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麻痺無双!~麻痺スキル縛りで異世界最強!?~  作者: スギセン
5章

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149話 恐怖、バジリスク峠①

 突然声を上げて倒れたラヴィ。

 何事かと思えば、空腹のあまり生の山菜を食べたことによる腹痛とのことで、俺は頭が痛くなった。


「はぁ……お前、もう……マジで……」

 呆れてものも言えないが、とりあえず介抱位はしてやらねえとだよな。

 気乗りはしないが。


「ベル、どうする?」

「へっ? え、えぇ、そうですわね……とりあえず回復魔法でもかけますか?」

「……うん、そうしてくれ」

「……まったく、しょうがない子ですわね、ラヴィさんは」


 ベルはそう言うと詠唱を始める。

 超微々たる量の回復しかしない魔法だが、ないよりはマシだろう。恐らく。


「いきますわよ、ヤヤヒーッ……イィィイイィ――!?イヒヒィィ――!?」

「はぁっ!? おい、気持ち悪ぃよどうした!?」


 ベルは【ヤヤヒール】を唱えようとして両手を伸ばしたまま、奇妙な言葉を発しながら倒れ込む。

 わさわさと金髪ツインテールが揺れ、体は小さく痙攣している。


「こ、これは……麻痺っ!? 何で――」


 瞬間、背筋にゾワリと悪寒が走った。

 ねっとりと這いずるような視線を感じる。


「くっ……!」

 俺は勢いよく振り向き、視線の主を探した。

 辺りは何の変哲もない山道。だが数メートル先、茂みの中で不自然に揺れる影――見つけた、奴だ。


 ギョロリと鋭い、琥珀色の瞳。

 長くしなやかな首に、深緑色の鱗に覆われた体。

 見るからに鋭利な爪と牙がヌラァッと光り、飾り羽のようなトゲが揺れる。


「か……かっ――」

 俺は言葉を失った。

 その、あまりのかっこよさに……俺心をくすぐるビジュアルに――!


「かっけぇぇ……! 間違いねぇ、こいつが《バジリスク》……!」


 その姿は、粗雑な図鑑のものよりも凛々しく、いかつく、カッコイイ。なんなら、名前だって最高にカッコいいもん。


 その姿は、イグアナとヘビを合体させて、さらにでかくしたような外見だ。深緑色の体には、オレンジやら青やらのラインが入り、思わず目を奪われる。


「キシャシャァッ――!!」

 舐め回すように観察している俺に向かって、《バジリスク》は一鳴き。

 首筋から背中にかけて伸びる細いトゲを震わせ、喉からはグゥグゥと異音を発している。


「――っと、よく考えたら、大ピンチだよな、これ」

 ベルは麻痺って、ラヴィは腹痛――いやマジで何してんのよラヴィは。

 とにかく、動けるのは俺一人って訳だ……!


「や、やるならやってやるぞ……! 何せ俺は、伝説の装備を身に纏った――危っ!!」

 俺が言い終えるよりも早く、《バジリスク》は俺に向けてペェッ!と何かを吐いた。汚ねぇ!


「おまっ、いきなり何を……! 今の、多分毒液ってやつだよな? 危汚ねぇなぁ!」

「キシャアッ!!」

「おっ、やるってのか? 言っとくが、麻痺に関して言えば俺の右に出る者はいないぜぇ……?」


 俺は必殺の【パライズ】を唱えるべく、右手をゆっくりと前に出す。

 対する《バジリスク》は、大きく目を見開いてギョロリを俺を睨む。恐らく、対象を麻痺させるというスキル、【蛇睨み】とかいうのを放つ気だろう。


 フフッ、いいだろう。どちらの麻痺が強いのか、どちらが真の麻痺使いか――ここで白黒着けてやる……!


「【パライズ】ッ!!」

「キシャアッ!!」


 俺の右手が熱く燃える――!イメージで、だけど!

 右手から放たれた稲妻エフェクトが空を走る――!

 《バジリスク》の目が怪しく光る――!


 ビビィッ――!!

 次の瞬間、全身に衝撃が走る。

 それはまさに、電気風呂に入ったときのような微弱な振動を――


「キ……キシャアァッ――!?」

 対する《バジリスク》は全身あますとこなくしっかりと麻痺り、痙攣の後にコロリと転がった。


「……ふ、フフッ、フハハハハッ! どうやらこの勝負、俺の勝ちだな……! 麻痺で俺に勝とうなんざ、百万年早いいいいッ――!?」


 高らかに勝ちどきを上げようとした刹那、全身に衝撃が走った――!

 それはもう、砂利道を自転車で駆けた時のようなブルブルっとした振動が。


「おわっ、何、何だっ!? 麻痺……は、してねぇよな。 でも今の感覚……まさか――」


 何やら、怪しい気配をビンビンに感じる。

 俺は恐る恐る振り返ると、そこには――


「キシャシャァッ! キシャアッ!!」

 一、二、三……えぇと、パッと見で六体の《バジリスク》が代わる代わるに俺を睨みつける。

 それぞれ微妙に配色や模様が違って、最早圧巻の一言だ。


「うわぁ……マジかよぉ。 そんなに熱い視線向けられたら、恥ずかしいって……」


 いくら麻痺が効かないとは言え、あの爪や牙で色々とされたら――おぉう、想像もしたくない。

 こうなったら、奥の手を使うしか、ない。


 俺は意を決して、深く息を吸い込んだ。

「ベルぅ!ラヴィ! 助けてくれぇぇぇっ!!」


 俺は叫んだ。

 それはもう、腹いっぱいに叫んだ。

 早朝の山に「助けてくれぇ」という情けない言葉が幾度もこだました。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

感想、ブクマ等お気軽にいただけたら励みになります。

次回もよろしくお願いしますm(_ _)m

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