第48話 【最悪のタイミング】
放課後、駅近くのマクドナルドは、学校帰りの高校生たちで賑わっていた。
ナオ、英理、長門、裕介の4人は、無事に2人掛けの机をくっつけた席を確保し、全員の目の前にはお目当ての『てりたまバーガー』のセットが並んでいる。
「うわ、これこれ! この時期のてりたまはマジで神やん!」
裕介が包み紙を開けながら、目を輝かせて声を上げる。
「ほんまそれ! 私、この甘辛いタレとマヨネーズの組み合わせ、毎日でも食べられる気がする!」
英理も負けじとポテトを口に放り込みながら大はしゃぎ。
最初は「あの高嶺の花の神之浦さんと同じ席に…」とガチガチに緊張していた裕介だったが、英理の壁を作らない天真爛漫な明るさに触れ、すっかり緊張が解けたていた。
「だろ!? でもさ、てりたまを綺麗に食べるのって難しくない? 絶対どこかしらタレが顔につくか、レタスがハミ出るんよ。ほら見ろ、長門、お前もう口の横にタレついとるぞ!」
「えっ、マジで!?」
慌てて紙ナプキンを探す長門の姿に、ナオが「あはは! ほんとだ、長門くんここ、ここ!」と笑いながら指をさす。
裕介が本来の気さくでひょうきんな性格を発揮し始めた。
場は一気にヒートアップしていく。
裕介が身振り手振りを交えて話す中学時代の長門の黒歴史や、くだらない冗談の連発に、女子2人はすっかりツボに入ってしまった。
「ちょっと裕介くん、面白すぎるんだけど!!」
英理が机をバンバンと叩きながらお腹を抱えて大爆笑し、ナオも涙目を拭いながら
「もうお腹痛い、笑わせんで!」と声を上げた。
「わははは!」
「キャハハハ!」
2人の、遠慮のない大爆笑が、少し騒がしい店内に一段と高く響き渡る。
「あはは! もう裕介くん、本当に最高ばい!」
英理の弾けるような笑い声が響く中、ナオはふと、店の自動ドアが開く音に誘われて入り口の方へと視線を向けた。
その瞬間、ナオの心臓がドクンと跳ね上がる。
(えっ!?)
賑やかな店内で空席を探している男子たちの姿。
見間違うはずもない。和也と、そして凪の姿がそこにあった。




