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第39話 脱出

通路から声が聞こえてきた、唇に人差し指を当て一旦話をやめ、扉の横に張り付く彼女。皆は寝ているふりをする。そして部屋に近づき扉を開け二人の男の船員が中に入ってきた。


「くっくっく、せっかくだから遊ばねえとな」

「って、なっ!?」


彼女が一人に飛びかかりスキルを発動して短剣で突き攻撃。船員はとっさに避け少々血が出たがかすり傷程度。もう一人が彼女に斬りつけてきたところを俺が盾で防御。


「へっ、大したこと‥‥」


男は崩れ落ちるように床に倒れ大きないびきをかき始めた。彼女はもう一人の後ろに回り同じくスキルで眠らせた。


(私のスキルはなかなか起きないよ)


眠り攻撃、威力はなさそうだがかすっただけでも効果があり。当たれば勝ちか、強力なスキルだ。


(手伝ってもらえませんか、私はリプー)

(わかった。俺はダンだ)


彼女とPTを組む。俺たち以外は非戦闘員の女性たち、二人で何とかするしかなさそうだ。


(歳も近そうだし通常の話し方で構わない)

(わかった)

(この後はどうする?)


逃げるためには乗り物が必要、飛竜を奪い脱出を狙う。その前に彼女たちを合流させる。


(甲板に行くよ)


音を出さないようスニーキングミッション開始。寝静まっていて静かだから音は出せない、なかなか緊張する動きだ。甲板まで移動するが飛竜は厳重に守られている。脱出するなら飛竜が一番だからな。大事なところだから押さえられているか。


(難しそうだ、無理やり奪っても相手は船、すぐ追いつかれてしまう)


ここで作戦を変更。樽をつなぎ合わせて浮遊石を詰めいかだのように空を浮遊する作戦に。甲板から船内に入って船底へ移動中、前方に人影が現れる。船員か? 気が付かれたか。


「ん~、どうやらネズミが動き回っているぞ」

「兄ちゃん、それなら捕まえないとね」


後方の部屋からも一人出てくる。二人に挟まれる形に。


「デザン兄弟!!」

「知っている奴か?」

「悪党の中でもかなり最悪な部類の奴らだ」

「ははは、誉め言葉かね。まあ味見をしようとしてたから否定はしないが」


俺の前に弟、リプーの前に兄。一見のんびりとした動きだがスキがない、こいつらは強いな。スキルを使いたいが今使うと船を突き破って飛び出すなんて笑えないことになるかも。ここは控えてと。


「お嬢ちゃん、遊んでやるよ」

「殺さないでね兄ちゃん。俺も遊びたいから」


俺とデザン弟はにらみ合う。兄は狭い通路で動き回る。かなり身軽な奴だ、らせん状に、床、壁、天井を走り攻撃をしながらリプーをもてあそぶ。


「くっ、この!」

「駄目だ!」


しびれを切らし短剣を突き出すリプー、しかし簡単にかわされ、腹に膝蹴りを食らってしまう。


「ぐっ!」


お腹を押さえ苦しそうにするリプー、髪を持ち体を持ち上げ彼女の首にナイフを突き立てる。


「こいつで終いだ。殺されたくなければ動くなよ」

「に、逃げて‥‥」

「問題ない、続けてみろ」

「はったりじゃないぞ?」

「わかっているさ」

「ふん、ならお望み通り殺してやる!」


ナイフを持った手に力が入る、目をつむるリプー。ナイフを突き刺すデザン兄。


「へっ、やってやったぜ。かわいいからもったいなかったが、って、ええっ!?」


ナイフは刺さらず俺の首で止まっている状態。スキル、かばう。仲間の前に瞬間移動して身代わりになる。


「どうなってやが、ふにゃっ」


その場に倒れるデザン兄。リプーのスキルが入ったようだ。


「て、てめえ、兄ちゃんをよくも!」


こちらに攻撃を仕掛けるデザン弟。どう返すかな、そうだ、速度は俺が制御すればいいか。スキルを使う。


「動かないで、失礼するよ」

「どういう、ってわっ」


リプーを抱え上げデザン弟の攻撃をかわす。


「んなっ、速い!?」


そのまま後ろに回り込み、睡眠の一撃をくらわす。


「こ、こんなやつらに」


その場に倒れ眠る弟。辺りを警戒する、船員たちのいびき声が聞こえる、誰にも気が付かれていないな、よかった。


「や、やったね」

「ああ」

「あの、降ろしてもらえる?」

「わかった」


彼女を降ろしデザン兄弟を部屋に押し込み活動再開。


「うーん、樽が少ない」


見つけた空の樽は三個、全員を乗せて逃げるには足りないな。なかなか計画通りいかないものだ。他に手はないかと考えるリプー。今いる場所は船底後方。ああそれなら。


「なあ、要するにボートみたいなものがあればいいんだろ?」

「そうだけどどうするつもり?」


思いついたやり方を説明。


「可能ならいけるけど、本当にできる?」

「任せてくれ」


少し考えた後にうなずく彼女。船底にある浮遊石を少しずつ回収し移動。樽を縛り付け、中に浮遊石を投入。そして徐々に船が傾いてくる。こうなるとさすがに奴らも気が付き船内が騒がしくなってきた。通路を駆ける音、部屋の扉が強引に開き放たれた。


「てめえら、何してやがる!?」


船長が怒鳴りながら部屋に突入してきた。ではここで仕上げといこう。マジックストーンサモン、万物を両断する剣士を召喚。大剣を持った少女が俺達の前に現れた。そしてスキルを発動。


「コネクトブレイク!」

「ただ剣を振り回すだけか、そんな攻撃効きやしないぜ」


大剣で斜めに斬撃、船底後方部を切り取る。最新の携帯やPCをもってしても、切断されてしまったらどうしようもない。緊急メンテナンスなんかでよく泣かされたな。そしてもがれる様に前方部が落下していった。


「んな馬鹿な、船が!?」

「ちょ、どうなってんだよー!!」


叫び声を上げながら船とともに落下していく船長と船員たち。ここは海の上、浮遊石も少し残っているし、運が良ければ生き残れるだろう。


「本当に斬ってしまうなんて。おっと見ている場合ではなかった」


準備しておいた布と木材を帆にして簡易帆船に、風を受けを問題なく飛ぶ。いい手際だ、流石船乗りだな。

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