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偽物扱いで王城を出禁にされた公爵令嬢、辺境侯爵家で自由を満喫します ~いまさら本物だと言われても戻るつもりはございません。~  作者: ゆずこしょう
公爵令嬢のお茶会と偽物令嬢のお茶会。

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これからも優雅なお茶会をいたしましょう。

「ん~♪ふふ~ん♪」


「お嬢様がまた歌っているわ……」


「楽しそうね。今日は何を作っているのかしら。」


あれから数日――


ベアトリーチェはファルクナー城へと戻ってきていた。


『あら、まだ結婚していないのに、戻っちゃうの?』


『はい。あちらは宝物の宝庫なのですわ。お母さま。それに、わたくし専用のドラゴンも欲しいのです。』


『あら……もう向こうの方があなたのお家なのね。今度はベルのドラゴンちゃんに会えるのを楽しみにしているわ。』


***


王族たちを乗せたドラゴンの空馬車が空の彼方へ消えたあと、ベアトリーチェたちは改めてお茶会を開いた。


薔薇風アップルタルトに始まり、


牛の乳から作ったチーズケーキ。


それに、プリンや焼き菓子など……


新しい食べ物に令嬢たちも夢中だった。


『この柔らかいものは何……甘すぎなくてちょうどいいわ』


『この薔薇も……食べられる薔薇も知っているけれどこんなに美味しものは初めてよ。』


『それにアップルティーも……りんごの酸味が鼻に抜けて後味がさっぱりしているわ。これがレモンとかでも美味しそうね……』


先ほどまでの重い空気はない。


ドラゴンによって、匂いの強い花がなくなったせいか顔色の悪かった令嬢たちも、顔色が戻っている。


(良かったわ……)


だが……それとは逆に爵位を持つ当主たちの顔色はどんどん悪くなっていった。


ベアトリーチェが放った最後の言葉。


『四大公爵家は今後アルキューネ王に与することを辞めさせていただきます』


その意味を理解しているからだ。


それからしばらくして――


ある程度お茶会を楽しんだあと、この国の貴族たちが四大公爵の元に集まった。


そして、誰もが口を揃えて同じことを言った。


四大公爵が離反してしまえば、この国はダメになってしまうと……


『それは分かっておる。だが、このままではよくない。我々は歩み寄ることが大切なのだ。』


『そうだ……それに私たちは離反するつもりはないさ。レヴィールを国王に据える。そのために動いたまでだ。』


『ディオンとあの王妃はダメだ……そしてあの国王も……昔は良かったがな……』


『それもこれもレヴィールの母であるレヴィアが亡くなってからか……』


レヴィアが生きていた頃は、どうしようもない王族たちもかろうじてまとまっていた。アレクサンダルがエリザベートに夢中になっている間も、一人で公務を支えていたからだ。


だが、それも長くは続かなかった。


レヴィアが倒れてしまったのだ。


『今思えば……母上は過労ではなかったのかもしれません。』


その場に残っていたレヴィールが話に加わる。


『どんどん顔色が悪くなっていたのです。その度に、菖蒲茶を飲んでいた記憶があります。』


菖蒲茶……


薬膳茶としてそれなりに効能はあるが、もしトリカブトなど違う茶葉を少しずつ飲まされていたとしたら……


『毒を少しずつ飲まされていたとしたら……顔色が悪くなり、過労で倒れてしまったと思ってもおかしくないかもしれません。といっても、十年以上前のこと。今更母上は戻ってきませんが……』


レヴィールは肩を落とすと、アリオンがそれを支えた。


(ふふっ……やっぱりあの二人はそういう……って、ダメよダメダメ。ベアトリーチェ。今は真剣な話をしているのだから。)


『アリオン、ありがとう。皆さん、ここからは私がこの国の王子として父たちと戦いましょう。幸い、グラハルト皇帝陛下も私とであればベアトリーチェ条約を結んでいいと仰せだ。』


『『『……ベアトリーチェ条約!?』』』


ベアトリーチェ条約について知っているのは一部の貴族のみ。知らないものたちは、声を揃えた。


『はい、ベアトリーチェがケルベリオン帝国と我が国の友好のために作った条約です。私はそれを反故にはしたくない。ですから、父たちと戦います。』


レヴィールは力強く拳を握ると、貴族たちを見渡した。


その瞳に迷いはなかった。


『よく言った。レヴィール第一王子殿下。君は私にとっても息子のような存在だ。できうる限り力をかそう。幸い……君の父についてはよく知っているしな。』


『ああ、そうだな。私達も力を貸そう。』


『宰相は現王妃の実父だ。あいつらの後暗い話も色々知っている。』


四大公爵たちの言葉にレヴィールはほっと息を吐き出した。


***


そして時は経ち――


数ヶ月後。


ベアトリーチェはファルクナー侯爵領で自由を満喫していると、一通の手紙が届いた。


「ベアトリーチェお嬢様。レヴィール第一王子殿下からです。」


「あら、そう……じゃあ、お茶にしましょうか。今日は私の相棒、ドラちゃんに乗って空中お散歩のお茶会なんてどうかしら。」


「ギュルルル――」


「それは……本気ですか?」


「えぇ。本気よ?空馬車も名前を空竜車に変えて正解だったわよね。結構貴族の間では人気があるのよ。民の間にも浸透したらさと帰りがしやすくなるのだけどね。」


「それはこれからの問題ですね……それよりも……お手紙をどうぞ。」


リネットは小さくため息を吐くと、ベアトリーチェに手紙を渡す。


ベアトリーチェはドラちゃんにお肉をあげると頭を撫でた。


「ドラちゃん。客室を持ってお空を飛んでくれる?出来ればゆっくり飛んで欲しいのだけど。」


「ギュルルル――」


「まぁ、なんていい子なのかしら。」


ベアトリーチェのように銀色のドラゴン。目の色も同じ青色をしており、見た瞬間お互いに一目惚れをした。


「リネット、行きましょ。」


ベアトリーチェたちは客室へと入ると、ドラちゃんがゆっくり客室を持ち上げた。


「慣れませんね……」


「ふふっ気持ちがいいわね」


ベアトリーチェは飛び立つのを確認すると、リネットから受け取った一通の手紙を開いた。


――――――


ベアトリーチェ。


久しぶりに君に手紙を書いているな。


あのお茶会の後について簡単に話そうと思う。


お茶会の後、国王陛下は直ぐに退位を申し出た。だが、そう簡単に行かないのが王族。


今までのやらかした精算をしなければならないからだ。


ディオンはヴィクトリーチェと結婚することになった。もちろん平民としてだ。


公爵家や王族の後ろ盾を失った二人が、これからどう生きるかは本人たち次第だろう。


最後はベアトリーチェを取り戻せば王族のままいられると馬鹿みたいなことを言っていたが……君の家族に止められていたよ。


もしかしたら顔を出すかもしれないが、その時は遠慮なく殴ってくれ。


きっと君の方が強いだろうから、ほどほどに痛めつけてくれると助かるよ。


ヴィクトリーチェは貴族のままいたいからと、アリオンに手を出そうとしていたが……アリオンは適当にあしらっていたな。


こっちも問題なさそうだ。


最後にエリザベートだが……


エリザベートは昔から令嬢たちにお茶と称して色々なものを渡していたことが浮き彫りになった。


それを唆したのはエリザベートの父親である宰相だったよ。


そのせいで亡くなった令嬢が数人はいるらしい。どれも……父上の婚約者候補だったそうだ。


こういうのを聞くと……王族とはいい事ばかりではないな。


だが、俺は王族としてこの国をきちんと立て直していかなければならない。


ベアトリーチェ。これからも良き友として助けになってくれれば嬉しい。


君と、ギルバートの結婚式を楽しみにしているよ。


レヴィール


―――――


「ふふっ……相変わらずね……」


「何かいい事でも書いてありましたか?」


ベアトリーチェは窓から、王城の方へと視線を向けた。


「なんでもないわ……でも。そうね……これからこの国がどう変わっていくのか……楽しみだわ。」


ベアトリーチェは読み終わった手紙を封筒に入れると、リネットが準備した紅茶を飲む。


「ギュルルル――」


ドラゴンの鳴き声と同時に外を見るとギルバートが近づいてきた。


「楽しそうだな……」


「ええ、とても優雅な一時ですわ。ギルバート様。今度はご一緒にいかがですか?」


「ふん……それもいいな。今度はバリスタではないところでピクニックを楽しもうか。」


「それならドラちゃんと空のお茶会を致しましょう。」


青く広がる空の中、ドラちゃんと、その相方であるギルバートのドラゴンがゆっくりと翼を羽ばたかせる。


ギュルルル――


まるで祝福を送っているような鳴き声に、ギルバートとベアトリーチェは思わず微笑んだ。


眼下にはファルクナー領。


隣にはこれから家族になる予定の大切な人。


そして、まだ見たことの無い美味しい紅茶や食べ物との出会い。


「いつかお米にも出会いたいわね……」


ベアトリーチェは紅茶を一口飲むと、満足そうに微笑んだ。


――ベアトリーチェの優雅な家政改革は、まだ始まったばかりなのだから。







***



あとがき



こんばんわ。


ゆずこしょうです。


ここまでベアトリーチェの物語をお読みいただきありがとうございました*.ˬ.))


これにてベアトリーチェの物語は終わりとなります。


ベアトリーチェが今後どんな生き方をしていくのか……皆さんのご想像にお任せいたします。


皆さんが読んでくださったおかげで最後まで描き切ることが出来ました♪


本当にありがとうございました*.ˬ.))


またどこかの作品でお会いできるのを楽しみにしています✨


ゆずこしょう

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