表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凪の坂道  作者: 凪葉
第一章 高校生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
53/69

第53話 【恋の疲弊】


翌日、1時間目の終了を告げるチャイムが鳴り響いた鳴滝高校。


和也の胸中は嫌な予感と焦燥感。

凪の姿はない、


「遅刻か?」


和也は足早に職員室へ向かい、担任の教師に声をかけた。


「先生、すみません。凪なんですけど、今日来てないみたいで。何か連絡入ってますか?」


「ああ、凪か。あいつ、確かご両親は関西におるのに、何か複雑な事情があるんか知らんが、こっちで叔母さんと二人暮らししとるだろ。

今朝、その叔母さんの体調が良くなくて病院に付き添うから休むって、本人から連絡が入っとったよ。

詳しい病状までは言わんかったがね」


「叔母さん、体調崩されたんですか。わかりました、ありがとうございます」


「まあ、そういう事情だ。何か急用でもあったんか?」


「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」


職員室を後にした和也は、廊下に立ち尽くしたまま思わず頭を抱えた。


「はぁ、マジか…っ」



三原高校の教室。

英理はナオの机の前に立ち、昨日の出来事を思い出して胸を痛めていた。


「ナオ。おはよう。あの、昨日は本当にごめん」


ナオは朝のホームルームの準備の手を止め、驚いたように英理を見上げた。


「英理、おはよう、急にどうしたん、そんな神妙な顔して」


「昨日…せっかく長門くんとの初デートやったのに。

私のせいで、台無しにしてしまった。楽しいはずの時間を、あんな嫌な空気に変えてしまって、本当に、ごめん」


ナオは一瞬だけ呆れたような表情を見せたが、英理の肩に優しく手を置いた。


「そんなこと、気にせんでええよ。朝から何言うとるん」


「でも…」


「でも、やないよ」


ナオは英理を真っ直ぐに見つめ、少しだけ困ったように話す。


「そりゃ、デートが終わったのは残念やけど。でも、友達が今にも壊れそうになっとる時に、自分のこと優先できるほど、私、冷たい人間やないって」


英理の表情は夜通し考え込んだのか、どこか表情は硬い。


「ナオ…昨日の夜、ずっと一人で考えとったんよ。凪くんのこと」


ナオは何も言わず、ただ英理の言葉を待つ。


「私、今日の放課後、喫茶『たんぽぽ』には行かない…行けんわ。

凪くんと私って、何かが根本からすれ違っとる気がするんよ」


英理は自分の中に溜まっていた言葉を、一つずつ丁寧に話し出した。


「好きなんよ、それは本当。でも、お互い上手く言葉にできんし、何より…こうやって付き合っていくの、上手くいかん気がしてきた。

確かに昨日は、私があんなにはしゃいでしまったのも悪かった。

気持ちのズレだけやなくて、なんて言うか…運命に邪魔されとる気がするんよ」


英理は窓の外を眺め話を続ける。


「私が楽しもうとすればするほど、いつも変なタイミングで邪魔が入ったり、意地悪な偶然ばかり重なってすれ違ってしまう。

周りにも迷惑をかけて…もう、疲れちゃったんかも。

本当は、昨日の裕介くんみたいに、何も考えずにただ笑い合って、普通の恋愛がしたいな、って」


英理はナオの顔を見つめ、少し震える声で続ける。


「…凪とは、それができんのよ。凪のことは大好きなのに、運命に『二人はいかん』って言われとる気がして…私…もう無理かもしれん」


ナオは英理の手を離さず、しっかりと握り返す。


「…英理。そんなふうに言わんといて。あんた、昨日の夜もずっと考えすぎて全然寝てないやろ? 顔色も悪いし。

あんたがどれだけ凪くんを想って、どれだけ自分を責めてきたか、私は一番知っとるつもりよ。

今は心が傷ついて、頭も体も疲れ切ってるだけなんじゃない? 少し冷静になって、自分の本当の気持ちを見つめ直してみようよ」









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ