〔15〕ドーブツ参加型運動会①種目決め会議
ろくに授業もしないのに、運動会をすることになりました。そよりさんの司会で、「何の種目を行うか?」会議が開かれました。副担任の風鳥先生は、窓際で本を読んでいました。
「さて、みなさんと決めなければいけないことがあります。運動会は、何をやりたいですか?」そよりさんは、黒板の前に立ちチョークで書き始めました。
『種目決め会議』
「運動会って、春だっけ? 秋じゃなかった?」ユキが疑問に思いました。
「季節は決まっていなかった気がする」私は言いました。
「いつやってもいいんだよ~」カスミが言いました。
「二か月後に、またやりたいな~」ここあちゃんが言いました。
「今回面白かったら、またすぐにやりましょう」そよりさんが言いました。
「五人で対決するの? チーム分けするの?」カスミが疑問に思いました。
「二チームだと、面白くないかも知れないよ」私は言いました。
「三チームが、少し複雑だからいいかもね~」ユキが言いました。
「五人が三チームに分かれるとして、一人になったらどうしよう? だれか助っ人が必要ね」ここあちゃんが言いました。すると、ロッカーの中から声が聞こえてきました。
「ふはははは・・・。話は聞かせて頂きました」と言って、校長先生が現れました。
「私たちに任せなさい!」校長先生は、上半身はサッカーウェアで、下半身は相撲のマワシで、野球帽を被り、浮き輪を抱えていました。
「・・・校長先生、やる気満々ですね~」ユキが言いました。
「チーム分けは、くじ引きでお決めください。先生たちが人数の足りないところへ参加します。公平に立ち回りますから泥船に乗ったつもりでいてください」
「(大船じゃないかな~?)」みんなが心の中で思いました。
そして、くじ引きが行われました。そよりさんとここあちゃんがAチーム。ユキとカスミがBチーム。私と先生方はCチームになりました。
「(あっちゃ~、うちのチームは負けだわ~。先生方に全部任せよう)」と、私は思いました。
「(Cチームは、ビリ決定ね。優勝はウチのチームよ!)」とA・Bチームは、結束しました。
「当然ですが、ドーブツさんたちにも参加して頂きましょう」と、校長先生が言いました。結局こうなるのです。
―運動会当日―
Aチーム・・・そよりさん、ここあちゃん、ゴールデンレトリバー、ピューマ
Bチーム・・・ユキ、カスミ、カンガルー、一反木綿
Cチーム・・・私、校長先生、松柳先生、風鳥先生、ぬりかべ、シャベランカ―先生
先生方は、何故か全員、首に縄がついていました。
「さぁ、先生方! Cチームが勝ちますよ~! 負けたら全員一カ月の減給です! サービス残業は20時間行って頂きます!」校長先生が檄を飛ばしました。
「(あぁ・・・)」先生方の顔が、ゲンナリと曇りました。
「それでは、みなさん。入場してください」保健の可古未来先生が、校長先生の指名で総合司会を引き受けました。
【可古未来】民法のアナウンサーを勤めた後、世界保健機関(WHO)でも働いたことがあるという経歴の持ち主。7か国語話せるという噂がある。20代半ばに見える独身女性。
エルガーの『威風堂々』の曲にのって、Aチームから入場が始まりました。運動場には、何処から集められたのか500人を超す観衆が運動会を見守っていました。
「(これ、卒業式のテーマじゃないかな~?)」と、誰もが思いました。Bチーム、Cチームの入場が終わると、Cチームの最後尾にいた校長先生が朝礼台に上がりました。Aチームからそよりさんが、Bチームからユキが、Cチームから私が選ばれ、校長先生の前に立ちました。三人で宣誓しました。
「正々堂々と競い合うことを誓います!」鳴りやまない拍手の中で、運動会が始まりました。
「なお~、1位のチームには10点。2位のチームには15点。三位のチームには、くじ引きで点数が与えられます」と、未来先生のアナウンスがありました。
「(2位が15点なら、みんな手を抜くんじゃない?)」と、誰もが疑問に思いました。
「1位を三回取ったチームには、食後のデザート自由権が30回分与えられます。
1位を三回取ったチームがない場合、総合点数により順位を決めます。
総合点数が一番多いチームには、夕食自由選択権が30回分与えられます。
二番目のチームには、食後のデザート自由権が15回分与えられます。
最下位のチームには、罰ゲーム30回分が与えられます」と、アナウンスされました。
校長先生の乱入で、私たちの『種目決め会議』が中断されてしまいました。生徒が行いたい種目5つに加え、先生方が行いたい種目が4つ加えられ、競技前にくじ引きで決めることになりました。
「第1種目の発表です。第1種目は『コスプレ借り物競争です』」と、未来先生がアナウンスしました。
「これ、絶対校長先生が考えたやつだよね~」
「ねじ込んだんだろうね~」
「校長先生が一番、遊びたいんじゃない?」
「やったことないから面白いかも?」
「なんでもいいわ。ビリにはならないだろうから」
Aチームの代表は、そよりさんとゴールデンレトリバーでした。
Bチームの代表は、カスミと一反木綿でした。
Cチームの代表は、校長先生と松柳先生でした。




