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秘密の宴、日課になる ――地下倉庫の夕暮れ


地下倉庫の鉄扉が、ギィ……と軋んだ。


「よーし、今日も持ってきたぞー!」


ザックが肩に担いでいたのは、

昨日とは違う魔物――“雪解けウサギ”。


リゼットはぱっと顔を輝かせた。


「わぁ! 今日の“素材”はこの子ね!

ザックさん、昨日より元気そう!」


「そりゃあお前のスープ飲んだらな……

体の奥が熱くなって、魔力が勝手に巡り始めたんだよ。

あれ、なんなんだ?」


「えへへ、祈りの力です!」


「祈り万能かよ……」


ザックは苦笑しながら木箱に腰を下ろした。


リゼットはすでに大鍋を火にかけ、

昨日の残りの骨と香草を入れている。


「今日はね、昨日のスープの改良版!

ザックさんが“もっとコクが欲しい”って言ってたから、

地下の棚で見つけた“古い干し肉”を使ってみるの!」


「おい、それ何年前のだよ……」


「分かんないけど、匂いは大丈夫!」


「その判断基準やめろ……」


リゼットが鍋をかき混ぜると、

地下倉庫に甘い香りが広がった。


その香りは、

石壁の隙間を抜け、

上階の廊下へと漂っていく。


その頃――


魔力抽出作業で疲れ切った若い魔術師が、

ふらりと壁に手をついた。


「……まただ……

この香り……落ち着く……」


魔力の乱れが、

ほんの少しだけ整う。


(……誰が……何を……?)


しかし、

地下倉庫の扉には鍵がかかっている。


魔術師は首をかしげながら、

その場を後にした。


地下では、

リゼットが笑顔でザックに椀を差し出していた。


「はい! 今日の“生きてる人用”スープです!」


「その分類やめろって言ってんだろ……

……うまっ!? 昨日よりさらにうまいぞこれ!」


「よかったぁ! じゃあ明日はもっと美味しくしますね!」


こうして――


秘密の宴は、日課になった*


そして、

地下倉庫の片隅で、

リゼットは“ある棚”に気づくことになる。



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