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お姫様の恋 ~ハーボルト王国 王室に嫁いだ姫君たち~  作者: 松本せりか
見た目は17歳、中身は12歳の悪役令嬢
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第20話 クリス殿下とキャロル 夜会にて

 大丈夫かな、クラレンス。

 クリスと公爵夫人とも別れた後、他の方々との談笑もこなした。

 気にはなるけど、自分の仕事はちゃんとしないといけないと思う。

 

 夜会に来てすぐに、クラレンスの下に来た方々とは一緒に挨拶をしたけど、それとは別に女性たちの社交もある。

 初めての時は、私自身……というか、キャロルの噂がひどかったので殿下たちが庇ってくれていたけど……ここで生きていくのなら、毎回スルーも出来ないよね。


 ご婦人方と談笑をしながらふと考える。

 キャロルの代わりに、クラレンスのパートナーを務めていたリリーは、ちゃんとこの役割を出来ていたのかな。



 しないといけない社交を終えた後、ひと息つくのに会場の端でボーっとしていた。

 クリスがやって来るのが、見える。ちょっとは、休憩させてって思うのだけど。

 両手に飲み物を持ってる?


「ちょっと、テラスの所までいかない?」

 テラスのところから、お庭に降りたところに点々とテーブルを設置している。

 夜食室とは違う、ちょっとした語らいの場を作っているようだった。


 私が椅子に座ったら、クリスが飲み物を渡してくれる。

「ジュースだから、安心して。しゃべりっぱなしで喉が渇いただろう?」

 今は優しい笑顔をしている。でも、やっぱり賢者の間のクリスとはちょっと違うかな?

「ありがとうございます」

 素直に受け取って、口を付けた。甘い、炭酸が入った飲み物だ。

 自分の分は、テーブルに置いてクリスも椅子に座った。

 飲み物を飲んでいると、唐突にクリスが訊いてきた。


「キャロルは、クラレンスに付くんだ」

 少し低めの声だ。

「クリス殿下のおっしゃっている意味が分かりかねますが」

 私も警戒して、話した。

「へぇ~。あんな、切り返しをしてきたのに?」

 あんなって。

「だって、ポテチ食べたり、大福食べたりする仲っていえないし」

  私も声を低くして言う。一緒にお茶したのは、クリス殿下とじゃないけど。

「あれは、賢者の方だろう? ったく、何やってんだかと思うけど……じゃなくて」

「だって、わたくしの立場でクリス殿下のお話を無視したり、さえぎったりしたら不敬でしょ? それにあれは、わたくしじゃ無くキャロルのスキルですもの」

「まぁね。泣かないでいるのが精一杯の君じゃ、無理だしね。まだ」

 まだ? まだって一体。


 ああそうだ。

「そういえば、先ほどはありがとうございました」

 お礼を言うと、クリスが意外そうな顔で私を見た。

「お礼を言われるようなことは、何もしていないけど?」

「リリー様の事。わたくしが兄に何を話したのか知っているのでしょう?」

「ああ。この体にも賢者の一部は入ってるからね。記憶の共有は出来てる。それで?」

「クリス殿下が噂にしてしまえば、わたくしが言わなくても兄の耳に入ってしまいますもの。だから、わたくしが兄に言ったという事を無かったことにしてくださったんでしょう?」


「ユウキも頭良いじゃない。キャロルはそんなこと考えないし。でも、お礼言ってていいの? 多分、明日にでも国王命令でリリーの捜索始まるし。クラレンスも、王宮側より先にリリーを見付けて逃がそうと躍起になるんじゃない?」

 クスクス笑いながら、クリスは言った。

 多分も何も、クリスがそう言うからには、本当に捜索は始まるのだろう。


 クラレンスは、やっぱり探しに行ってしまうのかな。国王命令を無視して。

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