言語統一
##### スーパー銭湯
美鈴が湯に浸かっていた。
「あら、あなたも来てたの?」
そう言って入ってきたのは前市長のステラだ。隣に桜花も一緒にいた。
「こんばんは、お久しぶりね」と美鈴が挨拶をすると「ええ、本当久しぶりね」と返す。
そして、三人で温泉を楽しむ事にした。
「市長の仕事は慣れたかしら?」
とステラが尋ねる。
「まあ、そこそこね」と美鈴が答えると「そう、よかったわ」とステラも微笑んだ。
「私が推薦したおかげね」と桜花も自慢げに言うが「いやいや、あなたの場合は嫌がらせも入ってるでしょ。私の部下だったころ散々裸町にお使いさせられた事への復讐心もあるわよね?」と美鈴はため息をついた。
すると
「え?全然そんな事ないわよ?」と桜花が否定すると
「いやいや、確実に復讐心満載よね?そうでなかったらあんなに裸になる事を嫌がらないわよ。もう、無理やり脱がせるの大変だったんだから」とステラも肯定する。
「いやいやいや、本当にそんなことはないですって……」
そう言って慌てて誤魔化そうとする桜花だったが、逆に怪しいと思われるだけであった。
「まあまあ、冗談よ。そんなに怖がらなくてもいいわよ」とステラが言うと、「ホントですか?」と安堵する桜花に対して「嘘に決まってるじゃない!まったくもう……」と呆れながら返す。
「ええっ!?騙された……」と落ち込む桜花をよそに
「しかしよかったわ。すっぽんぽんも大分なれてくれて」とステラが言うと
「まあ、そうね。ここへ来たばかりの時よりはかなり慣れたと思うわ」
と美鈴も答える。
「そうですね。少なくとも洋服の乱れなどで
文句言わないし堂々としてますもんね。ほら、桜花さんも」と桜花を指差した。
「うっ……いや、確かにそれはあるかも知れませんが……」と桜花が言うと
「あなたもなかなか度胸があるというか根性が座ってるというか……」とステラが言う。
「まあ、市長という立場ですからね……」
その後、三人でいろいろな話をして盛り上がり時間を忘れるくらい楽しんだ。
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「うーん、困ったわね」
金智英が何やら悩んでいた。
「どうしたの?悩み事なら聞くわよ」と仕事がてらに金智英宅に立ち寄ったうさちゃんが尋ねる。
「実はね‥この国‥というより桃源郷‥いや四女神連邦全体にかかわる問題なんだけど」
と深刻そうに話し始めた。
「え?何?何?そんなに重大な事?私が聞いてもいい内容なの?それ?」と驚くうさちゃん。
「もちろんよ、貴方にも聞いてもらいたいわ」
「で、どんな内容なの?」
「それはね……」と小声になり
「最近言葉の壁が大きいのよ。というのも出身が英語圏の人や日本人は中々多言語を話せなくてねえ。それ以外の国、韓国や中国系の人達は多言語を話す人が多いから何とかなっていたんだけど」
「ほうほう‥で?」
「でもやっぱり困ることがあって、特に日本出身とアメリカ出身の人との会話が特にひどいの。今までは私達が通訳をしていたのだけど最近、それが追いつかなくなってきたのよ」と金智英が困り果てていて。
「だからさ、最近は私たちで翻訳ソフトを使ったりもしてるんだけど、やっぱり限界が来ていて‥それに最近は日系と英語圏の人が増えてきたこともねえ‥」
「それは大変だねえ」
と他人事の様に言ううさちゃんに対し「他人事みたいに言わないの!」と怒る金智英。
「そうだね‥何かいい方法はないかなあ‥……」と考えるうさちゃん。
そして、しばらく考えた後、
「翻訳イヤホンとかあるといいかもね」と提案するうさちゃんに対し
「いえ、それでは根本的な解決にならないのでこの際、母国語というか…言語を統一するべきかと…」と真剣な表情で話す金智英。
すると
「え?でも言語統一したらパニックにならない?」と反論するうさちゃんだが
「今の状態だと外国人に対する差別問題もあり、他国の人との争いが起きて治安悪化にもつながる可能性が高いと思うわ」と強い意志を感じられる様子の金智英。
「そりゃそうかもしれないけど、そんな簡単に言語統一出来るわけないじゃない?それに皆混乱するし反対すると思うよ」
「それについては問題ないと思うの。もし反対したら強制的に母国語の使用を禁じるか……最終手段として強制収容所に送ることを検討してるから」とサラッと恐ろしい事を言う金智英。
「えぇ!?」と驚くうさちゃんだが
「いやいや、ちょっと待って!無理やり禁止って……独裁政権じゃないんだからさ」と抗議するが、
「いやいや、十分独裁政権じゃないですか。選挙もないしうさちゃんも結構好き勝手に内政やってますよね?」
と言われ
「いやいやいや、一応国民の意思は尊重してるよ。それに私はあくまで国家元首というだけであって支配者ではないし。第一、私がこの国のトップとして君臨してから一度でも国民に不当な扱いを受けた人いる?」と聞いてみると
「んー……いないですね。そもそも桃源郷って女性しかいませんし、男性が居ないと恋愛とかできないけど女性しか住めないし……だから恋愛が自由にできるうさちゃん国に来てよかったと思ってる人は多いんじゃないかなあ」という答えが返ってくる。
「でしょ?だから今の体制のままでいいのよ。確かに外国人との文化の違いや価値観の差で衝突はあるけど……それを無理やり抑えるような真似は良くないんじゃない?それに私は個人の自由を尊重したいから、あまり強制するのはどうかと思うよ。民主主義国家を目指したいなら尚更ね」と説得する。
「そうですか‥では仕方ないですね」と残念そうな顔をする金智英だが
「まあでも、確かにその問題は解決しないと駄目だと思うから対策を考えるとして‥まずは言葉の壁をどうにかして越えないとね」とうさちゃんが言うと「そうですね」と答える智英であった。
「じゃあこういうのはどうですか?日本語と英語の学校を作ってどちらかしか話せないのは強制的に受講させるっていうのは」
「ふむ‥それならお互いに学び合いながら仲良くできるね」とうさちゃんが納得した後、
「あとは、翻訳アプリを使った授業を行うのはどうかな?それぞれ得意不得意があるから効率的に学べるし」と提案した。
「なるほど、そうすれば会話練習もできますね」と智英も賛成の様子。
「うん、あとは先生を派遣するのが大変だけど……それは何とかしてみるよ」ということでとりあえず解決の方向で話がまとまった。
その後も細かい事などを話し合い、ひと段落着いた所で帰宅することにした二人である。
「今日はありがとうね」と感謝する智英に
「いえ、こちらこそありがとうございました」と感謝するうさちゃんだった。




