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想像力皆無な世界で私と後輩、二人で現代知識を駆使してのんびり3年間を過ごしたいだけなんだけど!?【連載改稿版】  作者: 菜乃花 薫
異世界道中の、はじまりはじまり

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第120話「女神様からのお願い」

改めてメイド隊がお茶を入れなおして、

全ての里長とお付きの面々が円卓に着くのを待つ。


「先ほど出迎えの時に何度か騒ぎがあったが、

あれでわしら龍神族の力がわかったであろう?

わしらの現状が人化ではなく、

新たな種族【龍神族】になったということを

疑う者はおるのか?」


沈黙が帰ってくる


「龍神族の強さについては理解してもらえたな?

その上で今、問題になっておる龍と戦うに当たって

改めてお主らに龍神族となるか、

そのままで居るかを決めてもらいたい」


一息ついて、続ける。

「通信会議で言った通り、

わしらはこの姿になって負けるのであれば

滅ぶことも受け入れる覚悟をしておる

そうでもなければ話に聞くあの龍とやらには

勝てないであろうと腹を括ったのだ。

お主らはどうする?」


「わしらはお主らのいうことに従おう」


最初に来た爺さんが即座に立ち上がって言った


「正直、エメロードの娘にわしの孫が

あっさりと倒されたのは驚いた

孫はわしの里でも一番強い

それこそ以前のエメロードよりも強かったはず

皆への非礼を詫びるとともに、

わしと今居る者と二人を龍神族にしてもらえるだろうか

改めて頼む」


入れ替わってきた若い衆も長に倣って頭を下げる


会場内がざわついた


次々と立ち上がり、結局エメロードの里を除く

7つの里全てからの来訪者が、

人化できないドラゴン形態のままの者も含めて

龍神族化することに同意した


弥生さんが名前を考える間に

この後の動きについても説明する


『え?丸投げですか?』


文句が聞こえたが、よろしくお願いします

『ひどくありませんか?』


会議はまだ続くから考えてる暇がないのでよろしく~


脳内でぶつぶつ物申すのが聞こえるが、ここは任せよう。


全ての里長に【帰る前にメイド隊を連れて行ってくれ】

という話をする


そっちもあっさり賛同を得られた

配置目的と交代についてもあくまで案ではあるが、

予定を伝えておく


各里の今後については自主性を重んじることにした


要は全住民を龍神族化するかどうかは。

里ごとに任せるってことだ

もちろん、今のところ龍神化するには

私か阿部ちゃんが必要になるわけだが、

必要な場合はこちらに来て

エメロードに頼むことを確約させ、

そうでない場合は応じないことを念押ししておいた


丸投げした名前決めが決まったので

弥生さんに礼を言って【命名】を開始する


アッという間に終わったが、

全員自分らのパワーアップに驚くと共に

エメロード達との力量差に愕然としていた


最終的にエメロードやルカほどの倍率で

魔素量が上がったものはいなかったが、

これはなんの違いかね?


ドラゴンに【命名】するために

外に出ると夜になっていたので、

さっさと龍神族化してしまう


目の前の作業は終わったので

これから移動してもらってもいいのだが、

町のほうが大変になるだろうから連絡だけして

移動は日が明けてからとする。


それまでは交歓会としての晩御飯、

その後の就寝にしようかね


隣の建物すべてのフロアを使って

里ごとに住み分けを行ったが、

今回は長老とお付きが居るので

大部屋内に小部屋として寝室を作る形にする


仲がよろしくない里があった場合を想定しての

トラブル防止も兼ねて、だ


作ってる間にニールに頼んで、町に連絡を入れておいて

明日の訪問と出迎えについて事前調整を頼んだ。


交歓会はそのまま会議室でやることにして

メイド隊に食事の用意をお願いしておいたが、

いちいちテーブルマナーを1から教えていられない。


手づかみで食べられるものばかりで統一してもらった


流石にそこまでは面倒を見る気はないし、

ついでに言えば風呂も作っていない


洗い方や入り方までいちいち教えるような、

そこまでの義理もない

そのうち話を聞いたりして興味が出たら

エメロードに頭を下げればいいだろう


文化の伝播も含めて余りにも甘やかしてしまえば

馴れ合いが生じかねない


初めてであろうおにぎりやサンドウィッチ、

ピザなどにいろいろな声が聞こえる


まあ、生肉が主食のようなドラゴンからすれば

食感から味から全てが初めての物も多いのだろう


ルカ同様ドラゴンは健啖家なのか、

テーブルの上のあれやこれやが

あっという間になくなっていく


フレイアと一緒にメイド隊に加わって量産を手伝っても

追いつかない


結局材料がなくなって終了したのだが、

戻った円卓にはもはや見慣れてしまった光景があった


「お前らが交歓会で食いまくってどーする!」


駄龍母娘と駄女神が

満月のように丸くなったお腹を抱えて

ひっくり返っていた


各長達を寝床に案内し、

メイド隊と一緒に交歓会の片付けを終わらせる


明日の朝、

起きたら会議棟に来て待っているように伝えてあるし、

町へのメイド隊のお迎えはルカとニールに

先導してもらうってことに手配済みだ。


今日はあと風呂に入って寝るだけだが

もう一仕事あったのを想いだしたので

作業をちゃちゃっと行ってしまおう


里長達の見張りも兼ねて宿泊棟での待機用に管理室を作った


こっちは2坪ほどの檜風呂にジェットバスを付けて

少し優雅に入ってもらえるようにしておく


スタッフはメイド隊2名ということで

希望者を募ったらみんな手を上げた


公平にじゃんけんで決めて貰う


この【世界】初の檜風呂に入るってのは

メイド隊であっても魅力的なようだ


他の面子は装甲車2台に分乗して拠点へ戻り、

お疲れさんと言いながら解散する


部屋に戻ってすぐ


「いるかぁい?」


ノックと共にJC女神様がいらっしゃった


ドアを開けると今日は一人らしい


「どうしたのかな?」


「ちょっといいかなぁ?」


どうぞ、と招き入れると昨晩同様

勝手にベッドに座った


さっき見た臨月のような腹は

すっかり元に戻っていたのは大したものです


少し下を向いていたが、意を決したように話を始めた


「昼にさぁ、【名前】の話をしたじゃあないかぁ?」


「お約束で心を読まれたのでそのまま話をしたね」


「君の龍神族達への【命名】だったり、

エメロード達が【名前】で呼ばれるのを見てさ

なんだかうらやましくなっちゃったんだよねぇ、ボク」


顔を黙ってみていると、

ちらちらこっちを見ながら

なにか言いたそうにしているので水を向けた。


「話した通り、【名前】を付けて生じるデメリットが

あるかどうか分からないけど、それでも、って?」


頷いて、こう続けた。


「長い間神ってのをやっててさぁ、

付き合いと言えばおねえさんを含めて

何人かの他の世界の神だけさぁ

そもそも親とかの概念もないからねぇ」


「そうなのか?」


「記憶にあるのは神として仕事している自分が居る、

ってだけでやりがいとか満足感とか

そういうのすらないんだよねぇ

一体どうして生きているのか、

なんで神なんてやってるのか

わからなくなる時もあるんだよぉ」


一息ついて


「そんな時にこの【世界】の為にと

頼んでおいたおねえさんが選んでくれた

君たちが来てくれてさぁ、

たった数日なのにこんなにもいろいろ起きて、

今日だってドラゴン族に

新しい動きをもたらしてるじゃあないかぁ

仲間も増えて次々他の人達を動かして物事を進めてる、

こういうのこそか生きてる!仕事してる!って

感じるんじゃないかなぁ、って

ボクは勝手に解釈しちゃってさぁ」


憂い顔で溜息を一つ吐く。


「女神、って呼ばれるままだと、

あくまで崇拝の対象みたいでさぁ、

君たちのその輪の中に入れてもらえていない気が

するんだよぉ

君の言うJC女神とか駄女神ってのだって、

親しみは感じるけど仲間!ってのとは違うよねぇ?

そう考えたら、無性に【名前】で呼ばれてみたく

なったんだよぉ」


今にも泣きだしそうな顔をする女神

そういえば神気も消したままだな


「そうさ、神気も人と違うって神としての証みたいに

思ってたんだけどさぁ、

その神気がないボクを見た君が本心から可愛い女の子、

って思ってくれたのがうれしくってねぇ」


駄女神と思ってたけど、

思った以上に人との繋がりが欲しかったのかな


「どうだろう?

君がボクに【名前】を付けてくれないかなぁ?」


絶世の美少女の、心からの懇願だった


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