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麻痺無双!~ぶっ壊れスキルを手に入れた俺は、異世界まるっと麻痺らせる~  作者: スギセン
5章

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185話 お正月を過ごそう!①

「お餅が食べたい」

「…………はい?」


 俺の唐突な発言に、頭をひねるベル。

 元日の夜、俺たちはたんぽぽ亭の食堂で夕食を共にしていた。

 さっぱりしたサラダやスープ、それからパンをむしりつつ、どうしても脳裏にこびりついて取れないアイツの存在――そう、『OMOCHI』である。

 やっぱり日本人といえばお米、お正月といえばお餅なワケですよ。


「その、なんですのおもちっていうのは?」

「なんと、ベル……お前さんお餅を知らんのか?」

「な、なんかムカつきますわね……そんなもの、知りませんわよ」

「……拙者も、知らない」

「……マジかよ」


 二人共、怪訝そうな顔をしながら首を振る。

 うん、そうだろうとは、薄々感じてた。

 だってここ、主食がパンだもの。お米?ライス?半年以上生活してるけど、そんなもの見たこともきいたこともございませんわ?


「ぐぅ……あれを食べないことには、本当の意味で新年を迎えたとは言えないというのに……!」

「そっ、そんなに大事なものなんですの? その、おもちっていうものは……」

「あぁ……いや、ないものねだりはよく無いな。 大事なものってよりは、習慣付いてたものって感じだな。 のんびり部屋でくつろぎながら、お餅をもちもち食べるのが最っ高だったんだよなぁ……」


 言えば言う程、考えれば考える程お餅が恋しくなってくる。

 たいがい、余り過ぎちゃってもういらねーってなりがちなんだけど……手に入らないって分かると、途端に欲しくなるもんだなぁ。

 これはそう、まるで恋!……恋愛したことねぇけど。


「……もちもち?」

 ラヴィはぼそりと呟いて、何やら考え込んでいる様子だ。


「おん?どうしたラヴィ」

「……モチモチノミっていうのは、昔よく食べてた」

「……えっ? ち、ちなみにどんなものなんだ、それ!?」

「うーん……よく伸びて、もっちりしてる。 それから、オジイオバアは、食べちゃだめっていう、そんな決まりある」


 衝撃の事実……!うん、聞けば聞く程日本のお餅みたいじゃない。

 特にオジイオバアの部分。美味しいけど、まぁじで危ないからね!

 でも、素直に喜んでいられない事実もまた一つ。ここいらでモチモチノミなんてものは聞いたことがない。つまり、人里離れたラヴィの村近辺の食べ物なんだろう……ちと残念。

  

「あぁ~せっかくなら食いたかったな、そのモチモチノミ」

「そうですわね……ここまで聞かされたら、流石にワタクシも気になってきましたのよ」

「……? 食べたら?」

「いやいや、ラヴィ? 食べたらって言うがそんなものどこにあるんだよ」

「ん、そこら辺に生えてる。 割と、どこでも」

「……マジ?」


 そうと分かれば、やることは決まりだ。

 俺たちは早速明日の予定を立て、夜も早いうちから眠りについた。

 俺の餅への執着に引っ張られる形でベルとラヴィの食欲に火が付いたみたいで、部屋に戻る時なんか『おっもちっ♪ もっちもっち、おもちっち♪』などというなぞのフレーズを口ずさんでいた。

 ……妙に耳に残るリズムやめい。

  

 そして、翌朝。

 ここら辺で見たかもというラヴィの記憶を頼りに街の外へ向かうと――


「おぉ……これが、モチモチノミか」

 ターゲット、何の苦労もなくゲット。今まで気にしたこともない、どこにでもあるような雑木林からあっさり収穫とは……まさに灯台下暗し。

 モチモチノミは小さめの握りこぶしくらいのゴツゴツとした硬い木の実で、おじいちゃんの手を彷彿とさせる。一見する限りこれを食べようなどとは到底思えないな……


「さて、これはどれくらいあればいいんだ?」

「うーん……十個もあれば、いいと思う」

「それならっ!爆速で集めて爆食いたしますわよっ!! ほらマヒルさん、何をぼさっとしているんですのっ!!」

 

 ベルは言うが早いか、臆することなく茂みの中にガサガサと入って行った。

 相変わらず食欲が原動力みたいなやつだな……


 結局、俺が手伝う間もなくあっという間にカゴいっぱいにモチモチノミを集め終えたベルは、ふんすと鼻息荒く茂みから帰ってきた。

 ご自慢のツインテールに木の枝刺さってますよ……


「どうですの、ラヴィさん! ほうら、こんなにモチモチノミが……!」

「……うん。 いっぱい、違うの混ざってるけど」

「お前、間違って危ない木の実まで採ってないだろうなぁ……まっ、仕分けは後でするとして早速戻るとしますか! お餅ちゃんが俺を待ってるぜ……!」


 このなんの変哲もない木の実が、日本人が慣れ親しんだお餅になるのか未知数過ぎるけど……何にせよ楽しみだ!期待に胸が膨らむぜ……餅だけに……!

 カゴいっぱいの木の実を背に、浮かれ気分のまま急いで街へと帰ろうとしたその時――


「キキイィィィィィンッッ!!!」

 聞いたことの無い甲高い声が辺りに響いた。

 それに続いて、バサバサと力強い羽ばたき音――

 

「モンスター!?それも、こんなに街の近くで……!?」

「なんだか分かりませんが、ワタクシたちのお餅を邪魔するなんて良い度胸してますわ……! 今年一発目の魔法でもみくちゃにしてやりますわぁ!!」

「……同じく。 初切り刻み」

「お、お前ら物騒だなぁ……まあ、気持ちは同じだ。 お餅を邪魔する輩に大いなる裁きをっ……!新年初痺れ、たぁんと喰らわせてやるぜっ……!」


 新たな年の幕開け――今年初めての戦闘だ!

 こいつぁ痺れるぜ……!

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