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男性解放軍  作者: 平田智剛


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13/17

第13章 告発

正午、複数の報道機関がWEGの内部記録を公開した。


┌────────────


 「男は、子供を産めない」


└────────────


最初に流れたのは、その声だった。


続いて、男性徴兵制度による死傷者の予測、評価項目からの意図的な除外、助成金の条件、抗議者を保守派の抵抗として売り込む資金調達資料が公開された。


エリオ自身の確認書と声明も、同時に発表された。


┌────────────


 私は、内部に残れば組織を変えられると考え、男性徴兵に関する記述の削除を受け入れました。


 その判断は誤りでした。私は、消してはならない数字を消しました。


 どうか、資料を読んでください。男性解放軍を信じる必要も、私の思想を支持する必要もありません。


└────────────


声明が拡散しているあいだ、エリオはもう、救出拠点にはいなかった。


ユアンは荷受けの手を止め、公開された録音を聞いた。


┌────────────


 聞こえなければ、ないのと同じ。


└────────────


父の死を語ったときの母の声と、録音の中で書類をめくる音が、頭の中で重なった。


彼は同じ箇所を、何度も聞き直した。


ローヴェンの国際会議施設では、朝からWEGの理事会が開かれていた。


次年度の予算と、各国への政策提言を決める会議だった。公開された古い記録の9人が、この日も揃っていた。


午後になると、会場前に人が集まり始めた。


息子の写真を掲げた母親が、記者のマイクへ叫んだ。


「私の息子の死は、あなたたちの統計に入っていますか!」


WEGの広報担当者は答えた。


「軍事分野の死傷者数は、私どもの男女平等評価の主たる対象ではありません」


報道の画面が、怒号で揺れた。


会議室では、寄付者への説明と、組織資産の保全が話し合われていた。


「資料の流出経路を先に調べて」


マルタは、議案を閉じた。


「方針は変えません。ここで撤回すれば、今までの評価まで否定することになる」


9人が会場の外へ出る前に、男性解放軍の兵士たちが入ってきた。


警備員の制止に、兵士たちは従わなかった。


先頭にいたエリオが、マルタへ銃を向けた。


「9人とも、立て」


エヴァは、別の建物で記者の質問に答えていた。


職員が差し出した携帯端末に、理事たちが連れ出される速報が映った。


エヴァは画面を見つめた。


「何を、しているの」


エリオの電話番号を押した。


呼び出し音だけが続いた。


午後6時までに、9人全員が解放軍に連れ去られたことが確認された。


警察は追跡を始めたが、居場所はつかめていなかった。


拘束を知らされたユアンは、自分も行くと申し出た。


その日の朝には、幹部の辞任さえ実現するかわからなかった。


夕方には、9人の生死を、1人の男が握っていた。

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