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この世界、モノづくりも名前もお風呂もありません。だから後輩といっしょに、魔術開発と現代知識で雑貨から兵器まで作り放題の3年間をのんびり送ります【連載改稿版】  作者: 菜乃花 薫
異世界道中の、はじまりはじまり

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第82話「里長のお願い」

里から戻ってきて、ここに入るのは初のニール


風呂から上がって迎えに行ったが

やはり光り苔(ライトブッシュ)の凄さに

度肝を抜かれてはいるようだった


長との話と、マイカの処遇を確認しておきたい

ということで先に報告してもらう


ドラゴン?の襲撃についてだが

マイカ達はかかわっていない

と思われているらしい


少なくともマイカが知る限りは

この【世界】の生物でないものを生み出す能力は

魔王にはないのだそう


まあ、すべてを知っているわけではないかもしれないし

マイカの話自体が虚偽かもしれない


ここいらの話は【沈黙の呪い】で対処できたのだろうが

ルカが掛けた奴は解除しちゃったし

そもそも彼女が現場に居ないなら多分通用してないよね


「呪い、ってのは龍族なら誰でも使えるものなの?」


「いいえ、個体によって使える使えない

使えても特定の呪いしか使えないなどがあります

呪いに関しては我が姪が一族で一番の使い手ですな」


ふんぞり返ってるんですけど?その姪とやらは


結局、真実かどうかを判断するのは呪いではなく

マイカ自身を見て決めたとか

そしてとりあえずマイカについては

里と町が関係するものについて口外すると

”常に不幸になる呪い”がかかるようにして帰したとか


常に不幸になる呪い?

地味に嫌な気がする


「それで、ですな」


あら、なんか嫌な予感がしますよ?


一つ咳ばらいをしてニールが続けた


「長より、旦那様に来ていただいて

我らの里だけでなくすべての里の守りを上げる

手伝いをお願いしたい、との事です

ご助力いただけないでしょうか?」


「里っていったいいくつあるのさ?」


「私が知る限り8つ、ですな」


少し考える


「ここはまだしも、町のほうはまだ建設中に加え

防御はほぼ皆無なんだよね

龍族が襲われて困るような相手が襲ってきたら

間違いなくまずいことになるからさ

とりあえずこっちの防御がある程度

終わってからでないと町のみんなに対して無責任だよね」


一呼吸おいて


「まずは私らが居なくても町が困らない状態にするのが最優先かな

悪いけど、ドラゴンが集団で対抗できず

外部に助力を求める状態なら

人の町なんかあっという間に滅んじゃう


対抗措置は龍神族になった二人が

加わってもダメなのかね?」


「いかんせんドラゴン同士は群れ以外と

そんなに慣れ合いませんので里同士も離れているのです

連絡があって飛んで行っても

すべてが終わっている有様でして

仮に我ら二人が対処可能になっていたとしても

相手に遭遇しないとどうしようもないわけです」


地理的問題、か


「ところでさ、襲撃受けた理由ってなんなの?」


二人が悩み始める


「それがじゃの

襲われた里ではただただ暴れられただけ

と言っておったらしいのじゃ

寝床も岩場じゃし壊すものもないのじゃが

そこにいたドラゴンを相手に暴れまくって帰って行ったとか

正直訳が分からんのじゃ」


「ドラゴンの里にしかないアイテムとか

長全員に勝ったらなにかご褒美があるとかってないかな?」


「なんじゃそれ?

聞いたことないのじゃ」


うーん、定番ネタでもないのか


「ただ力試しに来た、とかだったりしません?」


阿部ちゃんが続ける


「それこそ道場破りみたいに自分の力を試してみたくて

同族?に見境なく襲い掛かっているとか

時代劇の剣客物だと定番ですよね」


「そういえばドラゴンも戦って負けたら従うんだよね?

今回の襲撃の場合、どうなるわけ?」


ニールが苦々しくこう言った

「相手がそのまま居なくなった以上

特に何もありませんが

もしそのまま居れば従うしかないでしょうな

負けたことを認めたなら、相手が誰であれ

ドラゴンの習性として逆らうことはできません」


「じゃあさ、ルカは実際私と戦ったわけだけど

ニールは戦ってないよね?

どちらかといえば話し合いだけなのに

習性で従っているわけ?」


ふむ、と一息入れて

「それは、我が姪が私よりも強く

群れを率いていたから、というのもありますな

執事としてついておりますが、実際我が姪ルカは

ドラゴンとしてもかなり強いのです


それが敗れた上

戦い直後に拝見した旦那様の魔素量に驚きまして

降伏を申し出ました

戦った結果同様、負けを認めたのと同意なのですよ」


なるほどねぇ


「もしかしたらすべてのドラゴンを配下に置こうとしている

って線はないものかね」


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