サイン入りステッカーを頂いた
「なんで……軽なんかに負けたんだ……」とNSXのドライバーは呆然としていた。
「NSXが負けた訳じゃねえ。俺が、俺の腕が負けたんだ」とNSXのドライバーは言った。
それを聞いてGT-Rのドライバーも言った。
「そうだな、確かにあれは凄かった。俺は次回のレースに向けて鍛えなおさなくっちゃな」と言った。
「でもな……」とNSXのドライバーは俯いたまま言った。「俺は諦めねぇ……次こそは必ず勝つ……」
そして彼は振り返りピノと軽トラを見据えた。するとその2台も彼を睨み返していた。
「今度は同着ではなく勝つからな」とピノのドライバーが叫ぶと、サンバートラックのドライバーも続いた。「いやいや今度こそ俺がぶっちぎりだぜ!!」
「今度こそ勝負を決めてやる!」とNSXのドライバーは叫んだ。
その時、拍手が聞こえた、いや拍手は観客がしてるので聞こえるのは当たり前なのだが音が近づいてきたのだ。
「あなた達、素敵ねえ。運転上手いじゃない!」そう言ってやってきたのは姚晨だった。
うさちゃんも一緒にいる。どうやら二人で観戦していたようだ。
「いい物を見せてもらいました。でもこれだけ観客を沸かせて置いて何もないっていうのもねえ‥。そうだ!私達のサインでもいる?」と姚晨が言った。
さらに
「そうだ、私たちのサイン入りステッカーがあるんだけど、あれをプレゼントするわ」とうさちゃんも続けた。それに便乗して他のファンも押し寄せてきた。
「お、俺のピノにも是非ください!」
「俺のGT-Rに!!」
「俺の車に!!」
「私のサンバーに!!」と観客が殺到した。
「全員はだめよ!これは見物料としてそこの軽の二人にあげるの」と姚晨は言った。
「うぉおおお!ありがとうございます。一生大事に宝物にします!」
と二人は飛び上がって喜んだ。そして
「わーい!俺もう死んでもいいかも……」とピノのドライバーが感激の涙を流した。
「こいつはもう帰ったら早速飾るしかないな」
「だな!」と二人はハイタッチを交わした。
すると一人の観客が
「おいおい、いいのかよお前らだけで独占して!」と文句を言った。
すると別の観客も
「そうだそうだ!」
「俺らだって欲しいよ!」と同調した。
しかし姚晨は平然と答えた。「別に独占するつもりはないわよ。みんなに配るのは面倒だし、それにもうそんなに沢山持ってないし‥。だったらレースでも開催する?賞金は出ないけど代わりに勝った人にはサイン入りステッカー10種類なんてどう?うさちゃんさんのステッカーも入れてだけど」
「ほ、本当にいいのか!?」
「うん」と姚晨は答えた。
するとGT-Rのドライバーが叫んだ。「待て待て待ってくれ!!俺も欲しいよ!!」
「私も欲しい!!」と女性も叫ぶ。
「わ、私も欲しい‥」と男性も叫んだ。
「やべー試合はいいけど俺A級ライセンスもってねーや」
「試合伸ばしてくれませんか。A級ライセンス受けたいので」という声も出始めた。しかし
「残念でした。すでにA級ライセンスの申請期限は過ぎていますよ」
「ちなみにB級以下のライセンスは貰えません。試合も出られません」とうさちゃんが補足した。
「何でだよ、ずりいよ」と嘆く男性陣だったが
「まあ、運営としてはA級ライセンスを持っていない人と同等の立場で戦うわけにはいかないんですよ。安全のために」とうさちゃんは答えた。
「ちなみにですが、今回は人数が多いのでポイント制ではなく一発勝負になります」と姚晨は付け加えた。
「そ、そんなぁ‥‥」
「不公平だ!!」
「せめて、せめて最下位の人と交換できるようにしてくれよぉ」と叫ぶ。
「嫌です♪」と姚晨はにっこり笑顔で答えた。
「‥‥‥」絶句する参加者たち‥。
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「しかし上手い事いったわね」とうさちゃんが言う。
「え?何がなんですか?」と姚晨が尋ねる。
「だってさ、これでレースまでに練習するための使用料と当日分の使用料が儲かるのよ。あんなただ同然のステッカーにサインしただけでさ」
「そうなんですね!私もお金いっぱいもらえちゃいますかね♪」と姚晨が言うと
「そうね。少しくらいはね。その代わり時々またお願いね」
「はい!喜んで♡」と姚晨は笑顔で答えた。
そして数日後、レースが行われることになった。出場者は総勢5000名を超えた。
「おいおい、これじゃあまるで鈴鹿のGPレースみたいな規模じゃないか」
「いや、この人数だとスーパーGTレースだな」と観客が盛り上がっている。
そして、その中から予選を行い200名が本戦へと駒を進めることが出来た。
「さあ、いよいよ本番が始まります!」とアナウンスが流れた。
「さあ、お祭り騒ぎの始まり始まり」とうさちゃんが言うと
「そうですね!皆さん盛り上がっていきましょう!」と姚晨は言った。
観客は大歓声を上げた。
「もしかしてだけど…うさちゃんさん、まさか観客から入場料とかとってないですよね?」
「とってるわよ」とうさちゃんはニヤリと笑った。
「やはり‥」
「だって観客が多すぎるから会場の整理をする警備員とかたくさん雇わないといけないのよ。だからチケット代を払ってもらうのは当然の事でしょ?」
「でも、これってただの賞金もないような草レースでしょ。そんなものにお金を払う人なんて…ているからこの込み具合なんだろうけど、一体いくらなんですか?」と姚晨が言うと
「えーっと‥確か1人あたり500円だったかな?」とうさちゃんは答えた。
それを聞いた姚晨は思った。(うわっ!ぼったくりだ!)
「ねえ、ちょっと考えてもみてよ。これだけたくさんの人が来て、さらにレース運営費用を支払わなければならないのに、どうやって利益を出すというのよ。逆に感謝されないと割に合わないわよ」とうさちゃんは言う。
「そうですね」と姚晨は答えた。そして思った。(それにしても、うさちゃんさん、やっぱり凄い人だなぁ‥‥)
「ついでに売店出店料も貰ってますよ」とうさちゃんは言った。
そして
「おい、なんかいい匂いがするぞ!焼きそばとか唐揚げとか売ってるぞ!!」と男性が叫ぶ。
「俺にも買ってくるように言っといてくれ!あ、あとビールもな!」
「あ、僕も私もお願いしまーす!」と注文する人たちが続出する。
「了解しました!」と女性の売り子たちが答える。
そして、焼きそばとジュースを持って走っていく。
「うまいな、これ」と男性が言うと
「だろ?このソースがたまらないんだよ」と別の男性が答える。そして
「いや、俺はこの唐揚げだな」と男性が言うと
「唐揚げも美味しいよね〜」と女性陣も同意した。
こうして、サーキット場は大盛況となったのだった。
さて、いよいよ決勝が始まる。
と盛り上がりたいところだがこれはレースの物語ではないので詳細はやめておこうと思う。
まあ一言でいえばかなり熾烈な戦いが繰り広げられたということだ。




