第100話「永遠の生とデメリット」
「娘の群れが16、わしの群れが34じゃぞ
実験台として、まずはわしに【命名】して
おくれじゃないかえ?」
長はそういう
まだ裸、で
漸くメイド2名が帰ってきたので
とりあえずメイド服だが着てもらう
オートフィッティングでサイズに問題はないが
恰好もあって親子で並ぶとお嬢様とメイドにしか見えない
阿部ちゃんがここに居たら食いつきそう
「娘としてはどうだ?」
その問いに、真顔でこう返してきた
「長は我以上にこうと言ったら
他の意見を聞かない人なのじゃ
さっさと名前をつけたほうが良いぞ?」
「さいですか」
この親にしてこの子あり、ってわけね
ふむ
メイド服着たのでじっくりを観察する
母娘だけあって見た目は似ている
さっきちらっと見えた裸体を鑑みると
確かに大人の女性だが、それ以外はそっくり
髪色、目の色ともに娘と弟と類似、か
緩いウェーブのロングヘアーが光に映える
「エメロード、ではどうだろう?」
「ほう、意味はあるのかや?」
「緑色の宝石でエメラルド、というのがあるんだけど
長の髪と目の色に近いと思うんだよね」
「緑の宝石、というのがあるのか?
見てみたいものじゃの」
なるほど、金属の鉱脈がないってことは
もしかしたら天然石もアウトってことかな
「機会があったらね
で、どうだい?」
「今から旦那様に頂いた【エメロード】と名乗ろう」
お約束で光に包まれ、収まると・・・・
――小学校高学年女子??
急激な変化に、メイド服のオートフィッティングが
間に合わない
肌色が見えてワンテンポ遅れて服が調整された
明らかに娘のルカより見た目が幼くなってるのですが?
「長、いや母上!なぜに我より幼子なのじゃ?」
娘の問いに、腕組みしながら答える
「人化したときより背は縮んだのう
胸や尻も小さくなっておる
これはあれじゃの、【命名】での変化で
歳をとったのと同じ効果がでておるのじゃろうて」
「どういうこと?」
「わしらは永遠に近い生を持っておると言っても
ずっと同じ姿形でいるわけではないのじゃよ」
「ん?普通に外見も年齢相応に変わっていくってこと?」
「いいや
ある程度年齢が行くじゃろ?
そこから今度はだんだん若くなっていき
ある程度若返ればまた歳を取っていく
肉体的にだけはこういったことを繰り返すわけじゃが
今回は【命名】で一気に魔素量が増して
歳をとったのと同じ効果がでたのじゃろう
丁度若返る周期目前だったしの」
『報告します
識別名エメロードの魔素量は命名前の40倍と
膨れ上がっております』
あら?シャールカーニは30倍で長より
魔素量が上になったとか言ってたけど
その長が40倍だと?
「いかん、長の魔素量は増えすぎなのじゃ」
下剋上できなくなっちゃったかぁ
しかし、二人が並ぶと姉妹にしか見えない
中学の姉と小学校の妹
でも実際は母娘でしかも逆か
世の中は不思議でいっぱいですな
長、改めエメロードの里全部の龍神族化にあたり
30人分の命名は・・・弥生さんに任せた
ネタが尽きてきたのもあるが
阿部ちゃんが命名したときのように
シリーズ化とかもできず
かつ性別が雄雌両方ってのは意外に難しい
結局エメロードが率いる里の民は
全員龍神族になってしまったわけだ
全員魔素量と肉体能力が上がったのだから
トータルでの戦力はだいぶ向上しているだろう
これで勝てないなら龍?が強すぎる
前回の戦闘で三味線弾いてないなら勝てるとは思うが
「ところで旦那様、この後はどうするのかの?」
エメロードがなにか言いたそうに聞いてきた
「てか、あんたも私を旦那様呼ばわり?
それはそれであらぬ誤解を生みそうで嫌なんですが?」
里に来た理由は防御を固めようかと思ってだけど
環境がこれだとあまり意味がなさそうなんで・・・
「ニールに連絡して、里への訪問状況聞いて終わりそうなら
一度すべての里長をここに呼んで
エメロードが今の状況とか説明してくれると
次の展開に移りやすいかな」
ざっくり説明をすると
「む?
それは今のわしの姿を見せてということかや?」
大分不満げな声が返ってきた
「そうだね、全部の里をいちいち巡回して歩くより
こっちに来てもらって理解させて
里ごとに方針を決めてもらうほうが効率的だろうからね
龍神族化するか否かも含めて話し合うべきだと思う」
「話し合いのぅ
彼奴等、素直に龍神族になるかの?」
「この里はエメロードの管轄下だからいいとしても
他の里は懸念通りかもしれないけど、任せるしかないよね
その上でどう対抗策を施すかかな」
「なるほどのう、時間が限られておる人間らしいの
生き急いでいるわけでもないのじゃろうが
さっさと片づけたいわけかの」
「いや、単純に私が面倒事はさっさと片づけたいだけ」
一応、長相手なので細かく説明しておく。
あちこちの里が襲われてるのも
今までは怪我だけで済んでるけど今後はわからない
対抗する気力があるならその気力が高いうちに動かす
一度消えかかったやる気は落ちてしまえば
再度やる気にさせるための時間と労力は
とてつもなく多くかかる
それこそ無駄
それが重なれば結局なにも進展せずに時間が過ぎてしまう
それでは面白くないだろう?
エメロードは笑った
「旦那様は面倒が嫌い、無駄なことが嫌い
面白いことが好きなのかの?」
「そうだね、それで結果楽できるのが一番」
「楽するために努力する、とは矛盾じゃの?」
「努力を先払いして後は悠々自適にしたいだけだよ
トータルで考えたら多分あまり変わらない
むしろ職場じゃ割を喰うだけだからおすすめはしないね」
「しょくば、とはなんぞや?」
そうだよねぇ、わからないよね
ということで説明はシャールカーニに任せた
人に教えることで
覚えることも身につくこともあるからね




