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食料管理と保存の地区設立

「いや、やめて!」と叫ぶが、吊るされたロープに手が食い込むだけで倒れる事も許されなかった。

「やーーだよ!」と二人の声が見事にはもった。アリスがペンチを持ち出し、

「これからね、爪をぜーーーんぶ剝いであげるからね♡」と言い出した。とんでもないマゾらしい。こんなことが楽しいらしいのだ。いや、もうこんな事とんでもない拷問だ。

「イヤーーー!助けてください!」と泣き叫ぶがアリスは、

「やーーーだよ♪」と言ってペンチで親指の爪を剥ぎ始めた。

「ぎゃーー!」エビカワは悲鳴を上げる。それを見たアリスと李玲玉は、

「キャハハハ、これで五枚目!あと四枚もあるんだよー」「まだ始まったばっかなのに~~」「イェイ!」と笑っている。

「イヤーーー!助けてください!痛いーーー」エビカワは絶叫するが2人にとっては楽しんでいるのだ。その光景を他の教団の女たちは青ざめながら見ている。そこになぜかヒミコがやってきた。

「あっ、いたいた、あちゃーこんなにしちゃって…」と言いながら吊るしてあるロープを手刀で切り彼女の怪我を完全回復してしまったのだ。

「ヒミコ様!一体何を…女性なんて助けた事なんてないのに」と李玲玉は驚いている。

「ちょっと彼女たちにやってほしい事があってね。あんた達処遇を求めていたじゃない。ちょうどいいと思ってさ。」

「やります!なんでもやります!」とヒミコにしがみ付くエビカワ。

「な、しがみつかないでよ!鬱陶しいから!」と引き離す。

そしてエビカワ含む教団の女性達を連れてどこかに連れて行った。それをみて李玲玉達も後を追っていく。

エビカワは内心ほっとして助けてくれたヒミコを救世主で本当の女神さまに思えてしまった。

そして全員を軍用バスのようなものに乗車させそれを持ち上げ街はずれまで飛んでいきそこで降ろされた。降ろされた場所には氷でできた巨大なドームがあった。東京ドームの三倍程度はありそうだ。

「さっ、中へ入って頂戴」そう言われて中に入ると…何もなかった。一面ただの砂浜だ!

「えっと!ここで何をさせるつもりなんですか?」とアリスが聞くと、

「農作業よ。田んぼや畑を作ってもらうのよ!室内も適温にしておいたし」

そう言って氷のドームをあけた。

すると太陽の光が氷を透過して作物を育てるのに適度な温度になってる。さらに中央付近に池が作られてあって川から水を流しているようだ。

さらに砂浜を耕す為の道具や種まき用の籠などが置かれていた。

「作物……ですか?」女性の一人がポツンとつぶやいた。

「あ、あの‥ご飯は‥どうするんですか?」エビカワが質問をした。ヒミコは、

「李玲玉にでも聞いてちょうだい。」

と答えた。エビカワは唖然とした。これは想像以上の重労働ではないかと。が、それ以上に他の教団の女性達の方が呆然としている。

しかし、エビカワは地獄に仏、逆らって再び拷問されるよりはマシといの一番に農具を取りに行ったのだった。

そしてアリスに至っては口を半開きにして呆けてしまっている。そして李玲玉はというとヒミコに対して冷や汗が止まらない。

「えっと、これって一体どういう状況なのでしょうか…ちょっと思考がついていけないんですけど」と李玲玉が尋ねると、

「農業やってもらいながら私への態度を矯正してもらうためによ。快適に仕事ができるように助けてあげてね」と答えた。

それを聞いた李玲玉とアリスは互いに顔を見合わせて青ざめた。

「うん、これで一件落着だね!それじゃ李玲玉、あとは頼むね」そう言い残すとヒミコは飛び去ってしまった。なぜかバスも一緒に持っていってしまったが。

李玲玉とアリスはヒミコを見送った後、残ったエビカワと教団の女性達を見た。

エビカワはヒミコに完全に心酔していた。今まではヒミコは偽物と思い込んでいたのが完全な間違いだったと思い知らされたのだ。

李玲玉は、

「いい、あなた達!この農園で働けるのだから感謝しなさい!働かざるもの食うべからずよ!」と一喝した。

それを聞いたエビカワと教団の女性達は「はい、ありがとうございます!一生懸命頑張ります!」と答えたのだった。

なれない手つきで農作業を開始してから約2時間程度たった頃、ヒミカがバスをもってやってきたのだ。

バスの中には男性がギュウギュウに詰まっていてバスを地面に降ろすと男性たちを農業ドームにいれたのだ。

そして、

「こいつらの世話をまかせるわ。大切に扱って頂戴ね」と言って颯爽な顔で話す。それを聞いて女性達はみんな顔を赤らめた。何か良くない想像でもしたようだ。

「一体なぜそんなことを…」アリスが真っ赤になった顔で尋ねるのを見て

「ちょ、何あんたたち顔真っ赤にして…あんた達が考えてるようなスケベェな事じゃないわよ。普通に快適に暮らせるように面倒を見てやってって意味だから。」

それを聞いて今度は男性達の一部が落胆していた。勘違い甚だしい連中だ。そんな中エビカワだけは真剣に質問をした。

「あのヒミカ様は彼らに何をお求めでしょうか?」

「彼らは特別待遇。なにか粗相をしたらただじゃおかないからね。」とヒミコは言った。

「ヒミコ様の事だからどうせ食料事情によるんだろうけど何ですか?この人たちは?」と李玲玉はヒミコに聞いた。

するとヒミコは一人の男性を引っ張って来て腕まくりをさせた。そこには数字が書かれていた。そう、あの寿命までのカウントタイマーだ。

「これを見て頂戴。あんたが食料になる順番があるって言うからつけたんだけどさ。知っての通りこの数字には体調監視機能や居場所機能があって情報が逐一届くんだけど、最近こいつらの数が多くなりすぎて怪我とか病気とかを治しに行くのが面倒なのよね。だからもう一層の事一か所に集めて管理しようって訳。おわかり?」と李玲玉に話した。

それを聞いてアリスと女性達は固まった。

確かに合理的な判断ではあるが……女性達は複雑な心境になった。

「じゃ、後はまかせたわ」と言いつつヒミコはどこかへ行ってしまった。残されたエビカワや教団の女性達は、お互いの顔をみつめ合ったまま立ち尽くしていた。

すると最初に行動を起こしたのは李玲玉だった。

ドームの中に寝床を作ったり食事の場所を作らせたりとにかく快適になるようにしろとアリス以下、部下に丸投げし自分は大統領の仕事で忙しいからと言って仕事に行ってしまった。

ヒミコからの命令でもあるから逆らえないのは解っている。でも面倒くさいうえにあの教団のケアみたいなことは嫌すぎるので速足でその場から退散していった。

残されたアリスは、李玲玉を呼び止めようと手を伸ばしかけたが引っ込めて一言呟いた。

「はぁ‥」と深い溜息をついた。

翌日からみんな一生懸命に働き始めた。

男性たちには何かあるとまずいと思い何もさせないようにしたのだが暇だからと全員手伝ってくれた。

食料にされるとはいえそれまでは怪我も病気も治してくれるという事に恩義を感じてる部分もあるからだ。

そして一月もすると田んぼや畑、宿舎や食堂、そして道路などのインフラ整備などいろんなものが出来てきた。

なにせヒミコ教国には莫大な資産があるのだ。外部からも人を雇い突貫工事で作りまくったのだ。さらにヒミコからの特別なご配慮もあり男性に対しては超好待遇で何一つ文句が出ない状態だ。

それから一年後、建物や設備も完璧なものになり農園も立派になった。そのころになると男性側も家族を呼び寄せる者も現れたり教団女性やヒミコ国の女性達と恋におちいる独身男性すら現れ始めた。

アリスは定期的に視察を行い改善点を探し出していき次々と整備を行っていった。

そして最初のころの殺伐とした空気も和やかなムードとなっていき男性と女性との触れ合いも多くなった。女性たちもすっかり健康を取り戻した。

男性も食料とは言え常に居場所は把握されてるので出国手続きさえ行えば海外旅行すら出来るようにもなった。なので命の心配もないのでエベレスト登山など無謀な挑戦を行う男性すら存在し始めた。

このニュースは世界中に知れ渡るようになりヒミコ教の教えが正しいのを証明してしまったのだ。

世界中の人々から見ればまさに理想郷に見えるのだろう。食べられるのにだ。それに、ヒミコ教国には食料にされてもいいからと移住したがってる者も大勢いた。おかしな話だ。

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