第96話「文明のかほり」
シャールカーニとニールの里は思ったより近かった
飛んで1時間程度とのことだったが
陸路だといかんせん舗装路どころか大半が森の中
密集度が低く意外と問題なく走れるのが幸いだが
やはり速度は上げられない
休憩を含めて10時間ほどを掛け
ようやく里の直近までやってきた
ルカに事前に話を通してもらったほうがいいと判断して
先行してもらう
すぐ通信が入り
出迎えの準備が出来たとのことで里に向かう
位置的には真っすぐ
マーカーもあるから余程でなければ迷うことはないだろう
――ところで出迎えの準備って
まさか力試しとかじゃないよね?
そう思いつつ、里に近づいていく
岩山、と思っていたものが徐々にはっきり見えてきたが
どうも様子がおかしい
どう考えても鉄筋コンクリートの廃墟群
厳密に言えば違うのかもしれないがそっくり
それもかなりの密集度、例えば東京都内よりも、だ
見える範囲でも廃墟群の規模はかなりものに見える
なんとなーく嫌ーな予感するよ
文明開化以前の文化レベルで
高層ビル群を作れるとは思えない
そうなると「なにかしらの要因」で
文明が最低でも一度はリセットされた
って考えるのが一番しっくりきそう
JC女神は何にも言ってなかったが
だとしたらリセットされた理由ってなんだ?
もしかしなくても弥生さんに聞いたって
『閲覧不能です。
そうなればますます怪しくなりますね』
ふむ
『古代文明が発展しすぎて自ら滅んだパターンでしょうか』
定番だよね、それ
まあ、まずは住んでるドラゴン達に聞いてみようか
大分近づいたところでルカが飛んできて横に並ぶ
「そのまままっすぐで里の中に入れるのじゃ」
「了解」
道路を塞ぐ瓦礫は意外と少な目で
想像以上に建物はきっちり建っている
廃墟で有名な雲上の楽園、と言われた松尾銅山のような
寂れた感じだがとにかく規模がでかい
松尾銅山は数十年程度でガラスなども無くなってて
木造住宅は燃焼試験だとかで無くなっているが
ここはそういったこともなく
見た感じ本当に使わなくなった
人が居なくなっただけのようにも見える
ルカの案内に従い里長の元へ向かっていると
時々ドラゴンが見える程度か
エリアに入る際に門番のようなものも居なかったし
おっさん町長の町よりも警戒が薄いのだろうか
どれくらいの数がここにいるのだろう
そう思っていると目の前が開け
見えてきたのは巨大なドーム型の建物だった
東京ドームなどよりもでかく見え、高さもそれ以上
促されるがままにそのまま開いた
ゲートらしき場所から中に入る
入った瞬間、何かしらの違和感を感じた
例えるなら悪寒、が一番近いか
ドームの中はうっすら明るい程度
漏れ入る陽の光ではなく
ところどころにある光る苔の明かりのようだ
その中にはいくつかのドラゴンらしい
シルエットが見えるが
ひときわ立派な影があった
「ご足労をおかけしたの、わしの娘の旦那殿」
長老なのだろうか
挨拶してくれるのはいいが私は旦那様ではない
「わしらの里によくぞ来ていただけた
話は聞いていただいておるだろうが
見たこともないドラゴンが他の里を襲い
怪我をしたものが出ておる
事前に我らの里の守りを固め
可能ならばその下手人を捕らえたいと思っておるのだ
力を貸してもらえぬだろうか」
微妙に言い回しが古臭いな
『古老のようですのでそれっぽく翻訳しております』
ご配慮ありがとうございます
「既にニールからも聞いているだろうが
他の里との連携も必要になってくるだろう
通信機を置いて行ってるはずだが
他の里との通信は試してみたか?」
「うむ、8つある里の内5つは通信ができた
あと3つは配り終えておらぬのか未だ連絡は取れておらぬ」




