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泣イタ竜ハ今日モ偽ル  作者: 和乃 椛


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3/4

2刻目:冒険者ノ務メ

 あれからしばらく毎日のようにお使いをこなしていた私とメントは、その努力と功績を認められ、次の冒険者ランクに上がることになった。今度のランクでできる範囲は、人間に危害を加える害獣の撃退、また、ギルド内の食糧確保のための狩りである。害獣には二種類あり、その名の通り獣もいれば、獣姿の魔物もいるため、実質魔物と戦えるのはこのランクからだったりする。もちろんそれ相応の危険が伴うが、その分報酬が高かったり、食料も分け前を貰えたりする。場合によっては防具を創るための素材の回収や、高値で取引されるものも回収できるため、冒険者として生計を立てるなら最低限このランクまで上がらないと難しいだろう。私は早速、冒険者らしいことがしたいと思い、害獣駆除を行うのであった。

「お互い初めてだし今回だけでもパーティを組まない?」

 メントがそう言ったので、私はしばし悩んだのち、

「お互い戦闘に慣れるまでは一緒に行動しよっか!」

 と答えるのであった。


 最初の戦闘任務に入る前に、戦闘技術や心構え、万一の場合の対処法などのイロハを知るためのギルド戦闘講習を受け、いざ実践と行く。まず、魔物は人や動物に成りすますため、姿だけでは魔物かどうかは判断できない。そのため、攻撃の仕方や、自分が攻撃した際の手ごたえで判断しなければならない。今回のターゲットはちょっと離れた場所で確認できた。イノシシ型の害獣だった。どうやら人里に近づきすぎたが故に、ギルドから危険と判断され、討伐対象になったのだろう。

「あれ、どっちだと思う?」

 私がそう尋ねるとメントはかなり悩みだした。正直、魔物の擬態能力は完璧に近く、仕草だけで判別できるのはごくわずかの達人のみである。魔物だろうが、獣だろうが、どちらにせよ危険なことに変わりはないが、それの判別を怠ったまま戦闘してしまうと予想外の攻撃をされる可能性があるため、できるだけ仮説は立てられるほどの情報が欲しい。

「多分あれは獣じゃないかな、確証はないけど…」

 メントがそう答えた理由は私にもわかる。不自然さが全くないからだ。正直何を疑ったらいいのかが不明なくらい、イノシシそっくりな行動をしている。

「私もそう思った。なら話は早いね、できるだけ正面には立たないようにしながら討伐しよう。」

 そう言って、お互いがイノシシめがけて攻撃を仕掛けた瞬間だった。突然どこからか攻撃が飛んできて、私とメントに傷を負わせたのだ。幸い、私はなぜか攻撃がはじかれたような感覚があり、軽傷で済んだが、メントは結構な深手を負っていた。出血場所を見るに、足首に食らったのだろう。

「メントッ!?大丈夫!?」

「ウガァァ!イダイッ!イ゛タ゛イ゛…」

 それは初めての出来事で、初めて感じる恐怖で、初めて感じる痛みだったのだろう。メントは泣き叫びながら、絶望したかのような表情で、私のことを見ていた。助けが欲しかったのだろうか、それとも私も同じ痛みを感じているのではと気になったのか、心配したのか、真相はわからないが、一つだけわかったことがある。イノシシ(コイツ)は魔物だ。魔物だからこそ、魔物のみが扱える魔力を使った攻撃をしてきたのだろう。だからこそ私たちは知らぬ間に攻撃を受けてしまった。否、油断さえしていなければ防げたのかもしれない。確証がないにも関わらず、断定してそれを確信としてしまったが故の失態。私たちはもう後戻りはできないのだ。ここで死ぬなんて嫌だ。せっかく自由になったのに。私は何のために生きていたの。ちょっとだけの幸せを望んだだけなのに。どうしてこんなことに…

 そう後悔しそうになったが、今は助かるために何としてでもこの魔物を討伐する必要がある。ギルドが支給してくれた短剣一本と木のちっちゃい盾。もちろん初戦闘だから実戦での戦い方なんてわからない。私はおそらく()()した。

 ・・・

 しばらくすると私は目が覚め、ギルドが運営する治療室に入っていた。あの時何があったかなんて覚えていない。治療室の先生らしき人が入ってきた。

「目が覚めたかい。まずは何があったか教えてもらってもいいかな。」

 私は覚えていることをすべて話した。害獣を討伐する任務を受けたこと。イノシシ型の害獣で、行動から勝手にイノシシだと断定したこと。そこでメントが大けがしたこと。その後の記憶がないこと。そして、

「先生っ!メントは無事なんですか!?」

 そう聞くと先生は落ち着かせるように、

「大事には至らないけがだったから大丈夫だよ。話を聞くに、大けがをしたのが初めての経験だっただろうから気絶はしていたけど。それよりもよく無事で帰ってこれたね。今はそれを喜びなさい。それと、二人とも現場で気絶して倒れてたところを助けてくれた人に感謝を伝えておくこと。」

 私はそれを聞いて、安心と同時に分かりましたと返事をして、いきなり襲ってきた疲れに身を任せて眠るのだった。

 ーーー

 しばらくの期間が経った。私は軽症だったけど精神的に休息が必要だったこと、メントは肉体の回復と同時に攻撃されたトラウマによる精神ダメージの回復で長いこと休息をとっていた。ようやく二人揃って外に出ることを許可されたので、先生に言われたとおり、助けてくれた人にお礼を言いに向かった。

「「この前は助けてくださりありがとうございました!」」

 二人揃って言うと、気前のよさそうな、冒険者ランク3のお兄さんが励ましと注意をしてくれた。

「無事治ったんだね!よかったよかった~。次からは何があっても油断しないこと!万が一を想定して、生きて帰れるようにすること!わかった?」

 二人揃って反省しつつ返事をした。確かに今回は油断が招いた結果だったが、そもそもとして準備不足だったのだ。焦りは禁物であると教訓を得た。

「それと、助けに行ったときは魔物が死んでたから、一応討伐は出来てたってことにしてるから受付に行って報酬をもらっておくんだよ!それにしても気絶するにも、ちゃんと討伐した後で本当によかったよ!お疲れさま!」

 私たちはその言葉を聞いて疑問に思った。メントは私が頑張って討伐したのだろうと感謝をしてくれたが、私は討伐した感覚が一切ないのだ。それは当然のことで、意識は討伐する前になくなっていたから。そして夢遊病かのように、無意識で討伐できるとも考えづらいし、仮に意識なく動いていたとして、私にはあの魔物を討伐できるだけの技術も知識も経験もないのだ。私は結局このモヤモヤを抱えたまま、今回の報酬を受け取り、メントと山分けするのだった。


わのいろはでーす!

今回もご愛読くださり、誠にありがとうございます!さすがにそろそろあらすじに書いてある通りの内容が気になっている方もいるのではないでしょうか?安心してください、もうそろそろ物語が動きますよ!

さて、今回の内容について一つ補足をば。冒険者ランクはいったいどんな区分があるのか、いずれかは物語中にも触れると思いますが一応解説しておきますね!冒険者ランクは5段階あり、レベル1~レベル5と表現されます!レベル1が冒険者になった際に最初につけられるランクで、採取系とかのいわゆるお使い任務のみを請け負えます。そしてレベル2はそれに加えて一般魔獣、害獣駆除とギルド運営の飯屋や飲み屋の食糧調達、3になるとさらに指定魔獣駆除、そして冒険者として市民を守るための戦闘要員となります。4になると特殊指定魔獣、ざっくりいうととんでもねぇ強い魔獣の盗伐をパーティ単位で任されます。さらに冒険者指導員としての活動も行えます。そして最後のレベル5。これは特殊指定魔獣のソロ討伐の認可が下り、登録した場所の冒険者ギルドの運営権と、その場所以外の冒険者ギルドとの連携を取るための指揮権利が与えられます。…おいおい、運営権渡してもいいのかよ…と思ったそこのあなた!運営権を渡すことのメリットはもちろん多く、自分だけタダ飯、タダ酒できたり、都合よく過ごせますが、それと同時に、ほかのレベル5の人との折り合いをつけたり、一般人には尊敬のまなざしで見られるため、実質的にできる範囲はいってしまえばそれくらいなのです。それ以上しちゃうと反感を貰いかねないからね…でも冒険者ランクは生涯有効なので、安定した老後を過ごしたいなら目指す価値はあるかも?

今回の補足はこれくらいにして、改めましてご愛読ありがとうございました!また次回の更新をお待ちください!私、頑張ります!

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