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第40話 金剛船再び

「現在地はわかるのか」

「うん。ただ最悪なことに奴らは街から離れていったから、現在地は前よりも街へは遠くなって各船の航路とも離れている」


脱出できたが街が遠く状況は良くない。追い打ちをかけるように水と食料問題が浮上。念のために食料と水は常に多めに持っていたからあるにはあるのだが、人数がいるからリプーの分と合わせてもって三日。

一緒に飛竜で逃げた男性船員が多めに水と食料を持っていたが、予想外の裏切りでその分がゼロに。話し合った結果街まで持たないことが判明。パニックになるのを防ぐためここは二人だけの話に。それまでに手を打たなければならない。背中に冷や汗が流れる、どれだけ強力な力を持っていても状況によっては無力ということを思い知る。はは、まさかの空で遭難か。これはサラたちよりも危険な状態になったんじゃないかな。下手すると救出されず餓死もありえるかも。


(水や食料を探しながら移動かな?)

(任せて、手はあるよ)


耳打ちで答えるリプー。道具袋から狼煙セットを取り出す。彼女から受け取り火をつけ煙をあげる。あれ、街から遠いし航路もないのならこれを出しても誰も見ることはできないのでは。そんな疑問が頭をよぎりつつ狼煙の煙を見つめる。しかし帆船てのは面白いな、風上に向かって進むことができるのか。専門家じゃないから原理はわからないけど昔の人もこうやって船で移動していたんだろうな。


「‥‥、来た」


リプーの視線の先には小さな米粒くらいに見える船が。助かったんだな、ほっと胸をなでおろす。もしかしたら助からないのではと正直かなり焦っていた。徐々に大きくなる船、おや? どこかで見たことある形状だな。


「金剛船!?」


ラグビーボールの形状に近い船、間違いない、金剛船だ。おいおいよりにもよってあのとき暴れまわってこの状況を作り出した元凶が来てしまうとは。煙を見て様子を見に来たのかな。まっすぐこちらに向かってくる。このままだとぶつかる! しかし船は速度を落とし、回り込んで横につける。突っ込んでこない? 前回のようにおちょくって楽しんでいるとか。あれ、そういえば先端部は変形していたはず。この船は新品のようにきれいな状態、もう修理し終えたのか? いくらなんでも早い気がする。怯える女性たち、前に立ち警戒していると、船内から空賊達が出てくる。そして彼らの長らしき青年がこちらに話しかけてきた。


「皆さん、落ち着いてください。金剛船の話は聞いています。実はあの船は偽物、こちらが本物です」


つまり船は二つあったってことか。それなら先端部の変形の説明はつく。よく見ると大きさや作りが結構違うな。しかし何のために? どうやら彼らだけ知っている様々な問題があるようだな。


「我々も空賊ではありますが義賊としてやらせていただいています。ここから街は距離がありますから一旦私どもの拠点の浮遊島へ案内します。最終的には皆さんを元の場所へお返しします、ご安心ください」


俺と女性たちを金剛船に乗せる。入れ替わる様に空賊の船員が簡易帆船に乗り込みリプーと浮遊石と布と浮遊石を回収、浮力を失った船底後方は落下していった。女性たちと船内の部屋へ移動。


「あなたはこちらへ」


男だから別部屋かな。ついていった先は船長室、中には先ほどの船長、そして何故かリプーが部屋で待っていた。


「改めて初めまして。私はカイ、リプーの兄だ」


ええ? リプーとは兄妹? ますます頭の中は混乱するばかりに。


「話は聞かせてもらった。リプーのことは秘密にしておきたかったけど、救ってくれたそうじゃないか。どうしても兄として包み隠さずお礼を言いたくてね。本当にありがとう」

「ダンがいなかったらどうなっていたことか、想像するだけでもぞっとする」

「手があるといったのは」

「そう、この周囲は兄さんの空賊の勢力圏なんだ」

「ややこしいことを仕掛けられてね。何があったのか、現在の状況を詳しく教えよう」


先ほどの話し通りぶつかってきた金剛船は偽物。何故そんなことをしたのかというのはカイさんの空賊たちの悪評を広めるため。義賊のカイさんは空賊ではあるが一般人は襲わない。空賊なのに空賊や悪徳の商船等を狩り、彼らを知る人からは高い評価を受けていた。それが面白くない空賊たち、わざわざ偽の金剛船を作って船にぶつける悪さをした。これが初めてではなく何度かやっているのだとか。確かにわざわざ見せびらかすような行動をとっていたな。男女を分けて奴隷船で救出するまで予定通りだったのではと話すカイさん。徐々にやることが過激になっていったようだ。


「リプーからの報告を聞いている。船底に穴が開いて浮遊石が飛び散ったというのも嘘。布で覆い隠していて実際は船底が少し変形した程度。空賊が何人か入り込んで工作していたようだね。船員の皆が気が付いたけど一般客を巻き込んで暴れられると厄介だからということで話を合わせて二手に分けた。今頃捕まっているのでは。まあ奴隷船は予定外だったけど」

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