↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男性解放軍  作者: 平田智剛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/17

第11章 帰還命令

ヴァルド政府が解放軍を称賛してから4か月後、同じ政府から通知が届いた。


┌────────────


 エルティア併合に伴い、旧エルティア軍の兵士はヴァルド連邦の国民となった。


 ついては、戦時動員に必要な兵員として、順次引き渡すこと。


└────────────


通知を読み終え、エリオは笑った。


「まったく、よくできた冗談だ」


参謀長が尋ねた。


「どう返信しますか」


「拒否する」


「ヴァルドは、これまで我々の活動を支援してきました」


「だから?」


「補給を止められるかもしれません」


「止めさせろ」


「敵に回せば、我々は……」


エリオは通知を机に置いた。


「我々は男たちを戦場から救うためにいる。救った男たちを戦場へ返すなら、何のための軍隊だ」


「彼らは、エルティア人ではなくなったと」


「勝手に国籍を書き換えて、今度は自分たちの兵士として使うつもりか」


エリオは冷たく笑った。


「国旗の色が変わっても、食器の形は変わらんらしい」


ヴァルド連邦への返答は、1文だった。


┌────────────


 男性解放軍は、徴兵を目的とする捕虜の引き渡しには応じない。


└────────────


翌月、燃料の供給が止まった。


その翌月、食料輸送船が来なくなった。


ヴァルド政府の同じ報道官が、同じ演台に立った。


「男性解放軍は、国際法上の地位を持たない不法武装集団です」


今回は笑わなかった。


背後の画面から、毛布をかけられた男たちは消えていた。


「戦争で混乱した人々を違法に拘束し、我が国への帰還を妨げています。人道を口実にした犯罪を、これ以上放置することはできません」


ユアンはテレビの音量を下げた。


「同じ人ですよね」


隣にいたアミンが頷いた。


「俺たちが、いらなくなったんじゃない。返せと言っても、返さなかったからだ」


エリオの机には、各国から警告文が積み上がった。


参謀たちは撤退を提案した。


中立国へ移転する案も出た。


だが、受け入れる国は見つからなかった。


基地の男たちは、それでも離れなかった。


「司令官に命を救われたんです」


「俺たちは司令官のためなら死ねます」


「世界中が敵でも、戦います」


だが、エリオは、その忠誠を聞くたびに苦い顔をした。


「私のために死ぬな」


兵士たちは笑って答えた。


「またまた、司令官」


「本気で言っている」


「わかってますって」


兵士たちは笑顔のまま、彼の次の命令を待っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。