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第146話 【プロローグ】
2025年、春。柔らかな光が降り注ぐ、長崎の海辺の教会。
控室の鏡の前に、純白のウェディングドレスを纏った英理が立っていた。
繊細なレースのドレスに、胸元で誇らしげに揺れる一粒のネックレス。
あの日、凪が贈ったものだった。
「……英理、バリ綺麗よ。世界一のヒロインたい」
背後でベールを整えるナオの瞳には、すでに涙が溢れている。
一方、バージンロードの先で待つ凪は、着慣れないタキシードに身を包み、緊張で固く拳を握りしめていた。
重厚な扉が開く。
パイプオルガンの音色とともに、父の代わりに腕を引く和也と、光の向こう側から英理が現れた。
2005年の坂道で、思わず抱きとめた少女。
今日、一歩一歩、確かな足取りで自分の元へ歩んでくる最愛の女性。
凪の前に辿り着いた英理は、ベールの向こう側で、出会った頃と同じいたずらっぽく真っ直ぐな笑顔を浮かべた。
「……待たせたね、凪くん」
「……おう。めっちゃ、綺麗や」
二人が誓いのキスを交わした瞬間、チャペルの大きな窓の向こうで、春の光を浴びた長崎の海が一面にきらめいた。




