↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お姫様の恋 ~ハーボルト王国 王室に嫁いだ姫君たち~  作者: 松本せりか
見た目は17歳、中身は12歳の悪役令嬢
PR
30/106

第30話 リリーの捜索 由有紀の意地と魂

 私がたどり着いたのは、クラレンスの執務室。

 周りはやっぱり無反応なのでちゃんと結界も張れたみたい。

 なにか、体がきしむように痛いけど。


「キャロル? ……ユウキ嬢?」

 痛みで倒れそうになったのを、クラレンスはとっさに支えてくれた。

 自分だって、まだ痛いはずなのに。

 私を支えてくれている腕にそっと手を置く。体を癒すための能力を使った。


「痛みが……消えた?」

 クラレンスは呆然として言っている。

 うまく治せたみたいで、良かった。

 

 また、ズキンと心臓のあたりに痛みが走った。

 そっか、賢者の能力を使うと体に負担がかかって痛いんだ。


「すみません。クリス殿下が、そのまま帰すから。私、賢者の間に戻って、リリー様を探しますね」

「あっ、まって……ユウ」

 何か言いかけてたみたいだけど、何だったんだろう。



 次の瞬間には、賢者の間に戻っていた。

 まるで、そこに私が帰ってくるのが分かっていたように、私のすぐ目の前の位置で、クリスが待っていた。

「何やってるの? 君は」

 真顔……と言うか冷たい目で見られている。


「クリス殿下には、関係ないです」

「ふ~ん。関係無いんだ」

 クリスは、私を睨んだまま、さっきまで探索に使っていた水晶を消した。

「関係……無いです」

 怖くても頑張れるのは、内側から賢者のクリスが寄り添ってくれているのが分かるから。

 だって、最初の夜会の時より怖い。


「好きにすれば?」

 そう言い残して、クリスは賢者の間の奥の方に行って、転がってしまった。

 多分、もうクリス殿下は協力してくれない。


 私は、水晶を出した。

 心臓に、痛みが走った気がした。でも、これは……。

 大丈夫。慣れた痛みだ。以前の体の心臓が痛い時の。

 良かった。前の体はすぐに倒れていたけど、この体は大丈夫だ。

 リリーを助けるまでもてば充分だもの。


 水晶を見て、捜索範囲は中にいるクリスに任せて探し出す。

 時々、きしむような痛みもするけど。平気だわ。


 奥に転がっている(もう、自室に戻ったかもしれないけど)クリスの事なんか忘れて、私はずっとリリーを探していた。

 なにか肩に触れて、スッと痛みが消えていく。

 振り返ると、そこにはクリスがいた。

「よくこんな痛みに耐えてるね」

「前の体の心臓発作よりはマシですから」

 痛みが消えたのは、有難いけど、時間が惜しい。

 私はまた水晶の方に向き合った。


「悪かったよ。僕が探すから賢者の能力使わないでくれる?」

「結構です。殿下にただ働きさせるなんて、とんでもないです」 

 私にだって意地があるのよ。なけなしの意地だけど。

 だって、イヤイヤ手伝ってもらって、その都度、文句言われるのもイヤだもん。


「君の魂がもたない。お願いだから。ユウキ」

 なんだか必死になって、言ってるみたい。

 分かってるよ。もたないって、わかってるから急いでるのに。うるさい。


「ごめん。もう無理だって、消えてしまっても良いって言ってたのに、意地悪言ってごめん」

「クリス殿下?」

 こちらの礼を執るやり方で無く。体を直角に曲げて謝っている。

 なんだか、ずるい。


 私の体がふわっと宙に浮いて、探索に使っていた水晶はクリスが自分の方に引き寄せた。

 痛みが完全に消えて、楽になる。


「僕が、責任を持って探索するから待っていてくれる?」

 少し痛いような、力ない笑い方をしている。

「なんで……」

「君は、その能力を使うたびに、命を……魂を削っているんだ。魂の消滅を避けるためにこちらの世界に来て、賢者と離れたのに、これじゃ本末転倒だろ?」

 そんな理由だったんだ。

「僕らの転移と、リリーたちの国外脱出のための転移だけだと思ったから、実行しようと思ったんだよ。僕と賢者で内外から君を支えたら何とかなると思って」

 クリスは私をゆっくり床に降ろした。


「今回だけ……君の言うとおりに動くよ。だから、その能力を使わないで頂けますか?」

 目の前で、今度はクリスから完ぺきな礼を執られた。

「あの……。水晶でリリー様を探索して頂けますか?」

「喜んで」

「それと、リリー様を国外へ転移する時に、クラレンス殿下にも、立ち会わせて頂けますか?」

 クリスがピクッと反応したけど。

「仰せのままに。リリーが見付かったら、すぐにこちらに呼ぶって事で良いかな」

「お願いします」

「かしこまりました」


 クリスはもう一度礼を執って、水晶に向かい、探索を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。