夢華 『霊峰・雪ヶ峰』の管理者に
「しかし、この山の管理者に任命された夢華さんて方は凄い綺麗なお人ねー」
「桃源郷の国主様に匹敵する美しさだわ!」
「何でもここに来る前は楊貴妃と呼ばれるほどだったって聞いたけど」
「楊貴妃って誰?」
「知らないの?昔の中国で一番美人とされていたお后様よ」
「へえー、そんなに美人だったの?」
「今も十分美しいと思うけど」
夢華は『霊峰・雪ヶ峰』では噂の中心となるほどの評判だ
ゆっくり休むとは言っていたが怪我はすべて治り、若さで体力もあるので翌日から観光がてら山を歩き回って景色を堪能していた。
これが好評を得たみたいだ。確かに夢華の美貌を間近で見れたのだから皆嬉しいだろう。
その上、中国四大美女の一人楊貴妃の再来と言われた彼女である。注目を集めるのも当然である。
勿論、山頂エリアはヒミコが住む場所なので一般の入場は禁止されているが、一般人でも登頂することができるエリアではあるが山頂付近から見える絶景は圧巻の一言である。
しかもここは標高3500メートル級の高山であり空気が薄いので普通の人間では酸欠になりやすくなってしまう。そのためこの山に来ることができる人間は限られている。
しかし夢華は別である。何故なら若返りと同時に酸素濃度の低い場所でも平気な体に改造されているからだ。
そのため登山者の多くは呼吸困難に陥るが夢華は全く問題ない。むしろ快適すぎるぐらいだ。
「うーん、やっぱり最高ね」
夢華は空を見上げて呟いた。
青空と雲海が広がる景色はまさに絶景だ。夢華は感動していた。
「これは素晴らしい景色ね」
夢華は満足そうにしている。
「ここに来れて良かったわ」
夢華は幸福感に包まれている。
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姚晨と夢華とうさちゃんが一緒に温泉に入っている。
「姚晨さんたらまだ水着来て入ってるの?温泉くらい裸になりなさいよ」と、うさちゃんは言うが。
「いやよ。恥ずかしい!」と姚晨
「いや、恥ずかしいって‥女風呂なのに?」と夢華。
「そうですよ。みんな裸じゃないですか。一緒に裸になりましょ♪」
うさちゃんは勧めるが、姚晨は頑なに拒否する。
「だから嫌だって言ってるでしょ。絶対脱がないから!」
「もう、強情ねぇ」と夢華。
「でも、何でそこまで嫌なのですか?」と夢華
「もういいの!その話は。それより夢華に聞きたいことがあるんですけど」と話題を変えてきた。
「何ですか?」
「あなたがここに来た事で気になっていたんですけど」
「私もあなたと同じ理由でここに来たから気持ちはよくわかるわよ。よくわかるからこそ気になるって言うか…」
「???えっと、言いたいことがわからないんですけど‥‥」と夢華。
「つまりね私もあなたも、いえそれだけではなく麗奈も金智英も若さを欲しがってここに来たってことは」
「…」
「中国には私とあなたのほかにあと二人中国四大美女と呼ばれてた子がいたはずでしょ。もしかするとなんだけど嫌な予感がするのよねえ」
「そう言えば確かまだ二人いましたね。もし、この場所を見つけてしまったら‥」と夢華も心配そうな顔をする。
「そうだわ。確かにもう一人来てたらおかしくないわ」と姚晨。
「麗奈‥金智英‥、もし、彼女たちもこの国に来たらどうしましょう」と夢華も不安になり始めた。
「その可能性はあると思う。その二人だって今は40代半ばか、50手前でしょ。多分あなたと同じように若さに固執してる気がするんですよねえ」
「確かにその通りかもしれませんね。残り二人の名前が思い出せませんが確かいたような気がします」と夢華。
「えーと‥‥確か名前は‥‥陳紅珠と金蘭‥だったかな?」と姚晨。
「そうだった気がします。でも彼女達の年齢は?二人とも元々20代でしたよね」
「うん、でも彼女たちも私たちと同じく既に50近いと思うわ」と姚晨
「じゃあ、やっぱり‥‥来る可能性は高いですね」と夢華。
「あなたを見てればね。あなたなんて私を殺して自分も死ぬ覚悟だったじゃない」
「だって、自分の美しさがどんなに頑張ってもあの崩れていく恐怖は…」と夢華。自分が経験している事なのでよく分かる。
「ま、そうかもしれないわね。私たちだって似たようなものだもんね」
「はい、でもそれでもあんな方法で若返ろうなんて‥」
「ああ、あんたの場合、もう若返らないから絶望してたんでしょ?で、若返らないから自暴自棄になってあの時の行動になったんでしょ?」
「はい‥そうです。あの時は本当にすみませんでした」
夢華は申し訳なさそうにした。
「まあ、過ぎたことだし水に流すわ。それより、今のあなたは幸せ?」
「はい、すごく幸せです。まさか自分がこんなに若くいられるとは思っていませんでした。本当なら今頃老衰で死ぬところだったんですもの」
夢華は嬉しそうに言った。
「老衰って‥、ふふっ、まあでも、良かったじゃない。でも夢華さんって43歳って言ったわよね。でも20代前半の美しさに戻ったとしても精神年齢はそのままなんでしょ?大丈夫なの?」と姚晨。
「大丈夫です。私は若い頃からあまり変わっていませんし、それに若くなるのが夢だったので嬉しいです」と夢華は笑顔で答えた。
「それにしても、本当に綺麗な体ね。肌もきめ細かくて張りがあって若さそのものね」
「あ、ありがとうございます。こんな綺麗な体になるなんて夢のようです」と夢華は照れながら答えた。
「で、その二人の美女はこの国を探してそうなんだけど、探し当てるなんてできると思う?」
「うーん、どうでしょう。一応この国は結界が張られてるみたいで、外からは見えにくいみたいだから、気付かないかもしれないですよ」と夢華。
「でも、ここまで来てしまった以上いずれはバレる可能性が高いわね」
「そうですね。特に王昭君の再来と言われた陳紅珠さんが来てしまったら厄介ですね」と夢華も同意する。
「ええ、そうね。あの子は私の事をライバル視してたから何か仕掛けてきそうね」と姚晨も不安そうだ。
「大丈夫ですよ。姚晨さんなら勝てますって」
「いや、そういう問題じゃないのよ」
「何々?何の話?」話を聞いてたうさちゃんが話に入ってきた。そして先程までの話の流れを話すと
「うーん、どうでしょう?その人たちが探し当てられるかどうかは解りませんが、でも来たら厄介でしょうね。だってこの国にそういう目的で来るってことはヒミコ様の怒りを買うって事ですから」とうさちゃん。
「それもそうね。もしそうなったらヒミコ様絶対に嫌がるでしょうね」と姚晨が言うと
「怖いですよ。怖すぎます」と夢華。
「そうよね、あんたなんて私を殺そうとしたんだもんね」と姚晨。
「あはは‥すみません」
「あなたの事をヒミコ様に頼み込んで聞き入れてもらうのにどんなに苦労した事やら…」と姚晨が愚痴る。すると
「私、自殺なんて初めてじゃないんですよ。何十回と試しましたから。でもいつも途中で挫折してしまって‥‥」と夢華は告白した。
「えっ、マジ?」姚晨は驚く。夢華は頷く。
「あらあら‥‥」と姚晨は呆れつつ夢華の気持ちを理解できてしまった。
「なのでヒミコ様に頼み込んで若返りと治療をしていただいた時に生きる意味を与えられたんです。もう、死にたくない‥‥と思いました」と夢華。
「なるほどねぇ‥。じゃあ、あんたがここに来た時の自己犠牲もあながち間違いじゃなかったってことかしら?」
「はい、それはそうなんですけど……なんか微妙な気分ですね。あれだけ死にたいと思っていたのに今では生きていたいと思っているんですから。人間って分からないものです」と苦笑する。
「まあ、でもそういうことなら納得できるわ。それにあんたがいなければこの山の管理人を探すのも大変そうだったからある意味助かったわ。管理能力よりもある程度のカリスマ性は絶対必要だったから。」と姚晨は優しく微笑む。
そして、しばらく沈黙が続いた後
「ふぅ‥‥しかし、これからどうするかね‥」と呟く。「本当に探してたら困るわ」
「ええ、それだけは避けたいです」
「でも、まぁ、とりあえずは様子を見るしかないわね」と姚晨。




