第5話 ~天網恢恢疎にして漏らさず~
その日の投票が終わり、参加者は各々来た階段を上っていく。俺___ペルニ世は自室に戻り、襲撃の時間を待つ。相方の連絡は「君にとっての最後の襲撃だ。君が決めると良い。」だ。
...昨日の投票結果。本来なら、ペルニ世に2票。しょぴに2票。私はしょぴに投票したと宣言すれば、村人陣営は俺を真という事で進行せざるを得ないと踏んでいた。だが、結果はしょぴに3票。
...「ぐしゃの妨害によるペルニ世の連携ミス」、これが村人陣営が出すであろう見解だろう。一応、人外が真役人に投票先を揃えた、という言い分もあるが、本来ならぐしゃ投票で済んでいた話だ。しょぴに投票するイレギュラーを、他人外が読み切って投票を合わせるというレアケースは追ってくれないだろう。俺は、明日吊られて死ぬ。まだ狂信者や黒猫、背徳者などは追ってくれる可能性はあるが、連携を取って投票を合わせて、それをぐしゃに妨害されて失敗したという線を本軸とするなら、相方と連絡の取れる人狼が最もしっくり来る。俺はもう、諦めているはずだ。だが、どこか悔しい。
「...クソがっ!!!!」
壁を叩きつけようとして、ルールを思い出し止めた。ここで違反行為で死亡しては、相方に託された意味も無ければ、自陣営を不利になる。だが、それを理解した上で、どうしても気になる事がある。
...しょぴに投票を合わせてきたのは誰か。そこが気になる。まず、相方ではない。そして村人陣営はそんなことしてこないだろう。するメリットが無い。つまり、妖狐陣営か、狂信者-黒猫に択は狭まれる。ここから盤面を整理すれば...と、俺は考えかけて、止める。そんな事をしても意味は無いからだ。どの役職がやっていようと、その役職を引いた参加者が分からなければ意味は無いのだ。俺は、この後に決断しなければならない、言わば次の目標について考える。
...誰を襲撃するべきか。まず、グレー噛みは悪手のように感じる。全員がきっと、対面人狼の経験が浅い。発言を譲り合い、議論の量はそこまで多くない。指定する理由を、「理屈」「感情」「直感」の3つに分けた時、明らかに感情と直感の比率が多いだろう。グレーを噛むという事は、運ゲーにより指定を喰らう確率を上げる自殺行為だ。それは避けるべき。次いで、霊能襲撃も微妙だ。霊能者は全く真偽が付いていない。ペグ噛みする意味も薄い。つまり残されるは、共有者...しょぴか、占い師。この2択だ。俺は真占いが誰か知っている。
...長い時間考慮する。だが、考慮した3秒目には、結論が出ていたような気がした。占い師を襲撃すれば良い。狩人目線では、占い師の真偽は付いていないはずだからだ。占い師を護衛する判断を取っても、単純に考えるなら50%で護衛は失敗する。それに、共有襲撃が通ることを狩人は警戒するはずだ。
そう思って、私は階段を降り、ホールへ向かう。人狼の襲撃は、対象の部屋のドアを強く押すだけで完了するらしい。そうして、私は占い師の部屋まで辿り着く。そうして、部屋のドアを強く押した。...もう1度、ドアを強く押す。...何も起こらない。本来なら、ドアに狼の顔の模様をしたマークが浮かび上がるらしいのだが...。まさか、まさか、まさか。狩人は、またしても我らの行く手を阻むのか?もう1度試す、何も起こらない事を確認する。それを3回繰り返して、私は部屋へ戻った。相方へメッセージを送る。
「すまない。占い師の襲撃に失敗した。後は託した。」
「気にするな。後は、俺等に任せろ。」
「俺達が、お前を生き返らせてやる。」
相方からメッセージが返ってくる。それを見て、少し心が救われた気がした。
俺は傲慢だったのかもしれない。俺が得意になっていたのは、俺が好きだったのは、「推理」じゃない、「推理している俺」だったのかもしれない。自分自身に失望すら感じてしまう。5分程度が経過し、夜が明けるアナウンスが聞こえた。ドアを開け、ホールへ降りる。降りてきた階段の正面にある、処刑台に座る。全員が揃い、ア6がめろを黒だと言った。絶滅勇者が、風街通りは白だと言った。霊能者の2人は、ぐしゃを白だと言った。俺はその後、どんな議論をしたかは覚えていない。そうして、投票時間に入った。俺は誰に投票したか覚えていない。無機質な音声が、俺を最多得票者だと告げた。俺は何を思ったか覚えていない。照明が消える。俺は遺言に何を選んだか覚えていない。首に縄がかかり、勢いよく上に持ち上げられる。俺はどれほど足掻いたか覚えていない。そうして、頂上の景色を拝む。その景色だけは、今後も忘れるものでは無いだろう。
...そこニは、燦々と俺を焼ク太陽があった。その両わきにハ、く、びヲつ、るぐ、しャと、えい、りト...。
〜第5話、終〜




