第13章 告発
正午、複数の報道機関がWEGの内部記録を公開した。
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「男は、子供を産めない」
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最初に流れたのは、その声だった。
続いて、男性徴兵制度による死傷者の予測、評価項目からの意図的な除外、助成金の条件、抗議者を保守派の抵抗として売り込む資金調達資料が公開された。
エリオ自身の確認書と声明も、同時に発表された。
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私は、内部に残れば組織を変えられると考え、男性徴兵に関する記述の削除を受け入れました。
その判断は誤りでした。私は、消してはならない数字を消しました。
どうか、資料を読んでください。男性解放軍を信じる必要も、私の思想を支持する必要もありません。
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声明が拡散しているあいだ、エリオはもう、救出拠点にはいなかった。
ユアンは荷受けの手を止め、公開された録音を聞いた。
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聞こえなければ、ないのと同じ。
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父の死を語ったときの母の声と、録音の中で書類をめくる音が、頭の中で重なった。
彼は同じ箇所を、何度も聞き直した。
ローヴェンの国際会議施設では、朝からWEGの理事会が開かれていた。
次年度の予算と、各国への政策提言を決める会議だった。公開された古い記録の9人が、この日も揃っていた。
午後になると、会場前に人が集まり始めた。
息子の写真を掲げた母親が、記者のマイクへ叫んだ。
「私の息子の死は、あなたたちの統計に入っていますか!」
WEGの広報担当者は答えた。
「軍事分野の死傷者数は、私どもの男女平等評価の主たる対象ではありません」
報道の画面が、怒号で揺れた。
会議室では、寄付者への説明と、組織資産の保全が話し合われていた。
「資料の流出経路を先に調べて」
マルタは、議案を閉じた。
「方針は変えません。ここで撤回すれば、今までの評価まで否定することになる」
9人が会場の外へ出る前に、男性解放軍の兵士たちが入ってきた。
警備員の制止に、兵士たちは従わなかった。
先頭にいたエリオが、マルタへ銃を向けた。
「9人とも、立て」
エヴァは、別の建物で記者の質問に答えていた。
職員が差し出した携帯端末に、理事たちが連れ出される速報が映った。
エヴァは画面を見つめた。
「何を、しているの」
エリオの電話番号を押した。
呼び出し音だけが続いた。
午後6時までに、9人全員が解放軍に連れ去られたことが確認された。
警察は追跡を始めたが、居場所はつかめていなかった。
拘束を知らされたユアンは、自分も行くと申し出た。
その日の朝には、幹部の辞任さえ実現するかわからなかった。
夕方には、9人の生死を、1人の男が握っていた。




