第95話「建物探訪」
既にルカ達には話してある
「見たこともないドラゴン=龍」の仮説を再度話して
伝説なり他の【世界】からの来訪などについて知らないか
聞いてみた
それと、この都市についても
いくら何でもここまで発展してた都市から住民だけ消えて
産業革命どころか弥生時代以前の生活スタイルって
逆行しすぎにもほどがある
ルカの年齢からみても、人類の生活スタイルは
数千年余りも進化が止まっているのはなぜなのか
「ふむ
時折、わしらも知らぬ生物がいずこからかやってきて
荒らしていくことはあった
程度は違えど、その時に人里が滅ぶことも
あったやも知れぬの」
「長はこの都市にはどれくらい住んでるのか?」
「ルカが生まれる前からじゃのぅ」
少なくとも5000年経過か
それでも建物類がこんなにはっきり残ってるものなのか?
環境は違うとはいえ
もしかしてこれらも破壊不能属性がついているのか?
「ここに人が住んでいたのを見たことがあるだろうか?」
「いいや、こんな何もない岩山に人が住むわけがなかろう」
ドラゴンのサイズから見たマンションってのは
そうなんだろうな
「人化して中に入ったりはしなかったのか?」
「何の意味があるのだ?」
そうか、家、という概念がなければ入る意味を持たない、理解できないのか
なるほど
「少しこっちの者だけで話がしたい」
またも推論になるのだが、この現状も把握したい
現地に詳しいルカと私、フレイアとメイドの弧月、ヴェルーリアとメイドの月輪、白夜とマーキュリーのメイドコンビと分かれて探索させてもらう許可を得た
現状ではコンビで最低1名ずつは無反動砲を使えるから
探索中に襲撃があっても即対応可能だろう
ルカとヴェルーリアにも使い方教えたほうがいいかね
歩いて回るには広すぎる規模なので
ATVをクリエイトしてタンデムで乗り込む
おおよそ東西南北で分かれ
まずは状況や見慣れないものがないかなどを見てもらおう
各チームにメイドが入っているのは
弥生さんとのリンクで情報共有が可能だからだ
弥生さん、情報の取捨選択と報告はまかせていいよね?
『きちんと仕事しますよ』
ということで長の了承を貰って都市内を探索する
整然とした道路と建物の配置
少なくとも5000年は持っている耐久性
元の世界では何十年か程度で建物が劣化しまくっているのに
ドラゴンの里の建築物は技術的にかなり上だとわかる
酸性雨や地震など自然環境の影響があるにしたって
建材の問題もあって5000年どころか
100年だって怪しいのだから
「そういえば旦那様の作った建物もこれに似ておったのじゃ
旦那様と同じものが作れる者が
大昔におったのじゃろうかの?」
その可能性もゼロではない
どこまでさかのぼれるかわからないが
ドラゴンの口伝で残っているかどうかだろうか
あとは建物の中になにか残っていれば別だが
流石に5000年以上だと資機材系はどうなのだろう?
建物同様の耐久性を持たせたりしてただろうか?
建物の中に入ってすぐ気が付く
窓と思っていたものは実際には窓ではなく
建物内から外は見えていなかった
なのに明るいのは
「光る苔、なのじゃ!」
そう、建物内の天井は光る苔がびっしりだった
ルカ達ドラゴンは、すぐ目の前の建物内ににある光る苔には
一切気が付いていなかったのだ
成程、ガラスではないから内側の光も外に漏れていない
おまけにドラゴンはいちいち調べて歩くことはしてなかった
だから目の前に貴重だと言っている光る苔が大量にあっても
わからなかったのだ
もし、全ての建物の天井全面がこれだったら・・・・・
元の世界なら株価暴落なんてもんじゃないくらい
光る苔の金銭的価値が落ちそうだな
幸い、金どころか物々交換すらどうかという
【世界】だから下落なんてないだろうけど
「建物の部屋全部がこれなら
人化すれば一人1部屋使えるだろうね」
「偉くなくても使えるなら凄い話なのじゃ!」
やはりドラゴンには余程大事な照明なのだろうな
入ってきたホールに戻って気が付く
エレベーターがあるらしき場所がある
ただ、ドアがない
覗いてみると足元は円形の床があるだけ
上は暗くてよく見えないが
やはりシャフトらしきものなのだろう
上方に向かって空間があるようには見える
入ってみて驚いた
入口の横にボタンらしきものがある
縦1列に並んでいるので階層ボタンだろうが
書いている文字は読めない
ドアがないどころか、ボタン以外なにもない
非常通報ボタンすらも、だ
一応落下しても衝撃吸収する半長靴と風魔法併用で
大丈夫だとは思うが
使い方を伝えたルカはまず自分が使ってみる
と主張した
彼女なら落下の可能性は100%無いが
移動先にトラップがあるかもしれないからと
念には念を押しておく
「我を誰だと思っておるのじゃ?」
「ヴェルーリアに負けそうになったドラゴン様ですよね?」
「ぐっ」
「驕りは禁物、十分気を付けて」
「わかったのじゃ」
そう言って一番上のボタンを押した




