表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凪の坂道  作者: 凪葉
第一章 高校生編
PR
29/104

第29話 【プライド】

鳴滝高校の教室。

そこへ、ニヤニヤしながら和也が歩み寄ってきます。


「よお凪、生きて帰ってこれた? 昨日の神之浦家での大試練、どうだったと?」


「…ああ、なんとか無事にな」


凪は昨日の

「挨拶事件」

「手握り事件」を思い出し、少しだけ耳を赤くしながら苦笑いをする。


「母上様は、めちゃくちゃ優しかったぞ。ケーキもご馳走になったし、和也が脅すからどんだけ怖いんかと思ったら、全然そんなことなかったわ」


「へぇー、そりゃよかったね。まあ、俺の脅しは愛の鞭みたいなもんよ」


和也が肩をすくめて笑ったその時、後ろからバシッと凪の肩を叩く者がいた。


「おいおい、何の話で盛り上がっとると? 俺抜きでそんな楽しそうな話すんなよ」


現れたのは、和也や英理の近所に住み幼馴染であるクラスメイトの

尊巳タカミ」でした。

春に3年生へと進級し、和也、尊巳、凪の3人は同じクラスになったばかりだった。


尊巳(タカミ)か。いや、大した話やないよ。ちょっと昨日、英理の家に顔出してきただけや」


凪が何気なくそう言うと、尊巳の表情が一瞬だけ硬直した。


英理が凪と親しくなっていることは知っていたが、こうして直接「家にまで行った」という事実を突きつけられると、胸の奥で嫉妬の感情が渦巻くのを抑えられなくなっていた。


「へえ、英理の家にな。ずいぶん仲よかとね」


タカミは和也に向き直り、努めていつもの調子で軽口を叩こうとした。


「和也、お前も聞いたと? 凪のやつ、ついに神之浦家の公認候補生かよ。出世したもんやね」


「まあね。俺も昨日は帰れって言われたし、あいつら完全に二人きりの世界だったみたいよ」


和也が冗談めかして言う。タカミは笑ってみせたが、その笑みはどこか引きつっていた。彼は凪の肩にぽんと手を置くと、


「で、英理は家でどんな感じだったと? まあ、凪にはまだ分からんかもしれんけど、あいつ昔からああ見えて結構ワガママで扱い難しいやろ?」


「え? いや、別に」


戸惑う凪を遮るように、タカミは畳みかけていく。


「凪、お前あいつの本当の顔、ちゃんと分かっとると? あいつ、本当に嫌なことがあると逆に笑ってごまかすタイプやけんね

まあ、昔からあいつの全部を見てきた俺から言わせれば、お前が知らんうちに英理に無理させてなきゃいいけどさ?」


タカミの瞳に宿る、和也たちには決して見せない「鋭い光」に、ふと強烈な違和感を覚えた。


タカミは凪から視線を外し、隣の和也の肩に腕を回した。


「そういや和也、明日お前の家で遊ばん? 久々にガッツリやりたいゲームがあるとよ」


タカミが唐突に切り出すと、和也は少し意外そうな顔をしたが、すぐに肩をすくめて笑った。


「お、珍しいね。まあいいけど、俺の部屋でよければいつでも来いよ。」


「サンキュ。楽しみにしとるわ」


二人の会話を横で聞いていた凪は、特に気に留める様子もなく「ゲームか、いいな」と呑気に笑っていた。

しかし、和也はその笑顔を見ながら、ふと視線をタカミへと戻した。


(明日、わざわざ俺の家か)

実は和也は、幼い頃からずっと英理を見つめ続けていたタカミの想いに、薄々気づいていたのだった。


(もしかして昨日、凪が英理の家に行ったことが、相当気に入らなかったと?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ