第5話 一筋の希望
ある日の夜
俺は従兄弟と話していた。
『愛澄と別れた』
『え?まじで?』
『うん、あと学校も行ってない』
『学校楽しくないん?』
『なにも楽しくない、きついだけ』
『それは行きたくないわな』
『じゃあ転入したら?』
『そんなのあるの?』
『普通科やろ?』
『うん』
『じゃあいける』
『綾乃?がおる学校に行ったらいいんじゃないん?』
『私立にも出来るの?』
『多分』
この日俺にも少し希望が見えた。
また学校に行ける日が来るかもしれない。
綾乃と同じ学校なら通えるかもしれない。
だがそれも、楽な道ではなかった。
担任とも話さないといけない。親にも話さないといけない。
しかし、それを乗り越えたら俺は変われる。
学校にも行ける。
確かに怖い。ただ、それを乗り越えなければ未来はない。1つの希望にかけるしかない。そう思った。
従兄弟は私立には大体欠員があると言っていた。
それを、信じて2学期から綾乃と同じ学校に通える事を信じて頑張ろう。そう思った。
まずは綾乃に言ってみよう。綾乃にすら言えないようじゃ他の人には話せない。
だが綾乃に言う事も全く怖くないわけではない。
綾乃は逃げと言わないだろうか?
綾乃に否定されないだろうか?
そんな事ばかりが頭をよぎる。
綾乃に否定されたとき俺は終わってしまう気がしていた。
その、転入という希望が絶望に変わるかもしれない瞬間が怖いんだ。
ただ、今は人生のどん底だ。これ以上悪くなる事はない。
だが失うものは少しだけある。
その少しを失うことが怖い。
しかし、このまま変われなければ失うのも時間の問題だ。それならば怖くても、辛くても行動を起こすしかない。
俺は一筋の希望に向かって走り出す決意をした。
そうしてたった少しだがその勇気でゴミ人間から遠ざかれたのだった。




