第6話「魔術と魔法」
後輩のカミングアウトを受け、おねえさんが続ける
『そちらの世界では、そういったもので広まっているようですね
確かに「異世界転移」、と言えるのでしょうが、これはお仕事
大げさに言えば、あなた方にとっては「神からの使命」、とも言えるものなのです』
使命ねぇ
失敗したら、魂消されるとか、地獄に送られるとか
デメリットあったら嫌だなぁ
『失敗したら、異世界での3年についての記憶を抹消してから、あなた方の世界に戻して全て無かった事にするだけですよ
不達成のペナルティ、とかいうのはありません
半ば無理矢理に指名して、使命を与えてるんですから、そこまでやるのはあくどすぎますよね』
そうは言っても、流石に勝手に一人で決めるには話が重過ぎる
きちんと後輩と話したほうがいいよね
おねえさんには、どうせ考えが筒抜けだし、その場で相談をすることにした
「ねえ、どう思う?」
「冒険みたいで面白そうですし、もっと話を聞いてみたいです」
「確かにそうだけど
どういう世界に送られるのか?
どういう権限があるのか?
命の危険はないのか
ペナルティ無いと言われたって無責任って訳にもいかないし、まず確認した方が良くないかな?」
「そうですね
紀元前とか、戦時中のような混乱期に送られても困りますし
万が一、人間じゃない生物ばかりの世界とか
空気がない世界とか
価値観その他、まるっきり地球と違う星
だったりする可能性もありますし、ヒアリングはちゃんとしましょう!」
成程、異世界モノが好きだってのは本当みたいね
私より余程詳しいじゃない
質問は後輩からして貰おうかな?
そう心で思っただけで、おねえさんが話をはじめた
『あなた方に担当して貰う予定なのは、こちらの世界で言えば
産業革命前以前の世界
です
その世界は地球のような球体の惑星ではなく、正三角形状の平面世界が4枚組み合わさった立体形状
端的に言えば【正四面体】、と言えばいいかしら
4面全てが、別の世界になって居て、それぞれに管理者が存在しています
各々が、接している世界に対して相互監視と牽制をして、バランスを保っています』
・・・・・地球平面説ってのは、知ってるし
熱心な信者が居る、っては聞いたことあるけども、だ
おねえさんの説明が本当なら、無茶苦茶な世界構造だ
どうやって成立してるんだろ?
まあ
地球平面説だって、かなり荒唐無稽だけどもだ
それよりはるかに、物理法則が絶対成り立たない構造じゃないの?
いや、そもそも今、この状況がイレギュラーなんだから
考えるより、目の前の出来事を正確に認識するのが優先かな
『あなた方は、その正四面体の内の1面に行っていただきます
物理法則は、基本的に地球と同じですが世界としては【閉じられた平面世界】になりますね』
成程・・・・・?
『空気や水など、物質組成は基本、地球と共通ですが地球にはなくて、あちらにしかないものや、その逆もあります
物質文明よりも、精神文明のほうが進んでいて、地球では無い【魔法】と【魔術】があります』
「魔法!魔術!!あちらでは、私達も使えるんですか???
凄いですよ、先輩!!!」
私の手を取り、ぶんぶんと上下に振りながら後輩が興奮し始めた
まじか、この娘、そんなキャラだったのか??
すっかり行く気になっている後輩に、気後れしてしまいそう




