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第41話 一難去って

これが金剛船事故の真相か。とりあえず彼らは良い空賊だということはわかった。皆さわやかな印象で悪さなどしなさそう。そういえば奴隷船の空賊たちは品のなさを感じたな。商船に助けてもらった時どことなく違和感があった。まずいな、俺って簡単に詐欺に引っかかるかもしれない。


「お連れさんは大丈夫だと思う。強い船員が向こうには何人もいてお客さんも強い人がいたから」

「我々とリプーの関係は秘密にしてくれ」

「わかりました」


彼女は空賊ではなく普通の船員として働いている。工作をするために忍び込んでいるわけではない。彼女を空賊にはしたくなく何とか説得して一般の船員にしたとか。義賊とはいえ空賊は悪とされる。捕まれば空賊として投獄され同じ罰を受ける。兄として普通の生き方をしてもらいたいわけだ。しかしそこまでしてカイさんは何故空賊を? 自分も普通に働けばいいだけではないか。おっといけないな、詮索屋は嫌われる。これ以上彼らの事情に深入りしないようにしよう。


「それにしても面白い形状の船ですね、なかなか男心をくすぐるというか」

「そうだろう、自慢の船でね」


満面の笑みで答えてくれるカイさん。船体を金属で囲い、動力は叩くと強力な気流が発生する気流石を使っている。最高速度はどんな船よりも速いだろうと鼻高々に話を。よほど気に入っているんだな。この力の入れよう、船が好きなんだろう。


「そろそろ到着だ、私達が暮らす浮遊島を紹介しよう」


甲板に上がり浮遊島の全景を見せてもらう。島は巨大な岩石の中に浮遊石が含まれていて宙に浮いているこの世界ではよくある浮遊島。他にも金属でできていたり植物だったりと様々な浮遊島が存在している。カイさんの浮遊島は村のようになっており畑があって家畜もいる。煙突から煙が出ていて生活感がある。


「ここで生活しているんですね」

「基地というか生産地とか居住区に近いか」


金剛船が浮遊島に到着。乗り場から降りて救助者を建物へ。


「明日出発して近くの街付近までお送りします。それまでごゆっくりお過ごしください」


それにしても紳士だな、明るく話しやすいしとても空賊には見えない。しかし時折見せる鋭い眼光や悲しみをたたえた表情など、どこか影があるように見える。浮遊島でのんびりと過ごし日が落ちてそろそろ夜、リプーに誘われカイさんの家へ。


「妹の恩人だからな、このくらいでは恩を返せないが好きなだけ飲んで食べてくれ」


テーブルに並べられた料理に酒、どれもうまそうだ。三人で食事をしていると、カイさんの部下があわただしく家に入ってきた。


「大変です、空賊たちから手紙が!」


手紙を受け取り読むカイさん。テーブルに置き静かに目をつむる。


「兄さん?」

「読んでもらってかまわない」


気になり手紙を受け取りリプーが文章を読む。親愛なるカイよ、話し合いの結果お前たち全員を殲滅することが決定した。同じ空賊のよしみだ、今後活動をやめ一般人に戻るというのなら見逃してやろう。それでもあがきたいのなら俺達と決着をつけよう。持った手が震えているリプー。


「どうやら本格的に空賊たちに目を付けられてしまったようだ。まあ空賊を襲っていれば当然か。最近派手にやっていたからな。近辺の空賊たちが手を組み私たちを潰す気のようだ」

「お互いの戦力は?」

「こちらは金剛船一隻だけだ。もう一隻はボロボロなのもあって戦闘は不可能、人や荷を運ぶことしかできない。相手は十隻以上はあり人数もかなりの数だ。しかも巨大な船を所有していて戦闘は圧倒的に不利、正直どうあがこうがこちらに勝ち目はない」


このまままともに戦えば負けということか。


「全員集めてくれ、今後のことについて話し合いをする」


ここで生活する人たち、船員が集められた。俺達は最後まで戦いますと、ほとんどの船員は戦う意思を示す。


「すみません、俺達は降ります」

「そのほうがいい、家族のために普通の人間として生きていけ」


一部、子供がいたり妻がいる者は戦闘には参加せずここから避難することに。


「非戦闘員も連れ街へ移動してくれ」

「わかりました」


カイさんは金剛船で戦うことを決意。他の者は街へ行きこれからは一般人として生きることで決定した。リプーも街へと送られる。カイさんの家に戻り、食事を再開。


「はは、冷めてしまったがせっかくの豪勢な料理だ、食べよう」

「カイさんも空賊をやめてしまえばよいのでは」

「それはできないんだ」


ワイングラスを置き、語りだす。


「私は元々は小国の王子だったんだ」


そして浮遊島の人間、船員のほとんどが国にいて逃げのびた人達。歴史ある国で浮遊島にある小さな国、それがカイさんの国だった。空と密接に関係する国で王も船を動かすというような国だった。小さくても幸せな暮らしだったという。しかしある時、その生活が一変する。空賊連合に襲われ民は殺され奪われ金品は強奪、それは悲惨な蹂躙といえる出来事が起きてしまった。何とか逃げた人達は空賊連合に復讐することを誓い、自らも空賊や協力者となった。リプーはその時まだ赤子だったから復讐の炎に身も心も焼かれてはいない、そう判断し普通の生活もできるだろうと船乗りとして仕込み空賊の仕事はやらせなかった。

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