第11章 帰還命令
ヴァルド政府が解放軍を称賛してから4か月後、同じ政府から通知が届いた。
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エルティア併合に伴い、旧エルティア軍の兵士はヴァルド連邦の国民となった。
ついては、戦時動員に必要な兵員として、順次引き渡すこと。
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通知を読み終え、エリオは笑った。
「まったく、よくできた冗談だ」
参謀長が尋ねた。
「どう返信しますか」
「拒否する」
「ヴァルドは、これまで我々の活動を支援してきました」
「だから?」
「補給を止められるかもしれません」
「止めさせろ」
「敵に回せば、我々は……」
エリオは通知を机に置いた。
「我々は男たちを戦場から救うためにいる。救った男たちを戦場へ返すなら、何のための軍隊だ」
「彼らは、エルティア人ではなくなったと」
「勝手に国籍を書き換えて、今度は自分たちの兵士として使うつもりか」
エリオは冷たく笑った。
「国旗の色が変わっても、食器の形は変わらんらしい」
ヴァルド連邦への返答は、1文だった。
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男性解放軍は、徴兵を目的とする捕虜の引き渡しには応じない。
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翌月、燃料の供給が止まった。
その翌月、食料輸送船が来なくなった。
ヴァルド政府の同じ報道官が、同じ演台に立った。
「男性解放軍は、国際法上の地位を持たない不法武装集団です」
今回は笑わなかった。
背後の画面から、毛布をかけられた男たちは消えていた。
「戦争で混乱した人々を違法に拘束し、我が国への帰還を妨げています。人道を口実にした犯罪を、これ以上放置することはできません」
ユアンはテレビの音量を下げた。
「同じ人ですよね」
隣にいたアミンが頷いた。
「俺たちが、いらなくなったんじゃない。返せと言っても、返さなかったからだ」
エリオの机には、各国から警告文が積み上がった。
参謀たちは撤退を提案した。
中立国へ移転する案も出た。
だが、受け入れる国は見つからなかった。
基地の男たちは、それでも離れなかった。
「司令官に命を救われたんです」
「俺たちは司令官のためなら死ねます」
「世界中が敵でも、戦います」
だが、エリオは、その忠誠を聞くたびに苦い顔をした。
「私のために死ぬな」
兵士たちは笑って答えた。
「またまた、司令官」
「本気で言っている」
「わかってますって」
兵士たちは笑顔のまま、彼の次の命令を待っていた。




