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みすとら  作者: 詰乃 愛莉
第一章『Promised Love(約束された愛)』

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11/19

〔10〕うたた寝でもDoze(ドーゾ)

その日は三月の桃の節句の日でした。

・・・?

だったと思います。

・・・? 

だったかも知れません。

・・・?

ゴメンナサイ、ハッキリと覚えておりません。


副担任の付き添いで、五人の生徒たちが学食に集められました。昼食の後にデザートを食べました。

「この『七草大福』って、食べたことのない味ね~。七色の大福をいっぺんに食べている感じ~」そよりさんは、ご機嫌でした。

「この『ひな祭桜餅』美味しいね~。桜餅が口の中で、にぎやかに広がるわ~」ユキが言いました。

「この『大草原柏餅』も美味しいですよ。食べると大草原を駆け巡っている気持ちになれるの」ここあちゃんが何かを食べる姿を見せるのは、珍しいことでした。

「はむっ」と柏餅にかじりついた後に、チョコチョコと周りを少しずつかじりました。食べた後に口の形が残っていませんでした。この仕草が好きで、他の女子たちもここあちゃんが食べるところをコッソリ見ていました。

「(かあいいなぁ~)」という声が聞こえてきそうでした。

「『七夕笹団子』も食べてみて。ロマンティックに星々を旅している気分になれるよ」私は精一杯、味の表現を工夫してみました。

「あは~。一番おいしいのは、この『百代(ももよ)(ぐさ)栗プリン』だよ~」カスミは相変わらず、大きな口でちょこっとプリンにかじりついていました。五人の女子が、五種類のスイーツを食べながら『どのお菓子が一番か会議』をしていました。五人しかいないのに、五人そろうことは珍しいことでした。

風鳥美千代(ふうちょうみちよ)】副担任で音楽の教師。かつて「ショパン国際ピアノコンクール」で2位に入賞したこともある腕の持ち主。年齢はおそらく三十代半ばで独身。悲観的な考え方をするので、恋愛が長続きしない。性格が曲がっているわけではない。相手に気を遣いすぎるところが、うっとうしくもある。


「なぜただの食事会なのに、わざわざ副担任が付き添うのかしら?」そよりさんは、疑問に思いました。

「そういえば変ね。そろそろ『ドーブツとの触れ合いデー』のハズだけど」ユキが言いました。みんながデザートを食べ終わると、副担任が言いました。

「みなさん、全て食べ終わりましたか? もし眠くなったら、その場で寝ても大丈夫ですよ~」

「寝るって、ここで?」ユキが驚いていました。

「はい~。そうです。本日は『スイーツお昼寝デー』なのです」私たちは、次々にパタパタと眠ってしまいました。


目が覚めると動物になっていました。グランドでは、サッカーをしている少年が何人かいました。周りには、黒猫、チワワ、白黒のブチウサギ、リスがいました。私は何のドーブツか分かりませんでした。どうやらドーブツたちは、グランドのすみの木陰で休んでいる様子でした。私たちの近くで、透き通った声の男子が本を読んでいました。黒猫がその場から逃げようとすると、男子に捕まりました。

「こらこら、グランドは危ないから動き回らないようにしようね」といって、2m四方ほどの檻の中に入れられました。男子は再び本を読み始めました。数分後、遠くから声が聞こえてきました。

「マサル~! 逃げてんぞ~!」と呼ばれた男子は、白黒のブチウサギを捕まえに行きました。

「ん? お前もか」白黒のブチウサギが捕まり、檻の中に入れられました。

「危ないな~。なんでこんなところで、本を読まなければいけないのだ。集中できないな~」チワワも、リスも、私もまとめて檻に入れられました。

さきほど、この男子に声をかけた少年が、サッカーボールを持って近寄ってきました。

「マサル、時間じゃないの? ちゃんと時間を計ってくれよ」男子は時計を見て言いました。

「ごめん、ごめん。本に夢中になっていたわ」両手を合わせて謝りました。

「んまぁ、練習だからいいんだけどさ。お前も参加しないの?」

「ん? 俺はいいんだ。数合わせだから」

「そういうことじゃなくてさ。連携プレーの確認はしなきゃダメだぞ!」

「補欠の補欠だからいいじゃん」と言って、男子は笑っていました。

「今度の練習試合は、出番があるかも知れないよ」

「その時は、その時だ。何とかするよ」と言って、また本を読み始めました。

「お前は、普通に練習すりゃ、すぐにレギュラーを取れるのに・・・」

「・・・ん? いいんだ・・・」と言って、話を半分だけ聞いていました。遠くから、この少年を呼ぶ声が聞こえました。

「さめとー! 続きやるぞー!」少年は振り返り、

「ああー! 今行くー!」と大声で返事をして、行ってしまいました。


姿はよく見えませんでしたが、少年たちがサッカーの練習をしている声だけが聞こえてきました。

「ナナキー! こっちだよー! そっちに蹴るなー」

「俺、野球専門なんだよー。あんまり走らすなよー!」

「基礎体力が足りないんだよ! もっともっと走れよー!」


読書をしていた男子のところに、もう一人違う男子がやってきました。

「ふっふっふ。みなさん元気ですねー」男子が話しかけました。

「ユウキくんは、参加しないの?」

「私は、疲れるのでスポーツはいいです」

「ユウキ君はサッカー部の所属じゃなかったっけ?」

「一日だけやって、疲れたのでやめました」

「野球部にも、いたっけ?」

「汚れるので、やめました」

「柔道部にもいなかったっけ?」

「投げられるので、やめました」

「今、部活は何をしているの?」

「総合科学部です。部長です。マサルくんは、何の部活をしていますか?」

「僕はただの読書部です」

「活動していなさそうな部ですね」

「まぁ、部員が僕一人だから・・・」

「まぁ、私のところも似たようなものです・・・」二人の会話は盛り上がりませんでした。


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