第46話 【親友の幸せと、少しの寂しさ】
「なぁ、ナオ。ちょっと気になったんだけど、神之浦さんって、誰か付き合っとる人とかおらんの?」
「え? 英理?」
「おう。もし特定の奴がおるんなら、その人と一緒にポートサイドに来てもらえば、気兼ねなく4人で食べられるんじゃないかと思ってさ」
「あー、なるほどね」
「おるには、おるんとよ。周りから見たら完全に『付き合っとるやろ』って距離感なんだけど、実際はまだ。めちゃくちゃもどかしい関係なんよね」
「へぇ……そうなんだ」
(マジかよ。あの神之浦さんに、特別な男がおったんか)
長門は少し考えた。
「じゃあ、神之浦さんには今、付き合っとる人はおらんってこと?」
「うん、そうなるのかな……」
「じゃあさ」
「俺の親友に裕介ってやつがおるんだけど、あいつ呼んで、一緒にポートサイド行かん?」
「裕介くん?」
「そう。裕介なら気さくやし、神之浦さんともすぐ馴染むやろ。2対2なら『カップルの邪魔をしとる』とか変に気負わんで済むやん」
「『裕介もてりやきエッグ食いたいって言っとるけん、みんなで行こうや』って誘えば、あいつの性格なら乗ってくるやろ?」
「あー、確かに! それなら英理も変に気を遣わんで済むね」
「やろ? 神之浦さん、今売店に行っとるんよな? 戻ってきたらさっそく誘おうや」
「うん、長門くんナイスアイデア!」
長門はそのまま立ち上がり、「ちょっと裕介のところ行ってくるわ」とクラスへ向かった。
♢
「裕介、ちょっとええか。今日の放課後、ポートサイド付き合ってくれん?」
「ポートサイド? ええけど急にどうした。何かあるんか」
「実はナオと、あと神之浦さんも一緒でさ。人数合わせで、お前も4人で来てほしいんよ」
裕介は椅子を鳴らして身を乗り出した。
「は? 神之浦さん!? マジかよそれ……」
「声が大きいわ」
「ってことは何、俺、あの神之浦さんとダブルデートみたいな感じでバーガー食うわけ? 行く、絶対行くわ!」
「おう、じゃあ放課後な」
♢
席に戻ると、ナオが待っていた。
「裕介くん、なんて?」
「めちゃくちゃ乗り気だった」
「良かった~!」
しばらくして、売店で炭酸を買った英理が戻ってくる。
「ただいまー、売店めちゃくちゃ混んどったばい」
席につこうとする英理に、ナオは少し声を張った。
「あ、英理、おかえり。あのさ、さっき長門くんの友達の裕介くんが来て、『今日の放課後みんなでポートサイド行こうや、新作のてりやきエッグ食いたい!』って勝手に盛り上がっちゃってさ」
「うちももう一人誘うことになっちゃったけん、長門くんと裕介くんと私の3人で行くのも変やろ? 英理も絶対来て、4人で行こうや!」
「えっ、裕介くんも?」
「そうそう。お願い、神之浦さんも来てくれんと、俺と裕介とナオの3人とか地獄やけん」
「え、えぇ? 私が一緒でもいいなら、行くけど……」
「やったー、ありがと英理!」
英理は少し拍子抜けした顔をしながらも、「じゃあ放課後ね」と小さく笑った。




