第65話「ドラゴンの嫁入り?」
おっさんも【命名】で、見た目完璧に普通の人になった
二人とも今までと違い
気絶もせずそのまま体の変化があった
これはドラゴン族だけなのだろうか?
元々かっちりした体つきではあったが
本格的なボディビルダーではないものの
シックスパックばっちりな体ではある
短髪に執事らしい髭
絵に描いたような執事っぽさだ
「さて、次にやることがある、それも大至急だ」
私の言葉に全員が固唾を呑んで見つめてきた
「二人に服を着せよう」
おっさん執事改めニールは私が
ルカは女性陣全員でコーディネートすることになった
管理棟に行って服を作る
そう思って全員を促して歩き始めたが
「ルカ」
「なんじゃ?」
ルカは体ごと振り返る
いやぁ、眼福ですなぁ
「さっき土下座させたドラゴン、あの体勢のままなんだけど?」
「そうじゃったの!どうすればよいかの?」
「一度群れに返して、二人の事情を説明させたら?」
「では伝えてくるので皆少し待ってるのじゃ」
小走りでドラゴンの元に向かい
何やら話をするとドラゴンは飛び去った
また走って戻ってくるルカ
ドラゴンというより子犬みたい
「待たせたのじゃ」
「じゃ、着替えに行こう」
ルカは2階で、ニールは1階でと分かれる
別にニールは見られても問題ないだろうし
そもそも住民が居ないエリアだから気にすることはない
ルカのほうは、阿部ちゃんから突っ込まれそうなので
先手を打って上階にしただけだ
もし逆で、降りる先に着替えてる女性が居ようものなら
人生が終わる
そう思っておくに越したことはない
さっさと下着を作って着せる
流石にこの歳のおっさんにパンツを履かせるのは
嫌だったので履き方をジェスチャーで教えて自分で履いてもらう
シャツは当然のように着られなかったので、こっちは仕方ない
着せ方を教えながらやっていくしかなかった
さて、問題だ
ニールの顔立ちからすれば
ど定番の執事スタイルが似合いそうなんだが
執事そのものはカホルもなんだよな
彼女はパンツルックではあるものの
そこまで執事執事させてないんだよねぇ
でも、これでワイシャツにスラックスじゃ
どこぞの敏腕営業マンにしか見えない
思い付きでチェックのベストを追加し
喫茶店のマスタールックにしてみた
見た目と相まって似合ってはいると思う
「普段、服を着る習慣はなかったの?」
「そもそもがドラゴンですからね
なにかを身に纏う、ということはまったくありません
むしろ人が服を着ているのは
皮膚の防御力が低すぎるからだと思っていました」
それはそれであながち間違いでもないけど
ドラゴンと比較されちゃあね
降りてくる気配はしないので
会議室の奥に用意していた給湯室で紅茶とコーヒー
ミルクと砂糖を用意し、持ってくる
「まだ時間がかかりそうだから淹れてみたけど
こういうのは飲んだことあるかな?」
香りを嗅ぎ、カップの中を見て首を振る
「初めて見ますね」
「色が黒い方がコーヒー、赤く見えるほうが紅茶
このままでも飲めるけど、特にコーヒーは苦いから
砂糖入れて甘くしたり、ミルク入れたりで味を変えられるよ
それと、ドラゴンって禁忌な食材とかあったりするかな?」
コーヒーと紅茶を交互に見ていたニールだが
交互に口を付けて啜りながら答える
「毒を食らっても時間さえかければ解毒して対処できますし
飲食できるもので体に悪いとかいうものは聞いたことがありませんね
これらは大丈夫、温かくて良い香りがして落ち着きますな」
良かった
「食中りしないって、流石に伝説では地上最強とか
いろいろ言われる種族だけあるね」
「伝説?ですか?」
そうか、ニールもルカも、ついでにヴェルーリアにも
私と阿部ちゃんが異世界から来てるってことは伝えてなかったな
「まあ、その辺はおいおい話をするよ」
カップに口を付け、コーヒーを飲む
「ところで旦那様?」
思わずむせた
「旦那様はやめてほしいかな」
思案顔でニールがこう言った
「我が姪を捕らえていらっしゃいますよね
更にはご自身も一匹も殺さず群れを倒し
私どもが〈契約〉したカホル様とヴェルーリア様も
貴方様の許しを得て動いていらっしゃいました
この群れで貴方様が最強であることは
紛れもない事実でしょう」
続けて
「そもそもドラゴンは強さこそ全て、です
我が姪ルカを倒した貴方様に、我が姪を輿入れさせて頂きます」
「輿入れ??」
思わず立ち上がった
「はい
貴方様には、ルカが率いていた群れ全てが
私も含め問答無用で従うことになります
我が姪はメスでありますから
当然貴方様を主人として付き従い
全てを捧げてを共に生涯を遂げることとなります」
「パスで」
思わず顔を背けて手を横に振り、即答してしまった
「は?」
「だからパス
その話は無かったことにして」
ニールの顔が急に怖くなる
「私の姪が気に入らない、そうおっしゃるのですか?」
「そうだよ!
短い時間だけどニールだって何度あの子をどついた?
あんなじゃじゃ馬
逢ったばかりで会話すら難易度が高すぎるのに
全部すっ飛ばしていきなり輿入れ?
ご勘弁だよ、悪いけど」
ニール、憮然とした顔をしたが、その後少々困った顔に変わる
「確かにおっしゃる通りでしょう
ですが、ドラゴンとしては負けた以上輿入れできないとなると
そのメスに問題があるとレッテルが貼られるわけでして
・・・・そのぅ」
「問題があるのは事実でしょうが!」
思わずテーブルを叩いたよ
「改善されるならともかく
ついさっきまで暴れまくられて迷惑被って
ようやく一息ついたばかりで輿入れだぁ?
到底無理!」
丁度降りてきた女性陣、中にいたルカがこれを聞きつけた
「なんじゃと!
旦那様は我と契りを結ばんというのか!」
「そうだよ!」
即答してしまった




