テレビ局からの出演依頼
###ヒミコ邸客間にて
「嫌よ!絶対嫌!何考えてるのよ!」とヒミコの怒号が飛ぶ
「そこを何とかお願いします。ヒミコ様は世界中のアイドルなんですから…ねっ、少しだけでも」そう言って頭を下げているのはヒミコ教国テレビ局の人気プロデューサ森下絵里香だ。
彼女は日本の芸能界出身である。
「なんで私がそんなバカみたいなテレビに出なければならないのよ。絶対に嫌だから!」ヒミコの声は大きくなるばかりだ。
「私も賛成です!ヒミコ様はテレビ映り絶対いいと思いますよ」とアリスも同調する。
「私だってねただ出演するくらいだけならいいわよ。問題は企画の方!何よこの衣装。この撮影現場は!まるで天国にいる女神じゃない。」との事で嫌がっているヒミコ。
そう企画内容とは「女神ヒミコ様の天国生活24時」と言う題名のバラエティー番組だ。番組内では子供からヒミコへの質問コーナーまである。
撮影場所は綺麗な背景に滝が流れ、神秘的な建物があり満天の星空が描かれていた。もちろんセットなのだがかなりの予算をつぎ込んでるようで子供だましの用には感じない出来栄えだ。
衣装もそう、ふんわりした最高級の絹仕立てで真っ白いワンピースのような美しい衣装だった。これにもかなりお金をかけてるようだ。
ただの宣伝番組ではないからだ。番組制作にあたり色々な企業にスポンサーになってくれるように呼び掛けたところ、ヒミコ教国内の企業はもちろんのこと世界的に大企業と呼ばれてるような企業さえも手を挙げてくれたのだ。そして番組スポンサーによる宣伝CM枠に企業広告や商品宣伝が多数組み込まれているのである。
なので絵里香としてもこの番組には全力で臨まなければならなかった。その甲斐あってか予算は潤沢だ。また、ヒミコ教国には様々な技術力を持っている人材が集まっており最新技術も惜しみなく提供されているのでセットや照明なども非常に豪華なものとなっている。これもすべてヒミコの力を借りるために巨額の資金を出してくれたおかげでもある。
だがヒミコにとってはそれが気に入らない。
「仕方がないですよ!ヒミコ様は女神様なんですから。私も大賛成ですよ」と李玲玉も必死に説得しようとしている。
「それにヒミコ様っていつも同じ服装じゃないですか。洗濯もしてないようだし。」そう言ってヒミコの服装を見る。
実はヒミコは一回着たらずっと同じ服装をしているのだが氷で作ってあるので汚れたら作り直せばいいだけなのである。ヒミコ自身コーディネイトにも無頓着なのでいつも同じ白い着物姿なのである。それで今回の番組用の衣装を用意してくれたわけである。本人はそんなことも露知らずであった。当然だ。ファッションにはあまり興味がないのだから。
「私は良いと思うのですが……」と李玲玉が言うとアリスも森下プロデューサーもウンウンとうなずいている。そして絵里香は話を続けた。
「それにヒミコ様の神通力を使ったマジックショーでしょ!盛り上がること間違いないし」と更に熱弁を奮う。
「いや、マジックじゃないし。それに……あれはあまり人に見せるもんでもないでしょ」とヒミコは渋い顔をする。
「いいえ!見てみたいです。私は。ぜひヒミコ様の素晴らしい力を皆にも見せてやってください!」と迫ってくる。そして周りの人々も大きな拍手を送る。ヒミコは負けた。
そして試しに用意された衣装に着替えてみた。なんとその姿は…みんなが想像する以上の美しさと清らかさを併せ持ったような…まさに女神と言わんばかりの風格とオーラを持った存在感だ。
周囲はその姿に惚れ惚れとしていた。曲線美の美しさも目を見張るものがある。
「すご‥、美しい…まさに理想形だわ…」と周囲の女性達は手を合わせ拝み始めている。
男性達は頬を染め目を潤ませている者もいる。
森下絵里香と李玲玉もまた違った意味で驚いていた。
森下絵里香は天才肌の美的感覚というものがあるがそれが刺激されたようだ。これは世界に向けて絶対に売り出すべきだと確信を得た。
「ちょっと、やっぱりやめるわ!いくら何でも恥ずかしすぎるわよ」とヒミコは慌てて衣装を脱ごうとする。
それを絵里香は制止し「ダメです!ここまで来たら最後までやりましょう!」と強引に番組撮影に持っていこうとするのだが台本を読み進めていたヒミコは突然コメカミに筋がはいり怒り出したのだ。
しかし怒ってる姿もまたとっても美しく魅力的でもあったのだが
「あのさあ、これふざけてんの?まだここまでは恥ずかしいけどまだ許せる範疇だけど何なのこの女神様の七変化ってのは‥。ナース?ブルマー?バニーガール?ふざけすぎでしょ?」ということらしい。
それはそうだろう。衣装を着るのはまだしもポーズまで付ける事になっているのだから。
ヒミコからしたらどれも屈辱以外の何ものでもないのだから。
「まあまあ、ヒミコ様。そこを何とか‥」と絵里香が宥めようとするが、ヒミコは怒り狂ってしまっているので聞こえていないようだ。そしてついにキレてしまった。
「だ、か、ら!!何でそんな物まで用意したわけ!?バニーガールって何よ!!何なのよこいつはーーー!!」と叫びながら台本を破ろうとしたのだがそれを李玲玉が奪い取った。
「ヒミコ様落ち着いて下さい。まだ全てにOKを出したわけではないですよ。それにこれもヒミコ様を宣伝するためなんですから‥ね?もう一度よく読んでみてください。お願いします!」と頭を下げる。そしてヒミコも冷静になるため深呼吸をして、再び台本を見直した。そしてニヤッと薄ら笑いをしたのだ。何か思いついたらしい。
「解ったわ!出てあげる条件として七変化の所の部分はあなた達がやりなさいね。私が変身したってシチュエーションでいいでしょ。うん、あんた達も十分美人の部類だと思うからイメージなんて損ねないと思うしね」と言い出してきたのだ。
一瞬の沈黙が生まれる。
「わ、私達で‥ですか?」と絵里香は困惑している。もちろん李玲玉もそうだ。まさかそんなことを言われるとは思っても見なかったからだ。
「あら、私があんた達よりブサイクだって言いたいの?」と凄い形相で睨みを利かせてくる
。慌てて訂正する。「いえ、決してそのような事はありません!」
「ふん、なら問題ないじゃないの。いいわね、決まりね!」と言ってその場を後にした。もちろんアリスもついて行く。
その後女性達の間で誰がどの衣装を着るのかで揉める事となる。自分達だって恥ずかしいのだ。
それなのによくぞ、ヒミコに着せようと思ったものだ。
だが李玲玉は心の中で絶叫したかったのだ。
『なんで私が?……』と。
李玲玉は悩んだ。しかし撮影はどんどんと進行していく。ヒミコの要望によりナース姿と婦警姿の美女はアリスとなり、ブルマ姿とセーラー服姿の美女は絵里香となり、バニー姿の美女は李玲玉となった。なぜなら李玲玉もかなりのスタイルの持ち主であり抜群のプロポーションを持つ美女のためだ。その上ヒミコ並に演技力も高く自然な演技が出来るからだ。それに……
「あなた達は何がいい?私もこの中から選ぶからさ」と言うとアリスと絵里香はしばらく考えて結論を出した。
「じゃあ私はナース服にしようかしら」とアリスが言うと、
「それじゃ私はブルマーにしようかな」と絵里香が答えた。
「解ったわ。なら私はバニーになるわね。ヒミコ様のお眼鏡に叶うといいけど」と李玲玉は覚悟を決めていた。
「えっ、なんで私まで…女性コマンドー姿と水着衣装?」と急遽駆り出されたエビカワはあたふたしている。
「うん、女性兵士にはなーーーんか無理がありそうだったけど……あなたにはぴったりなのよ。何せ命を狙ってきたくらいだからね。うん、完璧だわ。それに‥」とヒミコは微笑む。
「兵士はいいんですけど露出多くないですか?これ」と諦めたように言う。本来は露出はあんまりない設定だったのだがヒミコ様がやらないと言い出したのでだったらいっそのこと露出を高めようという設定に変更されたのだ。
しかし兵士の方は露出を少し抑えるため半ズボンという形で妥協点をみつけたらしい。というのもヒミコが兵士コスプレで胸やお尻丸出しというのは流石にまずいからだ。
最後に水着が用意された。




