!』

『了解!』


 即座に臨戦態勢に入るよう指示を出し、戦闘機隊の一部の高度を上げさせて青軍戦闘機隊へのカウンターを準備する。

 しばらく飛行していると、上に上げた戦闘機小隊から連絡があった。


『敵戦闘機隊を視認! 大多数はそちらに向かっています!』

『了解! 迎撃する!』

『攻撃隊はこのまま敵艦隊を攻撃します! ご武運を!』


 赤軍各機はスロットルを全開にし、戦闘機隊は上空から襲い掛からんとする青軍を迎撃、攻撃隊はそのまま直進して目標である空母1、軽巡1、駆逐艦5のハリボテを目指す。

 攻撃機隊は1機当たり20発の6番噴進弾を翼下に懸架しており、これをもって敵艦隊の防空火力を削ぐことが第1次攻撃隊の目標であった。


帝国人造繊維 6番噴進弾

弾頭直径:120mm

弾頭重量:20.4kg(榴弾)

重量:60kg

初速:470m/s

推進薬:ブタジエンゴム系コンポジット推進薬

モーターケース:エポキシ系AFRPモーターケース

制御方式:旋転安定式

射程:5000m


「このっ!」


 武彦はバレルロールで軸をずらし、ヘッドオンで相討ちを狙ってくる敵機をいなす。そのまま相手の動きを読んですれ違う前から急旋回をはじめ、自分をオーバーシュートした相手の後ろを取った。


「やりにくいな!」


 しかし、相手も長元坊の横転性能を活かし、激しく左右に動いて照準を定めさせない。いわゆるシザーズの形で時間を稼がれてしまう。こうなると敵の僚機にこちらが後ろを取られかねないため、武彦はさっさと撃墜判定を出すか、どさくさに紛れて別の機体に攻撃対象を切り替えるかしなければいけなかった。


「……次はそっちだ!」


 タイミングよく、自機の近くで別の機体が戦っているのを見つけたため、武彦は相手に悟られないように離脱し、新たな目標へと突撃する。


「……いけ!」


 一瞬後ろを確認した後、武彦は引き金を引いた。ガンカメラが回り、正面の敵を撮影する。審判から撃墜を連絡されたのか、攻撃した敵機は演習空域から離脱していった。


 武彦たちが青軍戦闘機隊を引き付けているものの、今回は一部が漏れてきて攻撃隊に食らいついてくる。いつもは攻撃隊の戦闘機が多いため、悠々と攻撃できていたことを思うと、相手にレーダー誘導があることといい、難易度の高い演習をしていることを実感させられた。


『衝突を恐れず密集するんだ!』


 指揮官が督戦する。双胴式であることを活かして、青鷺の旋回機銃は一般的な攻撃機の倍である2挺が装備されている。4機が菱形編隊を組めば8挺による集中砲火が行われるわけで、ガスト式9.3mm機銃の連射力も相まってバカにならない攻撃力を発揮できるとされていた。


『2小隊3番機撃墜!』

『3小隊4番機撃墜!』


 そうはいっても所詮は低速な爆撃機である。防弾もしっかりしているとはいえ、ぽろぽろと犠牲者が出ていた。


「いつもなら行って帰ってくるだけの簡単な演習なのに……!」


 指揮官は歯噛みする。6番噴進弾の射程は魚雷の5倍にもなる5000m。たまに戦闘機に絡まれたあと、少し対空砲に炙られたら、このロケット弾を遠投して帰るだけの簡単な演習が近年は多かった。これでは訓練にならないと仲間と軽口をたたきあっていたが、ようやくこの戦術に対する対抗策を編み出せたということなのだろうか。

 標的までの数kmが、いつもよりずっと遠く思えた。


「目標まで距離6000!」

「噴進弾発射用意!」


 操縦手が叫ぶ。魚雷と違ってロケット弾は全速力で飛びながら発射できるから、空気抵抗で速度が落ちるとは言っても127m/sの速度は出せる。つまり、あと8秒足らずで射点につけるということだ。


「目標まで距離5000!」

「テェー!」


 攻撃隊指揮官が自機の操縦手に叫んだころ、各機でも各々照準を終えて次々と6番噴進弾を発射する。


『各機離脱せよ!』


 生き残った攻撃隊は反転して帰投しようとする。偵察員や後部機銃手たちには、ロケット弾の白い筋が標的にスーッと伸びて行き、やがて爆炎に包まれていくのが見えていた。

辺境伯家の食客、今週も更新しています。大陸系よろしく、大量に突撃してくる敵兵と、泥沼の白兵戦が行われています。

https://ncode.syosetu.com/n7555jm/43


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挿絵(By みてみん)

本作世界のチベットを題材にしたスピンオフがあります。

チベットの砂狐~日本とイギリスに超絶強化されたチベットの凄腕女戦車兵~ 

よろしければご覧ください。
― 新着の感想 ―
そろそろ時代的に、中島飛行機発動機製造所(荻久保工場)で、空冷の栄エンジンで空冷の限界と言われていた、1000馬力を突破する事に成功した中川良一氏の確保が重要ですね。 栄20が太閤の改良に従事し、傑作…
本格的なほこたてになって来ましたか。 対空砲火や護衛艦潰しにロケット弾を使う仮装戦記でも、前半は有効ですが、後半になると対抗策(レーダー誘導でロケット弾搭載機を狙う)が出て来て、更にロケット弾が長射程…
噴進弾は自動追尾なのかな?ただこの時代の航空機って空戦能力が高いから正面遠くから来た低性能なミサイルとか平気で躱しそうな気もする。
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