〔11〕ガールズトーク女子会
「!」私が目を覚ますと、私以外の女子全員が食堂のテーブルに突っ伏して寝ていました。
「あ、れ~? すっかり寝ていたわ」ユキが目覚めながら言いました。
「私も~」と言って、そよりさんが起きました。
むくっと、ここあちゃんが起きました。カスミはよだれを垂らしていました。
「にゃむ~、むにゃむにゃ」まだ寝ぼけていたので、
「こしこしっ」と拭いてあげました。
「みなさん、お目覚めですか?」副担任が読書をやめてこちらを見ました。
「今、お茶をいれてあげます。待っててください」と言って、お茶の準備をしに行きました。
「ありがとうございます」とみんなでお礼を言いました。
「本日の授業は、『自習』です。今みなさんたちが見た夢について、自由に意見交換をしてください」と言って、副担任は読書の世界に戻りました。そして、ハーブティーを飲みながら、夢の反省会が始まりました。このような場合、そよりさんとユキが話し合いの中心でした。
「あたしたち、なんかドーブツになってなかった?」
「チワワいたわね~」
「ブチのうさぎもいたよ~」
「あは~。リスと黒猫いたよ~」
「あと、もう一匹いなかった?」
「(それは、私だと思いました。何だったんだろう・・・)」
「モグラがいたわね~」
「な~に~? あのモグラ」私は、顔を真っ赤にしました。
「たぶん、それ、私です」というと、みんなが爆笑しました。
「あのモグラ、あんただったの~。もっといいドーブツになりなさいよ~」とユキに言われましたが、選べたのでしょうか。
「男子が四人いたわね~」
「サッカーしてたのが、サメトだっけ?」
「ドーブツだったから、顔をよく覚えてないの」
「私も~、声しか覚えていないわ」
「顔にも、膝にもカットバン貼っていたよ。よく転ぶんだね」
「え? 顔見えたの~?」
「少しだけ」
「どんな感じだった?」
「キャプテンっぽかったよ」
「男子の顔が見えていたのは、ここあちゃんだけね」
「一緒にボールを蹴っていたのがナナキだっけ?」
「野球がど~のとか言っていなかった?」
「サッカーよりも野球の方が得意なのかもね」
「サメト君とナナキ君は、日に焼けていたよ」
「あは~。男子は元気が一番」
「檻の近くで本を読んでいたのは?」
「ユウキだっけ?」
「違うわよ。マサルだったわ、確か」
「運動部じゃないね。細身でロン毛だったよ」
「話し方が、ナルシストっぽかったね~」
「サッカーをしてたっぽいけど、やめたのかな~?」
「読書部だって、地味ね~」
「あは~。声がカッコ良かったよ~」
「でもきっと、スポーツは苦手よ」
「性格は真面目そうだったよね?」
「ユウキ君の方が、ナルシストっぽかったよ。仕草がいちいち気取っていたよ」
「何だろう? 総合科学部って?」
「何する部なの?」
「お絵描きや、工作かな~?」
「聞いたことないよ~」
「あの男子たちって、何なの?」
「『ドーブツ触れ合いデー』と関係あるのかな~?」
「みんなの年齢は、同じくらい?」
「今まで、何回かドーブツになって、私たちと遊んだのかな~」
「覚えてないわね~」
「きっと、サメトとナナキがケンタウロスとペガサスだよ」
「あれだけ、走るからね~」
「でも、ケンタウロスとペガサスは仲が悪いみたいだったよ~」
「夢の中では、サメトとナナキは仲が良かったわね」
「じゃあ、違うか~」
「ドラキュラは、誰だろ?」
「サメトとナナキではない気がするわ」
「あの四人以外かもね」
「ミイラ男はユウキじゃない?」
「ミイラ男は、あの中にはもういないでしょ」
「四人とも、下品な感じじゃなかったし」
「ぬりかべは誰だろう?」
「あの中にはいないかもね」
「ぬりかべはじっとしているだけだったもの」
「マサル君かユウキ君かもね」
「あは~。一反木綿もいないのかな~?」
「ヒントが少ないわね。分からないわ」
「ねぇ、今度の『ドーブツ触れ合いデー』で、名前を呼んでみない?」
「名前が分かっても、顔が分からないよ」
「本当のすがたも分からないわね」
「でも、性格は分かるかもね」
「顔で選ばないなら、性格で選ぶしかないか」
「別に、あの中から無理に選ぶ必要もないのよ」
「それも、そうね~」
「ドーブツって、自分の名前を認識できるの?」
「やってみなければ、分からないわ」
「でも考えてみて。ドーブツとの相性が良くて、お互いが人間の姿で会えたとき・・・」それぞれが、それぞれの想像を膨らませていました。
「きゃ~!」
「きゃー!」
「あは~!」
「わ~!」
「ふっふ~。なかなかいいわね」女子たちの興奮がはちきれました。
美千代は、読書に集中出来ませんでした。
「(女子たちのなんと楽しそうな事か!)」誰が喋って、誰が聞いているか分からない楽しそうな話を、うらやましく思いながら聞いていました。自分は夢の中に参加していませんでしたが、相手に状況や自分の感情を正確に伝えようとする女子会が、盛り上がらないことはないのです。そして、過ぎし日の自分たちの女子会を思い出していました。もはや読書どころではありませんでした。想像力と感情と希望が入り混じった、楽しかった日々が次々と思い出されるのでした。




