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みすとら  作者: 詰乃 愛莉
第一章『Promised Love(約束された愛)』

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〔22〕妖怪参加型・演劇発表会④『魔法使いの弟子の師匠』

・第一幕「師匠の仕事場」

「ジャーン!」舞台の両脇で、ホントニオルノ交響楽団の生演奏が始まりました。指揮者は、世界的に著名なシャルル・ダヨワ氏でした。舞台の幕が上がり、私のソロパートから物語はスタートしました。私は、群青色と青色のボロボロのローブを着ていました。台詞は、舞台前や横やそこら中に10か所もプロジェクターが用意されていたし、ワイヤレスイヤホンとワイヤレスマイクをつけていたので、覚えていなくても安心でした。

「オイラの名は、魔法使いここあ師匠の弟子デガス。ハリネズミモグラ族出身のオイラだけど、師匠のもとで修業して、立派な魔法使いを目指すんだ! これまで師匠のもとで、2年間も勉強したけど、使える魔法がたった一つしかない! あー、困った、困った。もっとたくさんの魔法を使えるようになりたいよー!」舞台を広く使い、右へ歩き、左へ歩き台詞を言いました。

「困った、困った~」舞台袖から、黄色い猫がとことこ歩いてきました。

「ボクの名は、困ったネコまった。ネコも年を取ると、尻尾が二またに分かれるんだ。妖術が使える奴もいるよ~。ボクは使えないけどね~。あ~困った、困った~」と言って、行ってしまいました。私は成り行きを見ていましたが、困ったネコまったは、劇とは関係なさそうでした。そこで、私は劇の続きを演じ始めました。

「え? オイラは何の魔法が使えるかって? 気になるよね~? 誰もいないけど、教えちゃうよ~」取り出した胡瓜(きゅうり)の先をクルリと回し、(ほうき)に魔法をかけました。

「師匠に掃除を言いつけられたけど、代わりにホウキに掃除をさせるんだ! 動け(モーベレ)!」キュウリの先から光が放たれホウキを照らしました。

『きゅっぴ~ん!』ホウキの毛先が二股、三股に分かれ、ムクムクッとホウキが立ち上がりました。

「ドタドタ・・・」よろけながら、しっかりと歩く練習が始まりました。

「ホウキさん、ホウキさん。この部屋を掃除してください」私はホウキさんに命じました。

「ガッテンショーチ!」ドタドタわちゃわちゃと、掃除しているのか汚しているのか分からない掃除が始まりました。楽団の軽快なリズムに乗って上手に掃除できていたのは、二分だけでした。

「ドタドタ、ガチャガチャ、ズデッ、バテッ、どっこいしょ・・・」ホウキのバランスが悪すぎて、まるで掃除になりませんでした。

「これはいけませんねぇ、・・・ホウキのさんが、掃除しにくそうです。それならば・・・」私は、練習中の魔法を使ってみることにしました。

変身(カフカ)!」ホウキに向かって魔法をかけると、変な音が聞こえました。

『だにっちょ』ホウキがぬりかべに変わりました。

「なんじゃ! こりゃー!」私は慌てて、もう一度魔法をかけました。

「変身!」ホウキが、再び変な音を出しました。

『にゅるりんちょ』ぬりかべがハリネズミに変わりました。

「う~ん・・・もうちょっと大きい方がいいな~。よし、もう一回魔法をかけてみよう・・・」私がキュウリを構えると、ハリネズミは逃げて行きました。

「こきつかわれる~。も~、たまらん! ちょこちょこちょこ・・・・。スタたたた・・・」部屋から出て行ってしまいました。部屋は散らかり放題でした。運悪く、そこに師匠が帰って来ました。師匠は虹色に輝くローブを着ていました。羽根つきの魔法帽をかぶり、桜の木の杖を持っていました。

「何ですか、デガス! このありさまは! 掃除をしておきなさいと言ったはずです」ここあ師匠は、怒った演技をしていましたが、可愛かったので怖くありませんでした。

「すみません師匠、ホウキを変身させて掃除をさせる魔法を練習していました」

「あなたの持っているのは、魔法の杖ではありません。キュウリでは、魔法を使えません」

「あ! 杖とキュウリを間違えました」

「どっ!」と会場が爆笑に包まれました。

「以後、気をつけるように! さぁ、ホウキを追いかけましょう。街なかでイタズラをされたら大変です。大騒ぎになる前に、取り押さえるのです!」

「ガッテンショーチ!」

「デガスや。ホウキには乗れるようになったんだろうね?」

「はい、練習しました」

「やってごらんなさい」私は、ホウキにまたがり飛んでみました。ホウキが垂直に飛び上がりました。

「ずっど~ん!」100mも高く飛び上がったので、怖くなりました。急降下して地面にドッスンと落ちました。

「いててて・・・。師匠、うまく飛べません・・・」

「デガスや、いけませんね。それはホウキではありません。モップです」

「あ! 間違えました!」私は慌ててホウキと交換しました。

「どっ」と、会場は再び爆笑に包まれました。

「あなたのどじさんには、飽きれてしまいます。さぁ、行きましょう!」こうして、私と師匠はホウキのあとを追いかけました。

「ジャーン! たらりら、ててて・・・」生演奏に見送られてホウキを追いかけました。

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