第78話「帰ってきた洞窟にて」
おやつ騒動も終わったし
夜になる前に今日のノルマを終わらせよう
シャールカーニ達にはマイカを龍の里に連れて行って
あちらの対処に加わるよう伝える
ニールには、マイカに危害が及ばないよう念押しして
マイカにも大人しくするように強く言っておく
脅したら再入浴が必要になりそうだから
優しくしておいた
結構な距離があるらしいので
ニールにゴーグルを渡して使い方を説明する
通話可能距離が不明なのでテストも兼ねて
定期連絡を頼んだ
時間を測るものがないから
”定時”は難しいからだ
3人が飛んで行ったのを見送り、こちらも再出発する
群れのドラゴンとは途中で合流して、全員で帰るらしい
ちなみにマイカだが
ルカに抱きかかえられたまま飛んで行った
しまった!
服をどうやって作ってるのか
聞くつもりだったのに
完全に忘れてた!
まあ、仕方ないか
そういえば、マイカと合体させられてた森蜘蛛だけど
気絶から回復したところを妖精に仲介してもらって
お詫び代わりに液体魔素を渡したら
めちゃくちゃ喜んで飲んでくれてた
仲介してくれた妖精にもちょっと重いけど
液体魔素瓶を1本ずつお礼に渡す
アウラム曰く妖精は強い魔素が大好きらしい
森蜘蛛も魔素の濃いものが好物だっていうから
丁度よかったかな
新品のふたを開けられず四苦八苦してたので
一度開けてから渡しておいた
露天風呂は勿体ないけど、イレースしてしまう
マイカのようなのが来て、拠点にでもされると面倒だからね
その後は順調に走り、何事もなく洞窟にたどり着く
クリエイトしておいた鉄扉を開け
地下通路を抜けて洞窟内に入る
相変わらず、洞窟内とは思えない明るさだ
「凄い!空全部が光ってます!!」
キラキラした目で車の外、いや洞窟を見つめるヴェルーリア
光る苔がここまで多いと、確かに空みたいに見えるよね
「ところで先輩?」
「なに?」
「人が増えましたよね
部屋割りはどうします?」
ああ、そうだ
キングキャッスルは出発前に部屋割りしてたけど
帰ってきたら3人増えてる
まあ、ドラゴン2人は私らと”住む”のかも決まってないし
とりあえず問題はヴェルーリアの部屋、か
「いっそ先輩の部屋で一緒に寝ます?」
ニヨニヨしながら言ってくる
「喜んで!!」
ヴェルーリアは嬉しそうな満面の笑みを浮かべていた
「気が休まらないからパス」
しゅんとして、肩を落としてしまった
キングキャッスルに到着したのだけど
「これ、家、なのでしょうか?」
呆然とヴェルーリアが立ち尽くす
まあ、びっくりするよね
高い建物は町にも作ったけど
こっちはまた形も規模もまるで違うし
おまけに二つもあるし
「まあ、とりあえず一旦休憩しようか」
会議室に案内して、ホワイトボード側の席にに座ってもらう
給湯室にヴェルーリアを呼んで手伝ってもらい
お茶とお茶請けを出す
「まずは一息つこうか」
二人で配り終えて、自分たちも席に着く
「紅茶とも、風呂上がりで飲んだ水出し緑茶とも
違うみたいですわ」
茶器に入ったお茶の色も香りも、確かにどちらとも違う
「プーアル茶、ですかね?
お茶受けはバニラアイスですか
なかなかのチョイス、90点です」
だから君はどうして、毎回採点してるんだよ・・・・・
そうしていたら、ゴーグルに通信が入った
「驚かせようと思って
旦那様の魔素の軌跡を追いかけてきたら
扉のある岩山にぶつかったのじゃ
一体どこにいったのじゃ~」
ルカだ
「来るの、速すぎない?」
「急いで行って、マイカを置いて
話してですぐ帰ってきたのじゃ」
「ニールはどうしたの?」
「奴は遅いから、手下どもと一緒に
置いてきぼりにしてやったわ
帰りにすれ違ったからの
長に詳細をきちんと説明しろと言っておいたのじゃ」
ご愁傷様です、ニール
ATVで扉まで迎えに行き、ルカをタンデムで乗せて帰る
「これは面白いものじゃのぅ」
結構フラットだから結構な速度で走ってるけど
流石は最強種族
驚きもしない
「ところで、気づいてる?」
「なんのことじゃ?」
やっぱり
「ここ、洞窟だよ?
明るいのはなぜか、わからないのかな??」
帰路を外れて、岩肌に近づく
「ま、まさか?」
「どうよ?」
光る苔が壁一面どころか、天井まで生えているのを見て
ドラゴン族長の一人娘は完全に言葉を失った
「ニールが戻るまで寝てる」
そう言い残して、キングキャッスルの私の部屋の
上部尖塔を占拠して寝始めた
初めて見るガラス越しの光景だったらしい
直射日光ほどじゃなくても
光る苔の明かりはあればあるほど贅沢なんだとか
ベッドも掛け布団要らないと言いながら
服を脱ぎ捨てて寝始める
― 日向ぼっこの猫か
私の部屋のベッドでは
布団初体験のヴェルーリアがはしゃぎまくっている
―子供か
この調子だとこの部屋、分割しないとダメかもね
女の子二人が一緒にいる部屋じゃ、流石に不埒が過ぎる
それにしてもあのルカの喜びよう
この洞窟、ドラゴン族に占拠されるんじゃないか?




