〔29〕コスプレ誕生会④全員集合
「それでは、昼食会場へご案内いたします」と言って、筋子先生が案内してくださいました。ホールには、お皿が五つ並んでいる円形テーブルと、お皿が六つ並んでいる円形テーブルの二つがありました。私は、お皿が五つ並んでいる円形テーブルに座ってみんなの登場を待ちました。ホールに入る前からずっと『3台のチェンバロのための協奏曲BWV1064』が生演奏で流れていたので、すっかり貴族になった気分でした。シャルル・ダヨワ氏が、少数精鋭の楽団員を率いて演奏してくださっていました。
「なんだろう・・・。すごくお金持ちなんだな~」私は、感心しました。
まずホールに現れたのは、ユキでした。ユキは、白いスーツにドレッドヘアーで、お腹まで生えている髭付きメガネをかけていました。「世界平和」のタスキをかけて、マシンガンを持っていました。
「あっはっは! あんた、な~にその格好!」ユキはお腹を抱えて笑ってくれました。
「ユキの格好も面白いよ~」
「カツラはアタシが選んだんだよ。よく衣装と組み合わさったわね~。よく似合ってるわよ」とユキが笑いながら言いました。私の選んだものが一つもなかったので、ユキは5番か7番だと思いました。
「ユキの白いスーツ、カッコいいね」
「なんで白いスーツにドレッドヘアーか分からないけど、面白いからいいわ」
「世界平和のタスキなのに、マシンガンを持ってるの?」
「世界平和を乱すものを許さないのよ~」ユキはマシンガンを構えてふざけていました。ユキは衣装の組み合わせを気に入っている様子でした。
次にホールに現れたのはカスミでした。仙人のような白い着物にモヒカン頭でした。巨大兎耳カチューシャ付たれ目メガネをかけていました。「話題の中心」のタスキをかけて、筋斗雲に乗っていました。
「な~に、その格好。仙人みたいなのに、兎耳カチューシャ付けてるの~」ユキが笑いました。
「仙人なのに、モヒカンなの? おもしろ~い」私は独特の組み合わせを楽しみました。
「みんな、武器を持ってるの? カスミの武器は雲だよ~」
「みんな同じじゃつまらなくない? カスミはそれでい~のよ」ユキが言いました。
「キヨちゃんみたいな、見たことのない武器がい~な~」
「これ、武器なのかな~? 調理器具じゃないのかな~?」私は自信がありませんでした。そして、カスミが1番であることが分かりました。
次にホールに現れたのは、風鳥先生でした。
「あら? みなさん、ステキな格好ですね~」カエルの着ぐるみを着ていましたが、トサカ頭でした。充血赤レンズメガネと「エサを与えないでください」のタスキをつけて、チキンナゲットを持っていました。
「先生は着ぐるみなんですか?」ユキが聞きました。
「この際だから、挑戦してみました」風鳥先生は、くるりと誇らしげに一回りしました。とても楽しそうでした。
「あは~。カエルがトサカをつけて、チキンナゲットを食べてるね~」カスミの目がキラキラしていました。
「チキンナゲットを食べているので、エサを与えないでください」と、風鳥先生がタスキを指さしながら言いました。風鳥先生が6番であることが分かりました。
「カエルの着ぐるみは、アタシが選んだんですよ~」ユキが言いました。
「面白いものを引いてくれてありがとう」風鳥先生が言いました。
「キヨミさんのような、攻めたメガネをつけてみたかったですね~」
「先生は、着ぐるみで十分に攻めてますから」楽しむためのコスプレなので、怒る人はいませんでした。風鳥先生は、お皿が六つ並べられたテーブルに案内されました。
次にホールに現れたのは、未来先生でした。真っ黒い革ジャンを着て、ピンクアフロで真っ黒いサングラスをかけていました。「今日は狂暴よ」というタスキをつけてヌンチャク型箸を持っていました。
「きゃ~、みんなすっご~い!」未来先生は、みんなの衣装を見て驚いていました。
「みんなに比べると、わたしの格好は大人しいわね~」
「まぁ、クジ引きですからね。仕方ありません」ユキが言いました。
「でも、その武器面白いわよ」風鳥先生が言いました。
「ヌンチャクなのかな~? 拍子木にも見えるわね~」
「マッチ一本火事のもと~」わいわいきゃっきゃと戯れていました。
「わたしも、着ぐるみ着たかったわ~」未来先生は残念そうでした。未来先生も私の選んだものは身に着けていませんでした。だから5番か7番だと思いました。
「なんか、待っている時間がとても楽しかったわね~」風鳥先生が言いました。
「そうよね。『次は何だろう? これは誰が選んだんだろう?』って、ずっと考えていたわ」未来先生が言いました。
「何人かの番号は分かりましたよね?」ユキが言いました。
「え~、覚えてないよ~」カスミが言いました。
「内緒にしておくのも楽しいものよ」私は言いました。まだ、私が選んだちょんまげと、トカゲの着ぐるみと、巨大フォークが出てきていませんでした。
「(そよりさんか、ここあちゃんか、校長先生が着ているのでしょうか?)」拒否されていたら分かりません。




