Fラン大学生 美都隆
俺の名は美都隆、今日から22歳の大学3年生だ。親は上場企業である長州きもの学園の大株主で正直、配当だけで生活していけるほどだ。
しかし、自分は勉強が好きではなかったが大学位行っておけ、という親の言葉に従って、Fランとはいえ大学生活を送っている。
ただ、Fランとはいえ大学生活は結構楽しいものだ。友人たちとのサークル活動や飲み会などもあるしバイトで稼いだ金で遊びに行く事もある。
大学名はというと、『修善寺経済ビジネス大学』である。略称は修大である。経済学部が主の大学で偏差値は37といったところだろう。
経済ビジネスなどと名前は立派だが
そんなに経済学やビジネスに関してしっかりとした教育を施すような大学ではない。そして、名前の由来は修善寺を管理している寺が作った学校であり、宗教系の経営をしているのである。
それだけに、就職にも有利というわけではないがこの大学に来ている理由としてはやはりバイトに集中できるというのが一番大きいところだろう。この大学の学生寮は男子は一人一部屋という贅沢な環境で、食事も三食付きでしかも朝夕はバイキング形式という豪華版となっている。
しかし、就職を前提にしているわけでは無い為に学歴フィルターに引っかかる事も多く就職には苦労することも多い。実際に修大卒業者は非正規雇用が多く正社員として就職するのは難しくなっている。
この学校には女性が意外と多いが実際に持てるかと言われれば自分は父親にのためにたいしてというより、まったくモテない部類の人間だ。今まで彼女がいたこともなければ告白されたこともない。
そもそも女の子との会話すら苦手なのだ。
これからビリヤードサークルの集まりがあるのだが、それが結構楽しいのはありがたかった。
「おーし、3番ポケットイン!4番はあそこか」と言いながらキューをキュッキュッしながら4番を狙う。結構距離があり角度的にも微妙に外れてる。これは難しいかもしれないと思っていた矢先
ガコン!という音と共にボールがポケットに入らず跳ね返りテーブルの角に当たると跳ね返って別の穴に入った。見事にホールインだ。
「やったぜ!」と叫ぶ俺に友人たちは「うわぁーすげぇぇぇー!!」と褒めてくれる。
「よし、つぎは5番か‥ん!まてよ、手前の7番が邪魔だな。よーしここは…」と言いながらキューをかまえる。そして手球の下側を狙い撃つ!すると狙い通りに跳ね手球が5番にあたり飛ばすことに成功する!そのまま5番は縁に当たり勢いが止まるとポケットインだ!
「よし!」とガッツポーズをとる俺に拍手が送られる。
「スゲエ!ジャンプボールで決めるかよ…」
と尊敬の眼差しを向けてくる友人。
「ああ、これくらい余裕だって!」と調子に乗ってしまう自分がいる。
「まあ、なんだ、美都は運動神経とか無いけど、こういったゲームのセンスは抜群だからな」と友人A。
「確かにそうだよなぁ、やっぱこれくらいは楽勝か」と友人Bも感心していた。
「いやいや、俺なんてまだまだだよ」と謙遜しながらも内心は誇らしげだった。
「よし、次は6番か…」とう言って今度はキューを縦にしてつき下ろす格好をした。
「ちょ、ちょっと待てって、それは禁止だぞ、特にお前はがその技使うと威力が強すぎてラッシャーに溝がつくんだから」
「わかった、わかったよ、ちょっと冗談が過ぎたな」と軽く笑いながら答える。
「まったく……」と呆れられつつも許してくれた友人達に感謝しながら次のショットの準備にはいった。
「え?今何やろうとしたの?」意味が解らない女子が聞いてきた。
「いわゆるマッセって奴で手球を真上からキューで打つって奴だな」
と説明するも「えー、そうなんだ」と理解不能といった感じで反応を返す。まあ、ビリヤードに興味ない人は分からないだろうしな。と思いつつも無理もない。
「まあ、難しい技だからね。でもまあ見てなよ」と言いながら再び構える。
「今度は真面目にやるから」と前置きし
「行くぞ」と小さく呟きながらグリップを握ると手球に向けて力強くキューを打ち下ろした!
カン!と鋭い音がしてボールが弧を描き的玉へ向かっていく!
ガコン!!!という音が響き渡り見事に6番をポケットに叩き込んだ。
「うわーすごーい!」「今、何したの!?」とギャラリー達から賞賛の声があがった。
「まあ、ちょっとね……」と答えるしかなかったが満更でもなく上機嫌で次のショットに入った。
その後も快調にゲームを進め、残すところラストの9番を残すのみとなった。
「最後はナインボールって奴で9番をポケットに入れたら勝利のゲームだぜ」と説明すると
「へぇ~」と感心された。
そして、俺はキューを構え最後の一発を放った。
バシンッ!!という乾いた音と共にボールが飛んでいく、見事なまでの一直線である。
そして、最後の9番が穴へ吸い込まれた瞬間に勝負は決まった。
「はい、俺の勝ち」
と言いながら振り返ると
「おめでとー!」「よっしゃー!」と賑やかな声援が飛び交っていた。
「お前、勉強もスポーツもダメなのにビリヤードだけは上手いな」と友人たちに皮肉られていた。
しかし、自分自身はそのことを否定はしない。
なぜなら、自分はゲームやアニメが好きで、どちらかと言えばインドア派な人間だからだ。
そのときサークルの部長が皆を集合させた。
「ちょっとみんな集まってくれ!新入部員を紹介するから」
と言うと、後ろから一人の女性が出て来た。
その女性は黒色の長髪でスタイルが良く、美脚なモデル体型をしていた。
「(うわー可愛い子だなぁ。あんな子が彼女だったらなあ…)」と内心思っていた。
すると、その子と目が合ってしまい彼女がウインクしてきたのだ。
「じゃあ、まずは自己紹介してもらえるかな?」と部長が促すと
「はい、私は1年生の横井星美と言います。今日からよろしくお願いいたします」と可愛らしい声で挨拶をした。
しかし、声も可愛い。
と答えるその仕草もまた可愛らしい。
「では横井さん、空いてる台で遊んでいいので適当に楽しんでくださいね」
と部長が言うと
「はい」と笑顔で返事をする横井さん。
「よし、じゃあみんなでゲームでもしようか」と部長が言うと
「はい」と返事をする女性陣。
「じゃあ、私の相手はたーくんね」と横井は隆の袖を引っ張った。
あれ?いま隆って呼ばれた??……まあいいやと思い「OK」と答えた。
周りの嫉妬のような目が妙に気になるが…まあ、いいか!と無視した。
「それでは、最初のゲームはローテーションです。制限時間は40分ですので短い時間ですが頑張って下さいね」と部長の説明が入り、それぞれペアを組み始めた。
そして、早速ゲームが始まるのであった。
「たーくん。ビリヤード上手なんだね。もっと教えてね」と妙に親密な横井。
他の部員たちからは敵意のある視線を感じるのだがそれは仕方ない。
「横井さんってビリヤード初心者だったんだよね?」と隆が聞くと
「うん。初めてなんだけど結構楽しいね」と屈託のない笑顔で返してきた。
(かわいい……)
と思わず見惚れてしまう程に可憐な笑顔だ。




