第76話「魔族をひん剥いて風呂に入れよう」
この歳だと、大人子供問わず何かの理由で服を脱がせることがないわけではない
ミスって引火した作業服をはたいて、ボタン引きちぎって脱がせたりもしてる
もちろん男だったが
ただ、流石にロープで拘束した、着衣の女性を脱がせたことは一度もない
しかも相手は魔族
今のところおとなしくはしているが、あの物言いだし
我々の安全性を鑑みると、自由にするのはまだ早い
拘束を最小限解き、歩ける程度にしてアウラムにリードを持ってもらった
そのまま風呂に行ってもらおうと思ったがマイカは自力で立てなかった
足首が石化したまま、全く動かないのだから仕方ない
女湯は既に入浴中だから、今から私がお姫様抱っこをして連れて入るのはNG
力がありそうなアウラムに頼むか、と声掛けしようとした時だった
『ご主人様、試して頂きたいことがありますがよろしいでしょうか?』
珍しく弥生さんからのお願い、だった
なんでしょ?と聞いてみると折角石化するレベルの呪い、それも龍神族が掛けたものが目の前にあるから、無効化できないかやってみたいって
え?そんな簡単にできるものかい?
『【世界書庫】で新たにアクセスできるようになったエリアで発見しました』
いつの間に・・・
マイカの前に向かい
「神事:解呪」
マイカの全身が蒼く光って、それが収まると足首は元に戻っていた
「は?足が動・・・く?
一体何をしたのだ?」
早速食って掛かられました
アウラムが紐を引っ張り後ろにつんのめっていたが
「アウラムに抱っこさせるのも面倒かけるな、と思って呪いを解いたんだよ」
「呪いを解いた、だと?」
何か言いたさそうだったが、敵対勢力に詳細を明かす必要はない
「これで自分で立って歩いて風呂入れるよね
紐付きで悪いが自業自得だから我慢してよ
アウラム、悪いけど逃げないよう固定するまでは絶対にリード離さないでね
阿部ちゃんは悪いけど脱ぐの手伝ってあげてね」
3人とも解呪に納得してないような顔で、女風呂に歩いていく
さて、これでようやく風呂に入れる
と思った瞬間だった
「旦那様~~~~~~」
ルカが走ってきた
泡だらけだが、素っ裸だ
「どうしてあ奴の石化が解けているのじゃ~~~~」
胸倉をつかまれ、前に後ろに揺すられる
ただ、彼女の背が低いので前に引っ張られると同時に下に下げられる
黙ってると酔ってきそう
なんとか腕をつかんで止める
「魔術で解除したんだよ」
「なんじゃと?」
「今、言ったよ?」
ポカンとする
「魔術で解除じゃと?
我らの【呪い】は〈契約〉と同じ古から伝わるものじゃぞ!
それを解除するとは・・・・旦那様は一体何者なのじゃ?」
「普通の会社員ですけど?」
「カイ・シャイン?とはなんじゃ?」
「ええと・・・君の群れで例えると一番偉い社長ってのが君で、間にいろんな偉い人が居て、さっき町で飛んできたドラゴンが私や阿部ちゃん
そういう群れで働いている人のことだね」
「つまり旦那様より偉い奴が居るのか?」
「いっぱい居るよ」
呆然としている
「ところで」
シャールカーニを見て一言
「このままだと湯冷めして風邪ひくよ?」
すっかり泡も乾いて、そこに残ったのは素っ裸の美人さんだけ
「風ならば飛んでいればいつも浴びてるのじゃ!」
腰に手を当てて胸をそらして威張ってらっしゃいます
風邪の概念もないかぁ
そもそも龍って風邪、引くのか?
いや、こっちの人類もどうなのだろう?
それよりなにより
見ているこっちは喜ばしいだろうけど、人様から見たら犯罪チック
出てきた痴女より、一緒にいる私が悪い奴にされるパターンだ、これ
ルカの背中を押して、女風呂に戻してからようやく風呂に向かう
浴槽の中ではニールが茹で蛸、いや茹でドラゴンになっていた




