2人目の逃げた女
情状酌量はあるけど、少年法がほぼありません
罪はほとんど大人と同じくらい受けるのが王華国
マーウは沖縄方言でナンバンカラムシ
花言葉は
「あなたが命を断つまで」「ずっとあなたのそばに」
千李は美羽が消えた所に駆け寄る、
だがそこに残っているのは何もなく、
癒澄が床を叩いている、影姫が術式の再展開をさせようとするが反応しない
少し離れたところでは永禮と白雅も同じようなことをしている、焔が腕を持って行かれていて、再生治療を受けている、そこに産咲の姿がない
ライラックは慌てて馬堅の身体の呪印を解呪しようとしている、そこに純血の治癒神華の生徒が割り込んで来るのでライラックが止めようとしたが他の生徒に邪魔されて間に合わず、馬堅に治癒の神華を使ってしまう、そして馬堅の体中の血管が浮き出て吐血する
治るどころか悪化した状態に集まっていた手柄を立てようとした純血の生徒達は慌てる
そいつらをライラックが押しのけ、瑙銀の天邪鬼と瑙虹の言霊で、生徒達をそこから引き離す、
ライラックは、解呪に専念していると高天や精霊使いの飼人達が集まり、
精華力暴走を止めて何とか糸が一本だけ繋がるような状況ではあるが馬堅の死を防ぐ事ができたのだった。
馬堅は集中治療室に入る事となった。
「クソ!何で産咲さんまでさらうんだよ!」
千李が机を蹴り飛ばす
今は岸雄と駘瞿の部屋に1年組とマーウで集まっている
「千李、やつ当たっても二人は帰ってこない、何ができるか考えるんだ」
真望にそう言われて千李は深呼吸をする
「でも本当になんで産咲さんまで誘拐するんだろぉ?美羽ちゃんは桜姫様の入れ物にするのは聞いたけど・・・」
「お母さんの悲しい声は聞こえないの、だからひどい目にはあってないのかも知れないけど・・・・・・」
6人が頭を悩ませていると
シュンと岸雄の神華人が現れる
「152(イゴフ)、馬堅が目を覚ましたの?」
岸雄がすかさずそう聞くが神華人は首を振る
「目は、覚ましておりませんが、病状は安定しております、そして今、天界から黒蝶が2匹降り立っておりまして、馬堅様の額に止まっております」
千李が頭をひねる
「何で黒蝶が?」
影姫がハッと気がつく
「匙さんと夜一さん?・・・・」
4人は顔を見合わせる
と言うことは今、馬堅は本当の過去を見ているのだろうか
なら、説得は容易いかもしれない
それから2週間後
馬堅は悪化や回復を繰り返していた。
曲癒がこれ以上は無理だろうと顔を暗くして言っていた。
呪いが強く、精華暴走、度重なる身体の作り変え、怪我は治せても
3つの現象が馬堅の命を身体から引き剥がそうとしている
彩良恵良はずっと馬堅のそばで手を握っている
暴走抑制と呪いの進行を止める術式の上のベットで馬堅は酸素吸入機をつけて寝ている
華人陰陽協会と妖怪大将の大狸である三俣ノ奉行三鈴達
妖怪連盟の話し合いを行った結果、馬堅の罪を考えれば情状酌量の余地もなく
死刑と言うことが決ままった。
つまり、ここで命が助かっても李薇の情報を話したならば魂抜きをされてしまうということだ
「三俣ノ奉行って?」
千李が学園の大広間でそう聞くと癒澄が苦笑いをする
「せんりん、みわわが居たらきっと凄く怒ってたよ」
「え」
くすくす笑いながら影姫が答える
「三俣ってうのは3つに別れた道なんかを言うんだけど、三鈴様は正式な入り口である天国、地獄、現世の間に居て、魂である黒蝶の行く道を割り振ってるんですって」
へーと千李と真望が納得する
「つまり日本で言う閻魔様見たいな妖怪なんだな!そして・・・その人が死刑を決めたと」
真望の言葉に全員が暗い顔になる
ライラックが苦い顔で言う
「まぁ、騙されたとはいえやり過ぎたわな」
瑙銀、瑙虹も難しい顔をする
「特に人魚の誘拐、虐待」
「そして、人魚の秘密の漏洩、建国祭の冒涜だもんなぁ」
その言葉に癒澄が泣きそうな顔で言う
「でもでも!騙されてさせられてただけなんだよ!」
「それでも、それをする事を選んだのは馬堅だ、そんな言い訳は通用しない」
ライラックの冷たい言葉に癒澄の目からボロボロと涙が溢れる、嗚咽を漏らす癒澄の背中を真望がさする。
誰も擁護できない程のことを馬堅は李薇に載せられてやってしてしまったのだ
だが、脅されて無理矢理ではなく進んでやった。
この道を選んだのは馬堅なのだから
千李は、毎日自分の炎の鳥に乗って森の上を飛ぶ
3つの大、中、小の山には扉らしきものは見当たらない
寮に戻ればメガネで通信を試みるも、通信を切られているようだ
圓唎に追跡能力が無いかを聞いたが、それは無いと言われてしまった。
手がかりがない、どこを探しても見つからないせめてどの山かわかればいいが
山男の頭がどこにあるのかもわからないし、返事をしてくれるかもわからない
だが、そんなことは言ってられない、一番最初に捕まり、虐待を受けている深瑠は
確実に弱っているはずだ早く助け出さなければ
そんな事をしていたら、馬堅の生命線である術式を消す日が来た。
もう回復は見込めないと、どうせ死刑なのだからと
みんな、術式の間に集まる
「馬堅、ごめんね、私が弱虫じゃなきゃ、こんな事に」
眠る馬堅に彩良恵良が抱き着いて泣いている
「さ、ら、えら、おばぁちゃん」
みんな驚いて馬堅を見ると弱々しくだが目を開けている
「馬堅!!」
彩良恵良が馬堅の顔を包む
「おお、お、ばぁちゃ、ご・・・めんなさ・・・い」
ポロポロと馬堅の目から涙があふれる
「いいの、いいのよ、馬堅、ごめんね、ごめん」
彩良恵良は馬堅の髪を撫ぜて涙を流す
馬堅は千李の方を見る
「う、らぎ、り、者、は、おばぁちゃん、だ、よ」
馬堅は、そう言って目を閉じると、口から黒い蝶々が飛び出す、
馬堅についていた2匹の黒蝶の1匹がその黒蝶に付いていく
もう一匹の黒蝶が高く飛んで人形になる
「夜一!」
夜一の霊は、ニッコリと彩良恵良に笑いかけてから千李達の方を見る
『私の妻を助けてくれ』
それだけ言って黒蝶になり、飛んで行った。
妻、おばぁちゃん、誰の事だと騒然となった。
急いで夜一のお嫁さんを探したが夜一の娘を産んでから
仕事を辞めたくないから山に篭もることはできないと、
出て行っていた。
定期的に会っているのかもわからない、
結婚していたわけではないので書面での証拠もない
出産も八百比丘尼の関係で隠されている
裏切り者はおばぁちゃん
妻を助けてくれ
これはどういう事なのか
だが、そうやってもたもたしていたらもう冬休み、年明け前には全員を見つけたい
千李達やライラーズ、永禮達は中庭に集まって高天の精霊達に近づけない場所を探してもらうことにした。
この手は使いたくなかった選定門の邪悪さは強く汚れた呪いに近づけば
精霊達は傷つき酷いものは消える可能性があるからだ、
千頭の家の簡易的な選定門でマーウが傷付いたのが証拠で
マーウは肉の体があったから汚れることはなかったが
生身の精霊達は耐えられず汚れて消えてしまうだろう
「高天さん本当にいいの?」
「仕方無いよぉ、俺達じぁ見つけられないしぃ、確実に中に隠されてぇ入り口がぁある場所ぉわかんねぇじぁん、大丈夫だよぉ、精霊がぁ、いやなぁ、気配したらぁ近づかないようにしてるしぃ、まぁそういう場所ぉ複数あんだけどぉそこをぉ虱潰しに探すならぁ無闇矢鱈と探すよりはえぇしぃ」
高天はそう言って手を上げるとたくさんの小さな精霊達が集まってくる
「ごめんねぇ、危ないことはァしなくていいからぁ、嫌なとこだけ教えてぇ、」
「あら、精霊を使うの?それは可哀相だわ」
声の方を見ると小褄唎が居た
「副校長、でもこうでもしないと見つけられないんです」
影姫がそう言って小褄唎を説得しようと近づこうとしたら、ライラックが前に出る
「小褄唎先生、私ずっと不思議だったんですよ」
「あら、どうしたの?」
キョトンとする小褄唎にライラックは、笑う
「深瑠がさらわれる前くらいからいつもの落ち着いたピンクじゃなくて赤っぽいの着てますよね、狗炎校長とも仲がいいはずなのに最近ぎこちない、後さ」
にっとライラックが笑う、どことなく李薇を思い起こす顔だ
「千頭の家に行った事あるのに、何で行ったことないって言ったんだ?」
全員がはっとする、
そうだ、千頭の家のあの部屋のパーティーには確かに小褄唎も居た!
全員が小褄唎を見ると、柔和で優しい笑顔の小褄唎の表情が意地悪い笑顔に変わる
『これだからあの女の血筋は嫌いだわ、』
小褄唎がそう言うとブワッと小褄唎の上にミルクティー色のくゆる髪の女が出てきた。
『ただでさえこんなババアに入れられて嫌だっていうのに、憎らしい顔を2つも見なきゃいけない』
その女は千李を睨む
千李はこいつが元凶か!と思い叫ぶ
「美羽は、どこだ!」
『あ~うるさい、お兄様の顔で猿の色して威張るのやめてくれる?虫唾が走る』
女の言葉に驚く、お兄様?と言うことはこの女は
ライラックがククッと笑う
「なるほどね、魔王の正妻の悠雪かよ」
ライラックの言葉に、ハッと鼻で笑い悠雪は、小褄唎に戻る
「この体も長いこと私が入ってるから弱ってるわよぉ、まぁ、入れ物を変えるから関係ないけどね、バイバイ!」
悠雪がそう言って手を上から下にする悠雪の後ろに窓が現れて、小褄唎の体がその窓に消える、岸雄と千李は手を伸ばしたが届かず消えてしまった。
いやあああああああ!!
叫び声の方を見るとマーウが青い顔をしている
「お母さんが、泣いてる!」
マーウはそう言うと翼を出して飛び上がった。
みんなも慌てて自分の術やキントウンに乗る
風を切るように進み、マーウは小さな山に降り立つ
「ここなのに!扉はどこ!?」
マーウがそう言うと高天が精霊達を放つ
「頼む!」
ブワッと精霊が広がり消える
数分後に一匹の精霊が戻ってくる
全員で後に付いていくと少し飛び出している場所を見つける
ライラックがその場所に解呪呪文を施す
難しい呪文のようでブワッとたくさんの術式が周りに浮かんでいる
千李が無効化を使おうとしたら永禮に止められる
「やめておけ、あの呪文は手順を踏まなければ別の場所の爆弾術式が爆破されるようになっている、ここら一帯吹き飛ばされるぞ」
そう言って永禮はライラックの隣に立ち解呪を手伝う
流石に神華学園のツートプだ、難しい術式をどんどん解いていく
浮かぶ術式が全て解けて術式が消えた瞬間、グラグラグラとその場が揺れて
地面が割れ、奥の方に選定門が姿を現す
「来たよ、大問題」
苦笑しながらライラックが言う
試しにライラックの華力を込めた石を投げつけると粉砕した。
「わぁお、強烈ぅ」
「ここで通せんぼかよぉ」
瑙銀と瑙虹が爆弾と破裂呪文を飛ばすが扉の前で粉砕する
「くそ!ここまで来たのに!」
千李がそういった瞬間だ桜色に近いピンクの髪が横を走る
「マーウ!!」
影姫の声でそれがマーウだと気がつく
マーウが選定門に手をつく
天使混じりの人間だからか、粉砕されることは無いが
どんどんと年をとって行くがマーウは選定門を押して開け続ける
「マーウやめて!」
「マーウやめるんだ!!」
「マーちゃん死んじゃうよ!!」
「マーウ!!」
1年組の言葉など聞こえないようにマーウは扉を開ける
中に押し込まれた扉は完璧に開き、全てのものを受け入れようとしている
老婆となったマーウはその場に倒れる
「マーウ!!」
影姫が駆け寄りマーウを抱き上げる
「ママ、マーウ、人間卒業するね」
「マーウ!マーウ!ありがとう・・・っ」
「ママの黒蝶は、マーウが絶対洗うね、天国で待ってるね」
マーウは影姫の大粒の涙を受けながら目を閉じると体が光り、
体から美しい若い姿のマーウが浮き出て大きな翼をはためかせると、
誕生の瞬間の爆発的な浄化の気で周囲の空気が浄化され、選定門がただの扉になった。
浮き出たマーウが目を開けてニッコリと笑い、影姫の額にキスをする
『ママ、大好きだよ、お母さんをお願いします、バイバイ』
そう言ってマーウは、空に登ったのだった。
「マーウ、こんな苦しい卒業だなんて」
涙をにじませる影姫の肩を岸雄がさする
千李がマーウの体の前にしゃがむ
「マーウどうしよう、おいとけないよね」
そこにライラーズが集まる
「私らのキントウンで連れて帰るよ、ついでに応援も連れてくる、お前ら無理すんなよ!」
瑙虹がキントウンを出して瑙銀がマーウを抱き上げる
そこにライラックが駆けて行って飛び乗り、キントウンを飛ばして学園に戻っていく
「さぁ、ここからだ」
千李は扉の奥の暗い部分を見る、事件を終わらせよう
綺麗な歌声が聞こえて匙は、岩陰に隠れた小さな砂浜行くと黒い艷やかな髪の陶器のような肌、灰色の尾びれ林檎のような唇の美しい人魚がいた。
あまりの美しさに、一歩足を出すと、パキッと足元の小枝が折れる
その音に驚いた人魚は、そちらを見る
「あら?私の隠れ家なのに、よくあの岩を登ってきたわね」
人魚は、尾びれを足に変えて華服の裾を正す
「私は彩良恵良、あなたは?」
凪のように穏やかな声で、陶器のような手を伸ばしてくるから、割らないようにそっと握った。
匙と彩良恵良は、それから毎日海岸で遊んだ
毎日楽しかった。
匙が成人する頃には子供も生まれた。
幸せだった。毎日が刺激的で
彩良恵良の発明は面白くて匙は、一生続くと思っていた。
けど、老いが自分を追い詰めた。
息子は中学生、彩良恵良の見た目は息子と変わらない
ある日匙は咳込んで血を出した。
肺結核だった。
別に華人にとってこの程度の病気は、大したことは無いだが、彩良恵良には大きなショックだったようで
匙や夜一を見るたび泣き出すようになってしまった。
だから、匙は決めた
「彩良恵良、人魚の里に帰るんだ」
「なんで!」
「僕らが老いる姿見てを君は耐えられるかい?」
匙の言葉に彩良恵良はポロポロと涙を流し
ごめんなさいと言って人魚の里に帰って行ったのだった。




