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第41話 【サプライズじゃないの】

翌日の鳴滝高校。

「凪、顔……大丈夫か? 昨日のこと、英理から聞いたぞ」


「……その話か。もうええよ」


「ナオの方はどうや? 顔、ひどかったやろ」


「ああ……頬が腫れてもうてな」


「今日の放課後、英理と会う約束をしとる。三原高校の近くまで迎えに行くってメールしたとこや。ナオの様子も聞きたいし、英理とちゃんと話したくてな」


「そっか。英理も心配しとるやろうし、しっかり顔を見て話してこいよ」


「……なあ和也。タカミの件、お前に頼んでもええか? あいつは今、俺のことが相当嫌いやろし、俺が行くとまた面倒なことになると思うんよ」


「わかった。俺がタカミのところに行って話をつけてくる。……ただ、これ以上一人で抱え込むなよ」


♢


放課後。西日に照らされた三原高校の校門前。


英理とナオの姿を見つけ、凪は歩み寄る。


「あれ。もしかして凪くん、うちの顔の腫れが心配で迎えに来てくれたわけ?」


「まあ、それもあるけどさ」


「あっそ。……私には用事ないんだ。じゃあ、先に帰る」


英理は背中を向け、足早に歩き出す。


「ちょっ、英理、待てって!」


凪が追いかけ、腕を掴もうとすると、英理は振り返った。


「ナオから聞いたよ。昨日、告白したって」


「はぁ? 何の話やねん!」


「しらばっくれんといて! 全部聞いたからね。私の大事な友達を前にして、あんなムード作ってさ!」


「嘘やろ……! ナオ、あれだけ説明したのに!」


「英理、違うんよ! あの時ナオが変なツッコミ入れてきたから、パニックになって……」


「あのバカ、わざと英理を焚き付けやがったな」


「あんたが昨日のこと余計なニュアンスで伝えたけんこうなっとるっちゃろうが! 本当、最低のポンコツやね!」


「待てって! 一旦落ち着いてくれって!」


「サプライズで会いに来てくれたのかと思えば、ナオの怪我が心配だからって。普通、私に会いたくて来たって言うでしょ!」


「違う、二人とも大事なんや!」


「私の目の前で『二人とも大事』なんて言う男ありえん! 私を一番に大切にできないなら、もう知らない!」


「違うわ!! 俺がナオに恋愛感情なんか持つわけないやろ!! だってナオには……彼氏がおるんやからな!!」


夕暮れの校門前に、声が響く。


「……え? ナオに、彼氏……?」


「凪のバカーーーッ!! 口止めしたやろがーっ!!」


「はあぁ〜〜〜っ!? なんなんそれ!?」


「凪くん、どういうこと!? 『ナオには彼氏がいるから諦める』ってこと!? だから私の前でわざと喧嘩してたの!?」


「なっ……!」


「なんで私が、二人の仲を取り持つキューピッド役をやらされてるわけよ!」


「「キューピッド!?」」


静まり返る校門前。

(英理の脳内、一体どういう構造になっとると?)


「はぁ。もう、バカバカしくなってきた」


「勝手に一人で探り合いでも何でもすればええやん。私ば巻き込まんでよ」


「そうよ英理! もう、凪くんなんかほっといて帰ろ!」


「ちょ、ナオ!?」


「凪くんの自爆に付き合っとったら日が暮れるわ。行こ、英理!」


「本当呆れた……」


ナオは英理を引っ張って歩き出す。


「おい、待てって! 俺を置いて行くなよ!」


凪の叫びを無視して、二人の背中はあっさり曲がり角の向こうへ消えた。


周囲からの好奇の視線を背中に浴びながら、凪は夕暮れの校門の真ん中で一人、小さく頭を抱えた。

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