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市場大パニック‼ TOB成立

その翌日、長州きもの学園はTOBの実施を発表した。

そして株式市場では異変が起きた。

まず第一段階として星美が設定したTOB価格70円に対してもちろんこの日は値が付かず投資家達はパニック状態だ。

「うぎゃーーーー」

「〇♨×☺▼…」

「S安‥乙」

「-4000円って…冗談だろ‥‥」と株価ボードをみて呆然とするものもいるほどだ。

さらに翌日の出来事はまさに奇跡的なものとなった。

なんと朝一から寄らずにストップ安となりさらに翌日も値がつかず、その後もしばらくずっと下がり続けたのだ。まさに地獄絵図と言ってもいいほどであった。しかも一部では仕手筋と呼ばれる資金力の有るものまでいたようで相当なパニック売りが起こっていたようだった。


ついでに言うと一昨日に仕手筋の情報網などから異常な値動きを感じた者がすでにいくつかおり、20000円越えの時に売り抜けている奴も多数いたことからある種の被害は免れていたようだ。

まあ、いくらパニック売りとは言えども今回は全取得ではなく51%上限の取得だ。買収に反対しようと持っていても他者が売れば意味がない。TOB以降も下がる可能性もあるためTOB価格70円まではノンストップで下落することとなる。まあ、一部、空売りなどの買戻しもあったので途中逃げられた者も少しはいたがほとんどの者は叩き落とされてしまった。

しかしこれが星美にとっては正直なところラッキーな事だった。

結果、TOBは大成功を収めた。取得できた株は51%ちょうどまで買取を行うことができた。星美は無事買収成功を果たしたのだ。

「やった!やりましたね!星美!おめでとう!いやー見事なものでしたよ!」と旦那も喜んでくれた。星美も微笑みながら

「ええ、ありがとう!これでヒミコ様との交渉が楽になります」と感謝を述べた。それからしばらくして星美は会長にこう話した。

「では会長、これから長い付き合いになりそうですのでよろしくお願い致します」と丁寧なお辞儀をして挨拶を行った。そして会長も

「はい!こちらこそ末永くどうぞよろしくお願い申し上げます」と答えた。そして坂東も笑顔で

「これにて完了ですね。お疲れ様でした」と労いの言葉をかけると、

「いやいや、まだこれからですよ!」と答えた。会長も

「そうですな!これからが始まりですからな!ともに頑張ってまいりましょう」と笑顔で返すと星美は

「はい!是非とも頑張りましょう!」と笑顔で答えた。


###ヒミコ邸にて

「今日はヒミコ様にとってきっと興味の示されるであろう提案を持ってきました。面会をお願いします。」と星美。

そしてヒミコに連絡をとり許可をもらった。

「どんな内容かしら?」

「きもの関係です」と星美。ヒミコの目つきが変わった。

「あら!それはそれは‥是非とも聞かせて頂戴!さあ、どうぞ中に入ってちょうだい」と快く招き入れてくれた。

「どうもありがとうございます。では失礼して」と星美。

「失礼します」と星美に同行してきたデザイナーも一緒に入室する。

「早速ですが、失礼ですがヒミコ様はいつも同じ着物を着ていらっしゃいますよね?」

と星美は質問する。それに対しヒミコは

「そうね。特に理由はないけどあまり気にしていなかったわね」と答えた。

「それは非常に残念な事ですね。伝統工芸品の一つである着物は日本の文化ですし世界に誇るべきものです。それにヒミコ様のような美しい方に着ていただけると光栄ですよ」と答える星美。

そしてさらに続ける。

「今ヒミコ様は理由はなくあまり気にしていないとおっしゃいましたが半分は嘘ですよね?」

「そうね、その通りよ」と笑いながら答えるヒミコ。

「そして、その理由のせいで着物以外の普通の私服すら着る事が出来ないのでは、と私は推測しました。」と星美は言う。

するとヒミコは

「そうよ。確かに私は服装に関して無頓着なところはあるけど‥あなたは私の事を良く見ているようね。鋭い洞察力を持っているわ」と褒められた。

「いえいえ、それほどでもありませんよ。ではここからが本題です」

「まず私共の会社で新しくデザインした着物があるのですが、こちらをぜひ見ていただきたいのです。もちろん着物中心ですが」と星美はデザイナーの作った着物をヒミコに渡す。ヒミコは

「ふむ、どれどれ……」と言いながら着物を広げてみる。

するとそこには美しい花柄の模様が施された着物があった。さらに帯にも刺繍があしらわれておりかなり豪華な仕様となっていた。

「これは凄いわね!素晴らしい!センスも抜群ね!さすがプロの仕事だわ!」と感激しているヒミコ。

「ありがとうございます。喜んでいただけたようで何よりです。ちなみにこの着物はヒミコ様が普段から着ているような感じに合わせています」と星美は答える。

「ほう、それは素晴らしいわね。サイズもピッタリよ」とヒミコも満足そうだ。しかし、

「確かに素晴らしいのは認めるわ。でもこれじゃあダメね。解ってないわ。結局あなたも」と残念そうに言うヒミコ。

「いえ、分かっているからこうやってデザインしたんですよ。この着物サンプルはヒミコ様の好みの着物の柄や形などをただ確かめるためだけの物です。」と自信たっぷりに言った。

ヒミコは興味深そうに聞く。

「ほぅ、では本命は別にあるのかしら?」と聞くと、星美は

「そうです。まだ試作段階なので現物はありませんがヒミコ様の望むデザインを作れる自信はあります!」と答える。

それを聞いて興味津々な様子を見せるヒミコだった。そして

「ねえ、試作段階だといったけどどのようなものを想像しているの?」と聞いてきたので星美は

「実はですね、今お見せした着物を耐火素材を使って作ってみようと思ってます」と答えた。すると

ヒミコは

「なるほどね、なるほど……そういうことね!面白い提案だわ!私の事をそこまで理解した人は初めてだわ。うさちゃんでさえ未だに解っていなかったのに」と言った。


それに対しそれを聞いていた玉兎は

「一体どういう事なんです?耐火繊維でって、意味が解らないんですけど」と理由を尋ねた。

「簡単な事です。ヒミコ様は高速で動き回る事が多いからです。」と星美が話す。

つまり高速で動くことで摩擦熱で燃えてしまわないように耐火素材を使う必要があるという事だ。

それに対し玉兎は

「うーん、なるほどね……確かにそうかもしれないわね。ヒミコ様は超人的な速さで走ったりするからそのせいで着物が燃えてしまう可能性があるのかもしれないわね」と納得したようだ。

「まさか摩擦熱の事まで気にするとわね」と玉兎はいうが、それに対しヒミコは、

「摩擦熱もあるでしょうけどね、実際問題なのは圧縮熱ね。高速移動すると移動方向の空気が押しつぶされて高温を発するのよ。ほら隕石などが大気圏突入時に燃え尽きてしまうでしょ。あれと一緒」

と説明した。

「まあ、そういうわけでね、私のために耐火繊維の着物を作ってくださるようですね。それなら私は何も言わないわ。でももし耐火繊維を使った服を作ったとしても今の日本の技術では不可能だと思うけどね」とヒミコは残念そうに言う。

「でも挑戦しないで諦めたら何も進歩しません。まずはやってみて結果を見てみないと分からないと思います」と星美。

するとヒミコは

「それもそうね!では頑張って完成させて頂戴ね。それと私はこの着物も気に入ったわ。とても素敵よ。私によく似合うと思わない?」と言いながら着替え始めた。それを星美も手伝う。

そして着替え終わると二人は部屋を出た。その際に星美はヒミコに向かって

「それではヒミコ様。よろしくお願いしますね」と一礼して部屋を出ていった。

「難しいと思うけど頑張って頂戴ね。もしできたらお望み通り若返らせてあげるから」とヒミコは叫ぶ。やった!ついに言質を勝ち取ったと心の中でガッツポーズをしたのだった。

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