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第145話 【家族への報告】

坂道でのプロポーズから戻った二人は、手を繋いだまま、神之浦家の玄関をくぐった。


居間では、和也夫婦とナオ、そして母の美津子が、汗をかいた瓶ビールとグラスを前に二人を待っていた。


静まり返った部屋に、英理の少し上気した声が響く。


「……お母さん。みんな……うち、凪くんと結婚することにしたよ」


一瞬の静寂の後、ナオが真っ先に立ち上がった。


「……っ、遅いとよ、二人とも!」


自分のことのように涙をボロボロとこぼしながら叫ぶナオの横で、和也は照れ隠しに鼻をすする。


「……凪。妹を泣かせたら、俺がぶちのめすけんね」


和也がすっと差し出してきた大きな手を、凪は真っ直ぐに見つめ、強く握り返した。


「……英理のこと、頼むぞ」


「……おう。任せとき」


美津子は仏壇の正一の遺影に一度視線を送ると、静かに二人のもとへ歩み寄ってきた。


「よかったね、英理。……凪くん、この子をよろしくお願いしますね」


「はい。一生かけて、大事にします」


凪の言葉に美津子は目元をぬぐい、重ね合わされた二人の手に、そっと自分の手を重ねた。


「さ、みんなでお祝いしよ! 」


「はい乾杯! 遅くなったぶん、しっかり飲んでもらうけんね!」


ナオが勢いよくグラスを掲げると、ようやく居間の空気がどっと和らいだ。


―第四章・完。

(第五章「結婚生活編」へ続く)

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